ちろりちゃん
お酒のイベントや立ち飲み屋に行ったときにちろりを使って熱燗を作っているのを見て以来、アレが欲しい!と思っていた。
当時はこの容器の名前を知らなくて「熱燗 作る容器」とかなんとか調べて、それがちろりだと知った。
見たことはあるけど名前は知らないものって生活の中に意外とある。ものの名前だけではなく、この気持ちをなんと形容すれば的確なのかと思い悩むこともあるし、言葉ってきっと一生かかっても十分にはならないんだろうな。
さてさて、使う前にちろりという酒活充実グッズについて少し深めてみよう。まずちろりって名前がやたらかわいい件について。これがなぜちろりと呼ばれるのかは、なんとあまりよく分かっていないらしい。
そもそもいつ頃どのように生活に入ってきた、みたいな経緯も確かなことは分かっていないとか。謎の神器ちろり。
素材はさまざまで、銅や錫、アルミ、ガラスなんかもある。アルミが元祖なのかなと思ったけれど、銅が主流だったらしい。熱伝導率がいいのが共通項で、陶器で作られている徳利と比べると、すぐにお酒が温まり効率が良い。
上記の素材の中で熱伝導率が1番高いのは銅。ふむふむとさっそく周りに知識をひけらかすと、工業系の知識がある人たちからも「アルミの方が高いと思ってた」という言葉がちらほら。つい、いいこと教えてやった!という顔をしてしまった。
ちろりが日本にまだなかった頃には直火で酒を熱するアイテムがあり、温度調節が難しかったとのこと。たしかに沸騰でもしようものならば大事な大事なアルコールチャンスがやって来なくなってしまうし、おいしくないものね。由々しき事態だよね。
買ったことでさらに関心が膨らみ、知識を得られた。うんちくはこれくらいでいいから早く飲みましょ飲みましょ。
説明書などはしっかり見るタイプなので、使い方をネットで検索。
私はちろりというものをちょっと勘違いしていた。あの取手は鍋のふちに引っ掛けるものかなと思っていたのだけど、ちろりほどの深さのある寸胴鍋なんて自宅にあろうものか。あれはあくまで持つためのものなのだな。それとも昔はお店で引っ掛けて使っていたのかな。はてさて。
それから私はちろりとは沸騰している鍋に日を止めずに投入するものかと思っていた。だけど沸騰後火を止めてから投入するらしい。これは普通に湯煎の知識不足...
燗酒は50度くらいを目指すのだからそりゃそうだよね。加熱しながら入れたらすぐにそんな温度を超えてしまう。説明を見なかったらおいしいお酒を台無しにするところだった。危ない危ない。
最後に熱燗と一般的に言われる燗酒は、温度により細かく呼び名が決まっているらしい。ぬる燗は40度、熱燗は50度。55度はめちゃくちゃかわいくて、「とびきり燗」!
なんかチョコボールの景品みたいだよね。金のとびきり燗(缶)当たる!ってかんじ。
30度の燗は日向燗。こりゃあ日向ぐらいの熱さだな〜って決めたのだろうか。とっても風情のある名付け方でいい。
そんなふうに学んでいるうちに、あっという間に私のちろりが手がけた初の熱燗ができあがった。
家にあったのがスッキリタイプのお酒だったので香りが強く立たなかったけれど、ちびりと飲んだら口の中がまるでこたつみたいにあったかくなる。「ッカー!」と言いたくなる気持ちがすごくよく分かった。
「何か、何か東北とかにありそうな味濃いめのアテをくれ…塩辛とかを...」そういう心境になる。今度はぜひ用意してのぞもう。
もう春を迎える頃だっていうのに、燗酒にハマってしまいそう。お酒の世界はまだまだ楽しみがたくさんある、幸せだなぁ。