2021年の2月に肺炎になった話
先に断っておきますが、COVID-19 (以下コロナ)ではありません。
Twitter に連投で呟いたんですが、文字数制限があるのと編集できないので文章を修正できないのもあって note に書き直すことにしました。
ちなみにマスクは不織布、行くのはスーパーマーケットと書店くらい。家に帰ったら必ず手洗いという生活をしてました。仕事は年明けからずっとリモートです。そんな生活でも病は突然やってきます。
2月のとある水曜日
リモートとはいえ仕事に疲れて夕食後にこたつで寝てしまったこの日、寝る前に激しい悪寒に襲われました。体温を測ってみると 37.5度 パルスオキシメータも使ってみると画面がオレンジ色に染まって点滅します。画面が示すのは89%。
頭をよぎるのはもちろんコロナに罹患したのでは、という懸念です。とはいえ、まず疑うのは測定ミス。パルスオキシメータから指を抜き取り、違う指にはめようとします。
ですが、いつもだと指を抜くと消えた画面が、待てども待てども消えずオレンジ色の点滅を続けています。ボタンを長押ししてなんとか消したあと、もう一度違う指にはめてみます。しかし画面はまたオレンジ色の点滅をはじめます。
ちょっと驚きますが落ち着いて考えます。指先が冷えてると確か正しい値が出ないんだよね。暖めてから再度測ると 97%。はー良かったビックリしたよ。まったく。こたつで寝ちゃったし風邪ひいたのかなーさっさと寝よう。と布団に入ります。
布団に入ってしばらく、トイレに行こうとすると手もブルブル、足はガクガク、なんとかトイレまでたどり着いて用を足した後、もう一度体温を計ろうとしましたが大きく震える手は体温計を掴めません。足の力も抜けて転びかけてしまいます。なんとかパルスオキシメータを掴み指にはめてみると再び画面がオレンジ色に染まって点滅します。
この時点で自分の血中酸素濃度が危険域にあることを認めます。次に考えるのは救急車を呼ぶかです。でも、救急車を呼んだことのない僕は呼ぶ度胸もなく、横になったら落ち着かないかと考え布団に潜りました。
激しい咳と止まらない震えの中、明日起きれるのだろうかと考えながらもあっという間に睡魔に飲まれていった夜でした。
何かの間違えで、同じ状況にあるのにこの記事にたどり着いたあなた。救急車はあなたのような人のためにあります。すぐに呼びましょう。(お医者様の受け売り)
ちなみになぜパルスオキシメータを持っていたかと言うと、コロナが流行る前に趣味の電子工作で作ってみようとパルスオキシメータのセンサーを買っていまして、その比較検証用にと品薄になる前に購入したのでした。
https://twitter.com/tnoho/status/1344238458265452544
2日目、木曜日
心配もなんのその、普通に起きることができて熱を測ります。体温計が指し示すのは37.6度、血中酸素濃度は95%。
もうコロナにかかったと考えるのが妥当です。そういえば、自治体が提供しているコロナのLINEに登録してていたなと思い自己診断を始めてみます。
熱は。。。高くないな。咳は。。。出るけど乾いてない。結果は。。。
ほー受診の必要性なしか。まー朝になったら悪寒治ってたしな。と思いつつ、上司にも勧められたのでLINE の発熱時に受診できる医療機関を探すを押して医療機関を探します。
埼玉県の場合はこちらのサイトから探すことができます
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0710/hpsearch.html
すると幸にして一度かかったことが近くの開業医さんが受け入れてくれていることを知り。電話をかけてみたところ、「熱はありますか?飲食店に行きましたか?」などと聞かれ質問に答えた後に、午後のこの時間に来てくださいとあっさり予約ができたのでした。
この時はだいぶ平気になってリモートで同僚と話しながら、「実はちょっと熱があってさーこの後発熱外来行ってくるんだよねー」などと話していたくらいです。この頃にはもう扁桃炎なんじゃないかくらいの気持ちになっています。
そして、やってきた発熱外来。おー待合室分けてある。あーやっぱ換気扇増設したりしてるのかーとか見ながら、もうだいぶ軽い気持ちになっていました。到着して熱を測ります。ん?36度台じゃん?そして、しばらくで呼ばれます。久々に会ったお医者様も軽い感じです。
