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就活のタイムスケール

就社ではなく就職をしよう。
これはことあるごとに私が口にしてしまうこと。

カイシャに入る事で守られ安心できるのは間違いない。けれどそのカイシャがこの先もずっと存在するという保証は無い。今人気があって儲かっている業界が数十年後もそうだとは限らない。

私がこう思うのは父を見ていたからだ。
父は大学を卒業すると、当時人気のあって皆から羨ましがられるような花形の業種の会社に就職した。田舎の農家の長男だった父が家を継がずに都会の大企業に勤めるとなれば、それなりにハレーションがあったと想像されるが、日本のエリート企業に就職するなんて、何よりも誇らしい事で、村を上げて送り出されたのかもしれない。

そんな、人も羨む企業で活躍していた父であったが、その業界も私が小学高学年になる頃には斜陽産業になり掛けていた。リストラが行われ、不採算部門は切り離され、行く行くは同業他社と合併するに至る、その過程にあった。
しかもそれはバブル崩壊の10年以上前の話だ。

父が就職活動をしていた頃には、そんな将来が待っているとは夢にも思わなかったという。
父は予想が甘かったのだろうか。世間知らずだったのだろうか。人気の業界というだけで目が眩んでしまっていたのだろうか。
私はそうは思わない。
当時のことはもう忘れたと言うが、父な性格からして将来のこともしっかり考えた上で熟考を重ねた挙げ句に出した答えだったのだと思う。
将来どうなるかなんて分かりっこないのだ。

今は学生の売り手市場だ。
学生によっては企業に選ばれるのでは無くて選べる立場にいると感じる人もいるだろう。
何を基準に卒業後の進路を選ぶかは人それぞれだし、何が正解というものでもない。しかし、今の判断は間違っていてもおかしくないと思っておいた方がいい。
企業に入って安心、では無く、自分のどんな点を活かすことで仕事として社会に還元出来るのか。そのためにはそこで何を学び、何を身に着け次の自分へのステップとするか。

いまにとらわれずに、一生を掛けて社会に役立つ人間になるための方法を模索して欲しいと思う。

おわり

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