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原油価格はなぜ上昇しているのか

ガソリンや灯油の価格が7年ぶりの高値を更新を続けているという。
コロナ禍からの回復需要に生産が間に合わないののだそうだ。

ガソリン高騰は原油価格の上昇に伴ったもので、産油国が出荷量を絞れば価格は上昇する。原油を輸出できるような資源を持ったプレーヤーは限られているので、価格は供給者によってコントロールされている。
昨年の世界需要の落ち込みによって減った売上を今取り返そうと思うなら、敢えて出荷量を抑えれば同じものが高く売れるということだ。

原油は、重油、軽油、灯油、ガソリンの他、プラスチックなどの石油化合物原料となるナフサの元になっている。どれか一つだけを取り出して残りは保管しておくと言うようなことは現実的には出来ない。従ってガソリンだけが必要になったとしても、同時に重油その他が全て出来てしまうので、これらが一緒に売れる見込みが無いと石油精製会社にとっては困る。
だから、社会全体の石油需要が回復しないと原油の必要量が決まらないという面があるのだろう。

しかし、いま高騰しているのはガソリンのみならず原油そのものなのだ。ガソリンや灯油が高騰しているのは、その原料となる原油価格の上昇に伴ったものだ。
脱炭素社会を目指すとして、世界の先進諸国と言われる国々では石油の消費量を年々絞っているはずだ。普通に考えれば、皆が石油を使わなくなっているのであれば、原油価格は安くなって然るべきだ。
それが上がっているとは、どういうことか。

そこには複雑な事情が横たわっているようだが、簡単に言えばこういうことだ。
原油の供給元が生産量をあえて少なくしているから。
掘れる石油が無いからではなく、あるけど出さないからだ。供給量が増えないとなると需要とのバランスで市場価格は上昇する。
ただ、価格が上昇しすぎると利用者が買うに買えなくなってしまうので、買ってもらえるギリギリを攻める必要がある。

例えば、あまりに原油価格が高くなってガソリンがリッター1000円になったら、あなたはどうするだろうか。
自家用車を通勤に使っている人は車に乗らない訳にいかないので、ガソリン代以外の家計を切り詰めざるを得ないだろう。あるいは、車に乗るのを諦めることも検討しなければならなくなる。
でも、問題は自家用車のみならず、運送コストが馬鹿高くなるので、すべての品が高くなるはずだ。
スーパーに並ぶ商品の価格が今より5倍も高くなったら、家計は成り立たないだろう。車を諦めたところで、何の解決にもならない。

つまり原油価格が暴騰すれば、我々の社会は壊滅する。

そうなると原油が売れなくなってしまうので、産油国にとっても良いことではない。
だから、原油価格の上がりすぎは産油国にとっても避けたいことだと言える。

そうは言いながらも一方で、やはり脱炭素化社会の浸透による将来の需要低迷を産油国は心配するわけで、将来売れなくなる可能性があるのであれば、今のうちに少しでも高くしておきたいという思惑が働く。

このように、産油国としても、どの水準が原油価格として適正なのか探り探りというところなのだろう。
そんな中、価格推移を見れば、今の原油価格価格が高水準にコントロールされていることは間違いない。
相手が死なない程度に高い水準を保とうとする産油国の作戦は成功していると言えるのかもしれない。


なお、ここ日本では、先進諸国の中ではとりわけ物価が停滞しているので、原油価格が実態以上に高く見えている可能性もある。
オーストラリアでは家計収入で年収2000万円ないと普通の生活が出来ないとも言われる。先進諸国は同じようなもので、つまり、世界の物価は上昇していて、日本だけが取り残されているのが現状だ。相対的に輸入品が高く見えるはずだ。
皇族とご結婚されるあの方の推定年収が2000万円超えとも言われるが、ニューヨークではというか世界の先進諸国では別に高い方ではなく、セレブでも何でも無い。世界的に見れば日本人の感覚がオカシイのだろう。
物価の安い国を下に見て、年収200万円で豊かな生活が出来るんだって、と言っていた昔が懐かしいが、いまや日本がそう見られているのは、何とも寂しいではないか。

おわり

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