妄想紙[vol.6]視る・観る
今回のフィールドワークの集合は靖国神社の大村益次郎像前。集合時間よりも15分ほど早く到着した僕は、予め配布された資料に書かれていた「丸いものを探しながら」というミッションを誰よりも先に始めていた。靖国神社内を少し歩けば、芝生を囲む木の柵であったり、各都道府県から靖国神社に送られているモニュメントなど丸いものは容易に見つかった。今日のフィールドワークはうまくいきそうだ・・・そんなことを呑気に思っていると集合時間になり先生が来た。まず初めに今日のフィールドワークの説明がある、はずが先生は既に靖国神社を「観て」いた。どの木の高さも形も不自然なくらいに揃っている。とてつもない労力がかけられているのだろう。そんな整備された木のことを「発見」し熱く語っている先生を見て、僕は「視る」と「観る」の違いを見せつけらた気がした。
そんなことから始まった今回のフィールドワーク。同じものを「観て」いるはずなのに、一つとして同じ「発見」はなかった。(いずみ)
▼高層ビルと柳の木/natsu
皇居周辺の丁寧に整備された緑と、その側にある超高層ビル群のコントラストは美しくもあります。そんな場所で静かに生きる柳の木に寂しさを感じたと言います。
▼都会の中の非日常空間/Yui Tanaka(やさころ)
靖国神社に足を踏み入れた時、池袋の綺麗な公園に行ったときの感覚を思い出したというやさころ。そのわけは、靖国神社に感じた「非日常性」だったようです。
▼バリアフリーを知らない点字ブロック/mika
なぜか突然曲がった点字ブロックを発見したmika。見て楽しむモニュメントと、目の見えない人や見えにくい人が歩く時の不安を減らす点字ブロックの優先順位に違和感を感じます。
▼「周回は反時計回り」の看板の意味/はるか
「周回は反時計回り」。いつも見る看板とは違う文言が書かれた看板が気になったはるか。生活者、観光客、ランナーと、様々な人がいる皇居ならではの看板です。
▼生き物の居場所はそのままで良いのか/さら
皇居周りのお濠にいた生き物の過ごし方が気になったというさら。美しい白鳥は、いつどこから来たのでしょうか。
▼これは誰のモノ?/いずみ
いつもと違うスピードで、違う見方で皇居周りを歩いたからこそ気づいた、木に付けられた謎の記号。その木には植えた誰かがいて、その記号に意味を持たせた誰かがいます。
▼時の流れを変えるもの/くらっち
歩いていくうちに、自分の歩き方や感じ方が変わっていったというくらっち。景色だけでなく、車通りや人通りの量の移り変わりがその理由でした。
▼変化していく「ハレの日」のデパート/くりのさやか
ゼミのチューターからは、前回のフィールドワークの記事。日本橋三越という「特別」な場所に、ワクワクした一方で少し違和感も感じたと言います。新しくなった日本橋三越には、「居心地の良さ」や「親しみやすさ」がありました。
編集後記
実は、長岡ゼミでのFWはこれで今年2回目。1回目のFWは、私自身、自分のFW内容に納得がいかず、上手く記事にする事が出来なかった。しかし、2回目の今回。私は、ゼミ内で「FW上手くいったぞ」と胸を張って皆に言うことが出来た。その大きな理由の一つが、”必死さ”。今回のFW、私は皇居周りの歩道を楽しく歩きながらも、一方では必死になって違和感を探していた。それは、上手くいかなかった1回目の悔しさだったり、前回の文章に対する恥だったり。そういうものが生んだこの必死さが、結果として納得のいく発見を生み、「この発見を人に伝えたい」という思いとなって文章に表れた。”必死さ”が生んだ成功、しかしこの”必死さ”、人によって合う合わないあるそうだ。FWで上手くいったから、他で上手く行くとも限らない。これからも検証を重ねていこうと思う。(mika)
[Chief Editor] 長岡健
[Editor] 西山なつ美、泉拓真、小澤未花
[illustrator]高村南美