大分遠征(二日目②)
牧ノ戸登山口の駐車場から長湯温泉への道のりはとてつもなく眠かった。あまりにも眠いので、途中車を止めて少し横になる。日はまだ高い。まあ急がずのんびり行こうとハンドルを握り直した。
今日の宿、古い旅館「かどやRe」には15時前に到着した。車を降りると早速筋肉痛で歩きにくかった。玄関を開けて入ると、女将さんが出てきたので名乗ると「ああ、はい、はい」と言って、宿帳も何も書かずに、部屋に通してくれた。
和室の小さな部屋で布団がもう敷いてあった。小さな縁側みたいなのがあり、川の流れが見えた。昔風でとても落ち着く。「お風呂はもう入れますよ」と言ってくれたので、早速、登山で着ていた汗臭い服を脱ぎ、風呂に向かった。
源泉かけ流しの長湯温泉。内風呂はそう大きくないが、湯温がちょっと熱めでとても良い。硫黄のにおいが温泉欲をそそる。肩まで浸かってじっとしていると、登山の疲労がじわじわと湯に溶けていくようだ。やっぱり登山と温泉は切り離せないな、と改めて思う。
露天風呂にも行ってみたが、湯に浸かろうとしたら底がぬるっとしていて滑って転びそうになった。無事下山できたのに温泉で怪我するなんて洒落にならない。露天はやめて、再度内風呂でじっくり身体を温めた。
湯上がりに近くを散歩してみた。良さげなお店があった。夜はここにしようと決めた。橋を渡ると湯乃原天満社という神社があったのでお参りした。
川沿いを歩くとガニ湯という露天風呂があった。近くにガニ湯本舗天風庵という古い建物があったが、閉まっていた。昔は、温泉街として賑わった時代もあったのではないかと偲ばれる。
自動販売機でコカコーラを買って、木のベンチに座ってたたずむ。湯上がりのコーラはとても美味しかった。温泉に入ったからか、体がポカポカして気持ちがいい。湯冷めもしなそうだ。
歩いている人は誰もいない。川が静かに流れている。なんだか時間が止まっているような感覚だった。