見出し画像

在りし日のサイゼリヤ

在りし日、汗ばんだ私は家から最も近いイタリアにいた。

そう、サイゼリヤにひとりで飲みにきたのだ。平日の昼下がりということもあって店内にはポツポツと人がいるのみ。空いているお席どうぞと促されて、2人掛けのテーブルに座った。

荷物を肩から下ろしてふとテーブルを見ると驚き。な、なにぃ!デジタル化しとる!あの手書きで紙に書いていた時期は終わり、スマホ注文に切り替わっているとは、ちょっと目を話した隙に近代化。

世間はどんどん便利になっていくのでびっくりしちゃう。最近いろんな情報を追おうと思ってもぜんぜん追いつかなくて、これは私が歳をとってきているのか、それとも情報社会の波が高く、速くなっているのか。

さて、じつは家でビールをひっかけてきたのはナイショの話。乾杯ビールを家で済ませ、ここではおいしくて安いワインを飲むっていう魂胆だ。最近の私の酒事情は計画的なんだから。

初手は迷わず『たまねぎのズッパ』と『小エビのカクテル』。それと白ワインを250mlのデカンタで。私、たまねぎのズッパ食べるの初めて。ほとんどの人が「ズッパ…!ズッパ…?!」と記憶を探るも見当たらない体験をしているんじゃないかと思われるこれ。

ズッパについては有賀薫さんのnoteがヒットして、いくつかのおいしそうなレシピが添えてある素敵な説明だったので、リンクでぜひ。要するにイタリア語でスープのことで、飲むというより食べるものだそう。

たしかに飲めるくらい柔らかくなったたまねぎと、スープにひたったパン、さらに上に広がっているチーズ。口の中に入れると期待以上にびよーんと伸びる。お腹にたまらないけど食べている実感があるこのかんじ、すごくイイ。ワイン、いける。イイ!

そういえば、『ブロッコリーのくたくた』っていうメニューが以前あって、いつか食べようと思っていたのだけど、いつの間にかなくなっていた。だから明日やろうは馬鹿やろうだって言ってるでしょうに。くたくたってネーミング、食感がすごく想像できるけど感性が日本すぎておもしろい!って気になってたのになぁ。

店内では、若い男性店員さんが先輩に付き添われて接客指導を受けていた。学生バイトだろうか、緊張した顔やガチガチの仕草が初々しい。私ときたら30超えた頃からすっかりおばちゃん視点も板について、頑張る若者にはつい生ぬるい目線を向けてしまう。料理を出しては優しく指摘を受けながら右へ、左へ。がんばれ、早く慣れるといいね。

頃合いかと追加で『エスカルゴのオーブン焼き』を頼んだ。お腹の具合を見て、食べ物はこれと〆のパスタで終わりかなぁと、ふぅと息をつく。

食べ物が来るまでの間、再び店内を見回すと、ドリンクバーに向かう学生さんやマダムが目に入る。昼下がりは手よりも口が忙しいみたい。私は酒が忙しい。デカンタ赤も頼んじゃったよ!へっへー。白を飲んだら赤も飲みたい。これ至極当然のことですので。

エスカルゴは新人バイトくんが持って来てくれた。もう先輩の見守りは卒業したようで、ひとりでやや緊張気味にテーブルに置いてくれる。な、なんか私も緊張するな…ありがとうございますと私が告げると、無事エスカルゴが慎重なムーブで着陸。ほっ。

ちなみに後日談で、たまたま数日前に再度サイゼリヤに行くことがあって入店したら、この新人バイトくん、ものすごく慣れてた。颯爽としてた。おばちゃんはね、推しを見るような気持ちになったよ。また行くからさ、辞めないでおくれよな。

さて、1つずつマイコックピットにおさまったエスカルゴは、もういよいよワインと仲良し。残るべき商品が残るサイゼリアの弱肉強食メニューで、このかたつむりんはずっといる。鬼強メンバーだ。

オリーブオイルに浸かっているように見えるし、アヒージョみたいなかんじかな〜?と思いきや、しっかりとバターの香り。細かく切られた野菜も贅沢で、小さなポケットに入っているのがもどかしくなる。1滴残らず飲み干したい。フォカッチャとか頼めばいいんだけどね。

だけど、私は本日の〆は『ペペロンチーノ』なのだ!ペペロンチーノもずっとあるメニューで、中学生から食べてきた。あのときの私はミラノ風ドリアかペペロンチーノでいつも延々悩んでた。何せ「これでいい、これがいい」を極めたシンプルさ。そして守り抜かれた300円。サイゼリヤに関しては全部そうだけど、外食でこの価格、いいんすか?!本当にありがとう。ビッグラブ。

サイゼリヤって未熟なあの頃は学生の味方だとしか思っていなかったけど、大人になると、酒飲みの味方でもあると気づき、ここ1年くらいですっかりカムバックした。サイゼは2度咲く。いや、多分子どもができたママさんは子どもを連れて来るのもイイってなるし、ママ友ともドリバで一生過ごせる。そうなるとティラミス最高ってなって、またサイゼ咲く。一生サイゼ咲き誇る。なんか平成のJ-POPみたいになった。何度でも行くぜ、サイゼ。(韻)

赤ワインが少し残っていたのでティラミスを頼んだ。ココアパウダーのおかげで甘すぎず、ジュワジュワの生地に洋酒の香り。オトナおいしい。スイーツにお酒は合わせないという人がいるらしいけれど、皆さんはどうだろう。私は何も気にならないタイプ。むしろスイーツとのペアリングもいろいろ知りたいなぁと思っている。

案の定というかなんというか、デカンタで頼むとついつい早く飲んで酔っ払いになってしまう。本日はこれにておしまい。

お店を後にすると、暗くなってきているようだった。ニア夜道の酔い覚まし。飛行機なんて必要ない。最寄りのイタリアから、ゆっくり歩いて帰ろうか。

いいなと思ったら応援しよう!

みっき
最後までお読みいただきありがとうございます! サポートまでしていただけたら、飛びます🚀 学びのレベルUPに使わせていただきます!ウォァァ!🔥