「みんなさー対策してるからコロナの人はほとんど居ないのよねー。だからこのタイミングで発熱外来に来ないといけなくなったコロナ以外の人の方が遥かに厄介なのよー。」
なーんて、ニコニコしながら言っています。フラグ。こっちも、「そうですよねー」なんて返しながら。じゃあまぁ、血液検査とレントゲン撮ろっかーと軽いノリで検査を受けて結果を待つことしばらく。名前を呼ばれて診察室のドアを潜ると、お医者様の眉間に皺が寄っています。
「CRPと白血球が高いし、レントゲンが過去の結果と違って、最低でも気管支炎にはなってそうなので、CT撮りましょう」
と言われて、今度はCTを撮ります。そして結果を待つことしばらく。名前を呼ばれて診察室のドアを潜ると、お医者様の眉間の皺が増えています。
「コロナではないが気管支肺炎で何かわからないけど弱そうな細菌にやられてます。抗生物質を出します。来週またきてください。あと、なんか内臓脂肪が肺を圧迫してるんだけど太った?」
とショッキングな台詞を言われて帰ることになりました。
とりあえず、都内に出勤するたびに甘いものを買う習慣に終わりが告げられました。
ちなみに一応大学では実験屋で素人が測った計測値に信頼性など無いと思っているので、測られることがなかったこともあり血中酸素濃度については黙っていました。
ぶぶー。だめです。判断材料をあえて減らす意義はありません。
「あ、咳が出るから熱がなくても発熱外来来てねー。いいじゃん、待合室で待たなくていいんだからお得よ。お得。」
まぁ、確かにその通りだ。
3日目、金曜日
「なんか今日はHP少ないみたいよ?」
なんて報告を上司にしつつ。細菌性気管支炎かーとりあえず加湿器のフィルター洗うかーなどと言って洗ってから仕事を始めます。
ぶぶー。加湿器のフィルターが本当に原因なら危険です。
仕事はもちろんしちゃだめです。
ところがちょっと階下にゴミ出しに行くだけで1500m走を走った後のように息が切れて足が止まり動けなくなる自分に気づきます。
この時の体温は 37.5度 血中酸素濃度は安静時で 92% でした。
4日目、土曜日
体温は 37.7度 引き続き安静時は血中酸素濃度 92%
ただ、湯沸かしやトイレのたびに息がしんどくなります。一瞬で 80% 台まで下がるのです。その時に撮ったのが一番上の動画です。
座ったり寝たりしていれば 92% までは戻るのですが、流石にちょっとおかしいんじゃね?と思い始め、お医者様に電話します。この時初めて血中酸素濃度を告げます。
「ちょっと来てください。大丈夫ですか?来れますか?」
この時僕は歩幅を半分以下にして歩くことで、息切れを起こさずに歩くことができると言う発見をしていました。ご老人が道端でたまに休んでいる理由を体感することになります。いや、ほんとしんどい。
「大丈夫、安静時なら95%あるので行けます!」
はい、盛ってます。その日のトップ値です。信用してはいけません。そして、いつもなら10分程度の道を30分かけて息切れを起こさないように加減しながら歩いて行きました。車持ってないし、咳出るからタクシー乗れないし仕方ないよね。
着いたら待っていたのはレントゲン1回、胸部CT、頸部CT一通り撮った結果は
「肺炎になってますね。でも、やっぱりコロナじゃなさそうね。コロナの患者さん、肺のレントゲン結果こんな黒くないから。一目でやばいってわかるレベルでやばいから。とはいえ、一応検査はしておきましょう。」
と、ついにやってきた鼻ぐりぐり。そう。COVID-19 の抗原検査検査です。ムズムズしますけど痛くはありませんでした。結果は陰性。
ちなみに PCR ではなかったのは土曜日だったので月曜日まで結果を待てないと言う理由でした。アレルギーの可能性もあるので血液検査もしましょうと言われて採血。
「今日はもう土曜日の午後なので、これからだと大病院にかかるのも難しいですし、とりあえずは薬を強くしましょう。」
「もし異変を感じたら躊躇せずに救急車を呼びなさい」
と人生初のセリフをいただきました。診察中「ごめんね最初の投薬外しちゃったみたい。」と謝られましたが、見て貰えるだけでありがたいし、そういうことはあるよね。という感じでした。
お会計は診察室、薬も薬局の人が診察室まで持ってきてくれました。プチセレブ感です。それもそのはず。この日は発熱外来もなく、午後は休診日でした。先生。ありがとうございます!!!
