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近くにいてもいなくても、この空の下にいる(2013.06.08)

忘れられない香りと、忘れられない景色。
忘れられない思い出と、忘れられない気持ち。

それは幼い頃の記憶によく似てる。

遊び疲れて、自転車を漕ぐ母の背中に寄りかかり、そのまま眠りについた。
その夢の中、この景色、空間全てが永遠だと信じた。

世界のスピードは年を重ねるごとに加速して行き、あっという間に季節を超えていく。
一歩ずつゆっくり成長していた少年も、気付いたらあっという間に立派な青年になり、あの頃寄り道していた道も、全く気にも留めなくなっていた。

どれくらい年月が経っただろう。
知らぬ間に永遠なんてもんがない事を知っていて、変わり果てたあの景色を簡単に受け入れる事が出来た。
少しの寂しさはもちろんあるけど、形のあるものには必ず終わりがくるって事をこの目で確認したんだ。

最早その景色があった事すら忘れていた。

でも変わり果てたその場所に微かに残る香り。そこから色々なものを思い出す。
言葉では言い表せないけど、すごく大切だった想い。

形の無いものには永遠がある事を知った。
そして永遠の終わりが僕の最期である事も知った。

もし形の無いものが永遠ならば、きっとまたあの場所に僕は行くだろう。

同じ景色が見れなくてもいいんだ。
歴史がそこにはあるから。

可能であればもちろんまた、あのままの形であの景色を眺めたいけど、分からないから信じない事にする。

人は優勢な立場であり続ける以上、自ら過酷な道は進まない動物だ。
優勢な立場でいたら、人の優しさに甘んじるんだ。

ものすごく不利な状況になっても信念を貫き通したいと思ったら、それは本物だし、それは信じていい。
だから本物に気付き、大切にしていきたいと、僕は強く願う。

忘れたくない香りと忘れたくない景色。忘れたくない思い出と、忘れたくない気持ち。

2013.06.08

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