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大統領選挙を見ていて思ったこと2
選挙制度の特殊性はさておき、人民による人民のための人民の政治を貫いてきたアメリカは、自由民主主義のお手本のような国であるに違いない。戦後の日本はそのアメリカの影響を強く受けた。それはアメリカ民主主義の影響と言うよりも、アメリカ的なもの、といった漠然として曖昧な影響のされ方ではあるが、価値観の広い部分を占めていると思われる。
何よりも自由を尊重し人民が主体となって政治を行うことは良いことだったはずが、それを実行して来たアメリカという国が政治的に大きな分断に苛まれている現状を見ると、何かが間違っていたのか、それとも間違っていないにしても人間はunite出来ない生き物であることが単に露呈したのかのいずれではないかと思ってしまう。
トランプ陣営や共和党の圧勝という言い方は、選挙の勝ち負けという意味では間違っていないものの、アメリカ国民のほぼ全てが共和党を支持したということでは決して無い。トランプ氏とハリス氏それぞれの得票数は均衡しており、少しだけトランプ氏に針が傾いたというのが正しい。つまり、全く持って圧勝ではなかったのだ。
共和党か民主党か、日本人には関係無いが、もしあなたがアメリカ国民だったとしたらどちらを選ぶだろうか。これに答えるのは容易ではない。アメリカにしばらく住んで生活してみないことには分かるはずもないからだ。アメリカ国民が何を感じて生活しているかもそうだが、共和党とは何なのか、民主党とは何なのか、それら双方の支持者たちはどんな考えでどんな雰囲気なのか。そうしたことを理解せずには、どちらを支持するかなど決められないだろう。
だからもちろん、アメリカで生活した事の無い私には共和党も民主党もどちらも選べないのだが、トランプ大統領になったら大変だみたいな報道に単純に惑わされてもいけない。もしあなたがアメリカ国民だとしたら、誰が大統領になったとて、両陣営の分断の溝は埋まるどころか深まるばかりで、どっちにしても大変なのだ。
トランプ氏が掲げるMAGA(Make America G reate Again)が意味するところは受け手によって様々で、それが指すアメリカは独立当時のアメリカだと言う支持者もいる。それは遡りすぎだとしても、少なくとも最初にこの言葉を使ってキャンペーンを行ったレーガン大統領以前、すなわち1960年代以前のアメリカを指すことは間違いなさそうだ。アメリカが光り輝いていた時代、夢と希望に満ちて物が溢れ無尽蔵なエネルギーを消費し、世界で一番幸せを謳歌していた(とアメリカ国民が思っている)時代のことだ。その頃、アメリカは分断していなかったし、一つになって世界を突き進んでいたのだ。アメリカの良き価値観を微塵の疑いもなく世界中に自信を持って提供していた時代を再び、というわけだ。
その時代をひとことで言うなら、「欲」と表現しても良いのかも知れない。確かにトランプ氏からはgreedが滲み出ている印象を受ける。しかし、それが進む先にある世界に何があったのか、再び歴史をなぞるなら、MAGAは幻であることに気付くべきだろう。
きっとトランプ支持者たちは映画『セブン』には反吐が出ると言うのだろう。欲望こそがエネルギーを生み世界を動かすんだと真顔で言うのだろう。EVクソ喰らえ、車はガス(ガソリン)で走るもんだ、何がエコだ何が気候変動だ、お前らバカか、自制したけりゃ勝手にしてろ。だけどアメリカは行くぜ、ガンガン消費してグルグル金を回して、ガツガツ食ってハッピーになるんだ。そのためには、ドリル、ドリル、ドリル! 資源を掘りまくってやるぜ! 自然破壊上等だ! とでも言うのだろう。
そうした熱狂が巻き起こるのは、今のアメリカの不幸の裏返しであることを忘れてはならないのだろう。
日本ではオシャレなお店で人気のスタバがアメリカで廃れるのも分からなくない。痩せが小洒落て何を飲んでるか知らないが、マッチョなアメリカのコーヒーはあのアメリカン・コーヒー一択なのだ。
そんなトランプ陣営に、EV先駆者たるイーロン・マスク氏がいるのがサイコーに面白い。テスラはそのうちに最強のガソリン車を作るのだろうか。それとも何かのギャグか。
おわり