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とある誰かのラブストーリー(2013.07.13)

君と初めて会ったのは、本当に偶然の出来事。たまたまそこには君がいて、たまたまそこに僕が来た。
どうしていいか分からずに、とりあえず話をした。
初めて会うのに初めてな気がしない。たくさんの言葉で君に話しかける。
君の笑顔はとても素敵だった。

君と初めて出掛けたのは、とある晴れた日。2人で会う事に戸惑いをかくせず約束の場所で待つ。
5分程遅れてやってきた君の笑顔は僕の緊張を吹き飛ばす。
よく分からないけど、その時の君はとても可愛かった。

君と初めてしたキスは、少しだけ甘い香りがした。
柔らかい唇が重なり、違う温度が重なり合う。それは予期せぬ出来事で、戸惑いを隠せぬまま、唇が離れた後は、互いにはにかむ事しか出来なかった。
とてもとても遠い昔話のよう。

君と初めて肌を重ねた夜。
少し照れた2人。何をしていいか分からずに、心の想いをそのまま体に伝え抱きしめる。
後の記憶は飛んでいて、その場にいる君をひたすら感じる。
後悔も迷いもなく、重なり、愛し合う。
初めて対面する君の姿はとても美しく、妖艶で、僕の理性を全て吹き飛ばした。
迷い込んだ。後戻りの出来ない世界に。

初めて君が怒った時。
僕は何に憤っているか理解出来ずにいた。
何を話しても気のない返事の君。僕は楽しんでもらおうとたくさん言葉を伝えるも、心を閉ざした君の本音を聞く事が出来ない。気付けば時間ばかりが過ぎ、何も出来ずにお別れする。


初めて君が泣いた日。
やっぱり僕はどうしていいか分からずに、涙を流す君の前で動揺するだけ。
でもあまり感情的にならない君の感情を見る事が出来て、心の何処かで安心した気がする。
僕の前の君の涙は、僕だけのもの。
誰にも触らせたくない大切なもの。

初めて君と喧嘩した日。
初めて君が爆笑した日。
初めて君が弱音を吐いた日。
初めて愛してると言ってくれた日。

全ては僕の心の中。その中の世界で生きている。












初めて君を失った日。
たくさん後悔をし、たくさん反省をした。
それでも君は戻らない。
たくさん伝えたい言葉も、たくさん見せたいものも、ずっと心に封印して、その上から鍵をかける。

君を失った世界で、初めて孤独を知る。
孤独を知った世界で、初めて弱い自分に気付く。


強くなる為に出来る事は?そんなものはない。大切な人を守る為に力なんていらない。男らしさなんて気にしない。
それでもどこかで強くあろうと願う。
それでもどこかで毅然としようと振る舞う。


こんな世界でこんな風に、人は人と愛し合う。
こんな世界でこんな風に、人は人と離れ離れになる。
傷つき、傷つけられ、涙を流しながら、日々を過ごす。
それでも時計は回り続ける。

儚く美しい世界。
成功しなかったラブストーリーは心の引き出しにそっと保管し、暫く封印される。

また出会ういつかの為に。

2013.07.13

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