⑤ 「会議」「話し合い」の原理・原則2
次は「話し合い」の原理原則(その2)を指導しました。これは④で示した「『むすび』に導く『まとめ』を複数にしていく」(ルービックキューブの複数の色が見えるようにする)というものです。
イメージしやすいように授業では「トリの目になる」(マクロの視点を持つ)という表現を使いました。つまり、トリの目になれば視点が遠のいていくことになり、Bさんの発言した「まとめ」(「責任感があること」)以外の「まとめ」(クラス代表としてふさわしい姿)も見えるようになるからです。
学生には異なる「まとめ」を考えさせましたが、今まで学習してきたように「まとめ」は「なか」とセットとして考えるべきものとなります。よって、「まとめ」とその具体的な根拠となる「なか」をセットにして考えさせました(帰納的論理の観点から言えば根拠は複数示す必要がありますが今回はひとつでよいと指示しました)。
学生が考えたひとつの例を以下に示します。
「まとめ」リーダーシップがある
「なか①」サッカークラブの30人の仲間をまとめていた
この考えがでたら、他の学生は再びアリの視点でこれを見つめさせます。根拠となる異なる「なか」を考えさせるのです。すると、以下のように「なか②」を付け加えていきます。
「なか②」合唱では指揮者としてクラスをひとつにまとめた
これをもうひとつの「まとめ」(「なか①」「なか②」とセット)とすると、例えば今までルービックキューブの黄色面しか見えていなかったものが赤色面も見えてきたことになります。つまり「むすび」がふたつの「まとめ」から導かれたものとなりさらに強くなったということになります。
具体的には以下のような表現になります。
なか① 整頓係の仕事の取組み
なか② 毎日の課題の自主学習の取り組み
なか③ 友達と約束したことは必ず守ること
なか④ 一度決めたことは一人になっても最後までやり遂げること
まとめ Aさんは責任感がある(=黄色面)
+
なか① サッカークラブの30人の仲間をまとめていたこと
なか② 合唱では指揮者としてクラスをひとつにまとめたこと
まとめ Aさんはリーダーシップがある(=赤色面)
↓
むすび Aさんはクラス代表にふさわしい
つまり、日常生活における「会議」や「話し合い」とは、前の記事④と本記事⑤で示した二つの方法によって、そのゴールである結論を説得力あるものに高めることができるのです。
論理の強さとは、帰納的な強さと演繹的な強さの二つを合わせたものとなるのです。