薬は抗生物質2種にステロイド1種。そして咳止め。看護師も薬剤師も驚く組み合わせなのか、本当にこの組み合わせ?としきりに気にしてました。
とりあえず加湿器を止めて、布団を干しました。仕事は
「働くなんてとんでもない。在宅でもだめです。」
と言われたのでした。
働くなんてとんでもない!布団を干すなんてとんでもない!大人しく寝てろって話です。なんか普通の人より無理が効くみたいなんですよね僕の体。昔40度の熱でも普通に1km以上歩けたし。って、寝てろって話です。
5日目、日曜日
上司「ping」俺「ping」
まぁ、生きてるけど、頭はだめですね。
抗生物質が効いたのか熱が下がって楽になってきました。お腹の調子が悪いのは副作用かな?
6日目、月曜日
体温は 37度ちょい 血中酸素濃度は 95% ちょっと戻してきました。咳はまだ続いてます。
といいつつ 92% から 95% への変化は体感だと大きかったようです。だいぶ楽になったとチャットに書いてました。
週明けに来てくださいと言われていたでの医院に向かいます。また倍以上の時間をかけて、歩いていると気付くのは呼吸のマージンの少なさです。単純に一度に吸える空気の量がすごく少なく感じるのです。今度は着いたら即レントゲンと血液検査、順番を飛ばして診察室に呼ばれました。
「よかった薬効いてる!日曜日は大丈夫かずっと気が気じゃなかったのよ!」
と言われます。え、そんなやばかったの?
えぇ、そう。今になって冷静に考えてみたら当然です。土曜日の時点で 92% 悪化を続けていれば日曜日には血中酸素濃度は 80% 台まで低下していたのですから。
ついでにパルスオキシメータの使い方も教わりました。まぁ、特に間違ってもなかったんですけどね。実は医院では初パルスオキシメータです
「末梢で測定するものなんて、そんなあてにならないのよ。レントゲンとCTで大体わかるからね。血中酸素濃度はそうでもないけど心拍数が高いね。心臓頑張ってる。」
なるほどー。。。
「原因わからないし本当は紹介状書いてあげたいんだけど、今は呼吸器内科はどこも大変だし書いたところで今いつ見てもらえるか分からないので、投薬で逃げきれないかやってみましょう。」
というわけでコロナの煽りを受けます。まだアレルギーの検査結果は出揃ってないので、出揃うの待ってまた来てください。あ、コロナは偽陰性の可能性もあるので薬局には入らないできださいと言われます。薬局に入らずに玄関先から電話をかけて対応してもらいました。
10日目、金曜日
熱は変わらず 37度台ですが、血中酸素濃度はもう測ってませんでした。咳もたまに出ますが、普通に動けるようになっています。経過観察で訪れた医院でいつも通り血液検査とレントゲンを受けて診察室を開けると。。。あれ?先生、なんでそんな渋い顔を?
