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大統領選挙を見ていて思ったこと
アメリカの大統領選の報道を見ていて、どうしてあんなにも熱狂出来るのかと思う日本人は少なくないのではないか。政治家のみならず、支持する政党を堂々と表明し、主義主張を声高にうったえる。明確な意思表示が無ければそこにいないことにされてしまう風土だからそうなるのだろうが、それにしても若い人から年寄まで政治的な見解を持ち合わせているのは、ある種惚れ惚れするくらいだ。街頭演説ではなく大きな会場でのスピーチ風景は、金のかけ方が違うと思うかも知れない。
しかしこうしたことは、それだけ分断の深さが深いことを意味するし、街が安全とは言えない事情もあるのだということを考慮に入れなければならない。お前はどちらの立場だと聞かれて即答できなければならないということは、言った瞬間に敵か味方かが判明するのだから穏やかではない。
街なかで群衆を集めれば警備が大変で、だったら施設を借りた方がやりやすいとなるのだろう。
アメリカの大統領選は特殊で、その仕組みについていくら説明を読んでも理解するのが難しい。一見、国民が大統領を直接選んでいるように見えるが、投票総数が多い候補者が落選することもあるのだから、直接投票とは違うのは明らかだ。
仕組みが複雑に思えるが、アメリカという国が連邦国家であることを思い出せば少しは分かり易い。
その仕組みをざっと見てみよう。
まず投票は州ごとに行なわれる。有権者は大統領にしたい人に投票するのだが、その結果、その州で過半数の投票を獲得した候補者の所属する党の選挙人が選ばれる。ここが分かりにくいところだが、要するに大統領選挙に投票する州の代表選手を選ぶようなものだ。ここまでが11月の投票で行われたことだ。各州から選ばれた選挙人ら(選挙人団と呼ばれる)は、12月に投票を行い、その結果で大統領が選出される。
11月のこの時点で既にひとりの候補者が勝利者宣言をしているが、選挙人による投票が行われていない現時点では、実はまだ大統領は決まっていない。決まっているのは各党の選挙人の数だけなのだ。
選挙人は必ず自分の党の大統領候補者に投票しなければならないということでもないが、殆どの選挙人がそうした裏切り(不誠実な選挙人と呼ばれるらしい)は行わないから、事実上現時点で大統領が決まったようなものということになる。
つまり、有権者の投票によって州の投票代表者を選び、その代表者達が改めて投票して最終結果が出るという仕組みになっているということだ。
アメリカの場合、州が集まって国家を成すという意味で連邦制であるが、政治体制としては共和制になっている。共和制は君主制の対語で、最高決定権(主権)を個人(君主)ではなく人民が持つ。つまり、決めるのは国民だという意識が強く働くのかも知れない。
日本の場合、国民主権と謳われているものの、象徴とは言え天皇制が共存している独特の体制になっている。天皇制が良いとか悪いとかいうことではなく、もしかしたらそのことが政治主体としての国民の意識形成に関わっているのかも知れない。つまり、主権者としての自分を押し出すよりも、一歩引いて謙虚に関わる意識が作られるのだろうか。
となれば、同じ選挙という言葉でもアメリカと日本では国民の受け止めが全く違うものであってもおかしくないし、それは政治に対する心持ちにも及ぶだろう。そこに日本らしさがあるとも言えるが、自分たちが政治に関わるのはおこがましいという感情が根の深いところにあってもおかしくない気がしてくる。
おわり