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映画「正体」と 吉田松陰と 至誠。 そして・・・

どうもオッサンです。

カミさんとは映画の趣味が合わないのでなかなか一緒に行くことも少ないです。やっぱりカミさんはカッコいい俳優がいいらしく、そう言っているカミさんを見ているのもコソバユイノデスヨ。
でもたまにはと思いまして映画について行きましたら「正体」めっちゃ良かったです。なんか涙流れました。オッサン ナミダナガレマシタ

とても熱い映画でした。その熱さについてオッサンの視点からの感想といいますか、雑文です。


この映画を見てふと頭に浮かんだのが、私の好きな熱い人。吉田松陰さんでした。

吉田松陰という熱い人

映画から遠く離れて吉田松陰さんの簡単な説明をさせていただきます。

江戸末期。鎖国の日本にペリーが黒船でやって来た。日本人の常識を超えた船。海に浮くはずもない巨大な軍艦は、当時の日本人にとっては、まるで映画インディペンデンスデイの世界。
いるかどうかも分からなかった宇宙人が突如、街よりも巨大な宇宙船で住んでいる街の上空に現れた!!

そんな衝撃だっただろう。

このままでは清(中国)のように日本も食い物にされてしまう。
なんとかしなければ!
はじめは、どうやって西洋を倒すかを考えていた松陰だが、実際の黒船を見て、西洋の知識を学ぶべきだと想いを改める。

海外へ行こうとすれば死刑だった時代に、盗んだ小舟で走り出す。
尾崎豊ではないです。松陰です。
そしてペリーの黒船に小舟で乗り込んでいった。

松陰は、今後3000年の日本の未来を考えれば、たかだか出来て250年のくだらない鎖国の法律などなんでもない。そう考えていた。日本の未来を想えば自分の身など大したことはないと思っていた。

残念ながら松陰の渡航は叶わなかった。

日本の幕府に引き渡され、裁きを受ける。この時、松陰は役人に日本についての想いを、これからの日本のあるべき姿を熱く語った。当時の日本では幕府に害をなす考えの者は打ち首の時代に全てをさらけ出して全てを語った。
本来なら死罪となるところを助けられ、国許蟄居(謹慎させ、外出を禁じる刑罰)となった。

そして幽閉の身でありながら下級武士の子どもたちに教え始める。この松下村塾で松陰が教えたのは約2年半。上下関係の厳しい時代に、松陰は門下生に対して一人ひとりを友人として扱い、目標を真剣に語りあった。

この松下村塾で学んだ塾生から総理大臣2名、国務大臣7名、大学を作った人2名が誕生することになる。

最終的に吉田松陰は幕府老中の間部(まなべ)暗殺計画のために安政の大獄で処刑されることになる。幕府が勝手にアメリカと不利な条約を結んだことで、このままでは日本は滅んでしまうとの想いからの暗殺計画であった。また、実際には計画の時点で自分から役人に話したのだった。

なぜ自分から話したのか?

ペリーの黒船に乗り込み、密航で捕まった際、役人は吉田松陰の話を熱心に聞き、詳しく記録をとったのだそうだ。

至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり
(正しいことを行えば、人は必ずこたえてくれる)
松陰はこの孟子の言葉を大切にして生きていた

だから自分から暗殺計画を話すことで、日本のいまを、これからを、日本を守るために必要なことを熱く、真剣に語れば人は必ず聞いてくれるし、人は動くと思ったからだった。

残念ながら、この時の役人は話を聞くことはなく、松陰は死罪となってしまう。

松陰の熱い想いは、正しい行いはこの役人には通じなかった。

松陰はこのことについてこのように記録している。
通じなかったのは、自分の徳が低かったためだ。


死罪と決まったあと、松陰はその辛い牢屋での生活をどのように過ごしたのか?

長い時間をかけて遺書を書き始める。
留魂録という題名のこの遺書は、遺書とはかけ離れた内容。松陰と思いを同じくする人々に宛てた、その人たちの今後の活動の手助けとなるような、誰を頼るべきか、どう進むべきか。そんな文章を書き続けた。

留魂録の初めにはその題名とともに一首の歌が記載されている

身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留置(とどめおか)まし大和魂


松陰の死後、松陰が望んだように幕府が倒れ、日本は近代化し、大学が作られた。

至誠の想いは通じたのだった。

自分が成し遂げなくても、同じ志をもったものが成し遂げてくれるように。死ぬ直前まで行った準備が花開いたのだった。

「正体」で一番心に残ったセリフは
正しいことを正しく言っていれば、信じてくれる人がいるんじゃないかとおもって。

至誠そのものだった。

この映画は自分に語りかける。

今の冷めきった世の中だとしても、正しいことを正しく伝えていれば、人は必ずこたえてくれる。

聞いてくれない人を非難するのではなく、正しい道を正しく進み、同じ志の仲間のために最大限の準備をすれば、必ず思いは通じる。

思いが通じて喜びの時代を過ごすのは自分で無くてもいいのだ。
将来の世界が温かく、幸せに生きていけるのならそれでいい。

そんな熱い想いは意外とだれの胸にも眠っているのかもしれない。


吉田松陰のおすすめの本
・覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰  編訳 池田貴将
 松陰の様々な言葉が現代の言葉に訳されていて、初めて読むには読みやすくて良い本です。

・吉田松陰 留魂録 全訳注 古川 薫
 松陰の想いの詰まった良い本です。 





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