「白血球が増え続けてるんです。桁がおかしい」
桁がおかしいってそんな。
「アレルギーの検査結果は出揃いましたがアレルギーではありませんでした。ステロイドも抗生物質も普通に町医者で出せる限界を出していてこれなんで、もう精密検査するしかないです。大病院に掛かってもらうしかないので無理かもしれないけど、ちょっとアポ取ってみます。」
と、先生自ら大病院に入院交渉。待つこと1時間。結果としては、どこもコロナでいっぱい。受け入れている余裕はないとのこと。そう、緊急事態宣言は解除されてますが僕は呼吸器疾患で受け入れ先は呼吸器内科。どこもまだ余裕はなかったのです。
仕方ないのでCTだけもう一回撮っておきましょうと言われ、結果を待つことしばらく
「肺はキレイで肺炎の影は無くなってるわねー。内臓脂肪が消えてなる前より綺麗なんじゃない。」
と言われます。お。そうなの?やったね!とはいえ、問題は既に肺炎から収まらない発熱と白血球の増加傾向に変わっています。
「申し訳ないけど対症療法をとるしか術がありません」
と告げられ、肺炎は治ったのでとステロイドと抗生物質を中止して様子を見ることとなったのでした。
白血球の増加?ステロイドのせいじゃね?って思うかもしれませんが、ステロイドのせいにするには増えすぎなくらい増えてたらしいです。
その後は熱も咳も落ち着いたからとリングフィットを再開したら翌日発熱して轟沈するとかやってましたが、おかげさまで完治して今は普通に過ごしています。
リングフィットは最終ステージを残してお休み中ですが。
結果 3kg 体重を落として、投薬終了となりました。胃が小さくなったのか、食べれる量は減ったままです。結局原因は不明です。
「肺炎の後は別の病気にバトンタッチしたんじゃなかろうか」
なんて、先生はおっしゃってました。
終わりに
なんか書いてみると軽い感じになりましたが、実際僕の場合は 92% の時でも寝てるか座ってれば簡単な家事をする程度には動けたので元々座り仕事なのもあって、できないことは少なかったこともあり。軽い感じになりました、
ですが、症状が出た時の出方は鮮明です。少し派手に動くと、文中にも書いた通り 1500m 走を全力疾走した時と同じくらいの息苦しさに襲われます。呼吸は浅く、十分に酸素が取り込めていないことが感覚的にわかります。僕の場合、それは間欠的なものでしたが。ずっと続くならば大変なことです。
もし、土曜日の薬が聞かずに日曜日に安静時でも 80% 台まで落ちてしまったらどうなっていたのかはわかりません。今は 80% 台でも自宅療養を強いられると聞いています。それはもはやずっとしんどい体力勝負なのではと思って聞いていました。
たとえ緊急事態宣言が解除されたとしても、それは政治的判断であって実態が反映されたものではありません。病気、特に呼吸器疾患については普通だと受けられる治療を受けられない状態が、もうずっと続いているようです。
コロナで失われた命の数はカウントされますが、コロナがなければ助けられたのに失われてしまった命の数はおそらくカウントされていないでしょう。通常の感染症での死者が減っている今、そういった不運としか言いようのない人たちが顕在化してくることは無いように思えます。
「コロナじゃない人の方が、はるかに厄介なのよ」
もはや、この言葉は違う意味に聞こえてきます。
今はコロナだけではなく、自分の命を守るために病気にかからないように免疫が下がるような全ての行動を控えた方が賢明に思います。
余談
事実ではなくて陰謀論じみているので一歩引いて読んでください。
政治家はコロナ対応の病床数を増やすことに躍起になっているように思えます。下の記事を読んでみてください。
現在、8床がコロナ患者用に充てられています。東京都からは「できるかぎり増やすよう」依頼がありました。さらに6床増やして14床にした場合、残り32床ありますが、人手などの問題で14床が稼働できなくなります。
コロナの患者は人手がかかり、通常の集中治療の3倍かかります。平均滞在日数は倍近くかかる。結果14床減らすしかないという話です。
もう僕はコロナ向けICUの病床数を増やしたというニュースを聞いて喜ぶことはできません。
カウントされ公表されるコロナの死者を減らす。その陰で不運にも命を失っている人が増えていくが、それは赦すのか。
東大病院長の話は、その警鐘に聞こえてきます。変異株の感染力は非常に強いもののようです。十分に対策を取っていたにも関わらず。不運にもコロナにかかった人もいるでしょう。
でも、もしICUで助けられた人が飲み会が原因でコロナにかかった人で、その人を助けるためにICUに入れず失われた命が5人いたならば。あなたは赦せますか?