短歌、勉強しています

田中です

こんにちは、田中です。
ここ最近、短歌活動をやっております。
今年の頭に高知県の短歌賞に応募、4月以降は一日一首以上を目標に作り続けSNSに上げるなどしておりました。
しかし、自分が作る短歌のレベルがまだまだ低いことに気づいてしまいました。。

そこで、最近は短歌を作ることに重きを置かず「良い短歌とは何か」を歌集や短歌について記述された本を読んで勉強しています。
今日は自分が作った短歌を振り返りつつ、勉強したことを簡単にまとめてみようと思います。

つい先週末に、歌会という自作の短歌を持ち寄って、それぞれの歌について講評するイベントに参加しておりました。ちなみに自分がつくった短歌は

芯だけに価値は置かれて体貸す HPという鉛筆削る

田中友之

というものでした。
主に講評いただいた内容としては、
・上の句(~体貸す、まで)は主体が鉛筆で、下の句では主体が鉛筆を削る人に変わっており分かりづらい
・HPの解釈が難しく、鉛筆のHPには芯も含まれて削られてしまうのでは?

などあまり良い評をいただけませんでした。
講評の通り内容が整理されておらず、意図したものが全く伝わらない短歌だと自分でも思います。(作ったときは傑作だと思いこんでいましたが。)

制作意図としては、鉛筆には芯と木の部分があり、鉛筆の求められる役割を果たすときに必要とされるのは芯の部分で、木はただの持ち手として支えたのちに削られてしまう。芯と木の関係性に社員として会社に求められる自分の姿が重なり、社員として求められる役割を果たすときに必要とされるのは能力で、人間に価値は置かれず能力を引き出すためだけに削られてしまう。
このような光景を描きたかったです。

そもそも良い短歌とは何でしょうか。
穂村弘さんは著書の中で良い短歌には「共感と驚異がある」と述べられています。
短歌を読んでもらうためには、自分以外の他者に内容を理解してもらう必要があります。そのため、短歌に共感が必要というのは理解できます。では、驚異とは何か。穂村さんは驚異の例として、俵万智さんの一首とそれを改作したものをあげています。

オリジナル

砂浜に二人で埋めた飛行機の折れた翼を忘れないでね

俵万智作:穂村弘「短歌という爆弾」142Pより引用

改作例

砂浜に二人で埋めた桜色の小さな貝を忘れないでね

穂村弘「短歌という爆弾」143Pより引用

どうでしょうか。改作例の方が把握しやすい内容になっていると思います。
しかし、魅力的なのはオリジナルの方だと思いませんか。
オリジナルの「飛行機の折れた翼」以外の部分は容易に想像できるが、飛行機の折れた翼は容易に想像することができない。自分の体験とかけ離れた驚異が、読み手の意識を集中させるきっかけとなり、本来飛ぶはずのものが砂浜に埋められている悲しみを深く読み手に与えることができる。改作例では、特に違和感なく読めてしまい、逆に共感することが難しい。
驚異によりかえって読み手が情景を読み取りやすくなることを、穂村さんは「砂時計のようにくびれがある短歌」と「コップのように上から下へストンと落ちてしまう短歌」と説明されています。

では、自分が歌会で出した短歌の場合はどうでしょうか。

芯だけに価値は置かれて体貸す HPという鉛筆削る

田中友之

共感という要素では、鉛筆削りのことを言っているのはなんとなく分かります。
驚異という要素では、「HPという鉛筆」が当たるのかもしれませんが、何を指しているのか分かりづらいです。手前の「体貸す」が「HPという鉛筆」を理解するヒントになりきれていないのもつらいです。

これらを踏まえて作り直すとこんな感じでしょうか。

芯だけに価値は置かれて鉛筆の体は外から削られてゆく

田中友之

共感については、逆に共感できない言葉をそぎ落として、一首通して共感できる内容にしました。
驚異については、「鉛筆の体」が当てはまると思います。「飛行機の折れた翼」ほどの明らかな驚異ではありませんが、鉛筆というただの文房具に「体」を見出す視点が、ちょっとおかしい人というか驚異になっていると思います。
また、読み手が勝手に感じ取れば良いものを説明しすぎな気がしたので、入れる情報をそぎ落としました。結果、読み手が思ったことを入れ込みやすい歌になっているかと思います。

もう一首自分の短歌を添削してみます。

中坊がボイパの練習する横で辞書を開けば「ウグイスも鳴く」

田中友之

制作意図としては、ウグイスの雄もメスを求めて鳴く練習をする、というのを聞いてボイスパーカッションを急に練習し始める中学生男子の姿が浮かびました。自分は中学生のときに、急にボイパをやりだす同級生を一歩引いて見ていたので、ボイパの練習のような誰かを意識した行為と逆の、自分のためにする行為(辞書を開く)をすれば、そこにも「ウグイスもメスを求めて鳴いている」という記述があり、生きようとすることに取り残される自分の姿を描きました。
ただ、これも制作意図がないと読み手はたどり着けないですし、もっと分かりやすい二項構造くらいにしたら良いと思います。
作り直すと、

中坊がボイパの練習するようにウグイスが喉を震わせている

田中友之

共感としては、中坊がボイパの練習をする具体的な情景でしょうか
驚異としては、「ウグイスが喉を震わせている」だと思います。ウグイスが鳴く、ではなく視覚による情報にすることで、ウグイスが鳴いてる様子を見ている主体の様子を描いています。
主体の行為を文字としては入れないことで、分かりやすく、また主体の取り残されてる感が出たと思います。

まだまだですが、こんな感じで短歌がんばっています。
先日、ある歌人の方から褒めていただいたのですが、自分のつくる短歌は、テーマ自体は鋭く(自分で言います)短歌になり得る要素を内包しているので、その方向性がズレない限りは短歌を頑張っていきたいです。そのために、短歌内での適切な情報量や、分かりやすくするための構造、またほかの方が何をどのように詠んでいるかをいっぱい勉強していきたいです。

最後に好きな穂村弘さんの短歌と、最近自分がつくった短歌を上げて終わりとします。
頑張っていきますよー

帽子屋が帽子のゆめをみるように銀杏落葉がふたりを包む

穂村弘「短歌という爆弾」28P

ぎんいろの給食カートエレベーターから威嚇され図書室へ行く

田中友之

おまけ:ChatGPTに短歌をつくってもらった

※ChatGPTと会話をそのまま上げております。

田中:逆にお題を出すので短歌を作ってください

ChatGPT:もちろんです!お題を教えてください。それに基づいて短歌を作成します。

田中:ウォシュレットのスイッチを押すと高い音が一瞬鳴る。止めるスイッチを押すと低い音が少し長く鳴る。ウォシュレットが高く長い音を鳴らすと水をまき散らし暴走する光景を短歌にしてください

ChatGPT:面白いお題ですね!それでは、ウォシュレットが高く長い音を鳴らし、暴走する光景を短歌にしてみます。

高音の長く響いて水飛ばす 暴走ウォシュレットの夜

ChatGPT作

この短歌は、ウォシュレットが高音の長い音を鳴らして暴走し、水をまき散らす様子を描いています。「高音の長く響いて」という部分で、音の特徴とその持続を表現し、「水飛ばす 暴走ウォシュレットの夜」で、まさにその出来事が起こる瞬間とそのインパクトを伝えています。
このように、具体的な音や動作の描写を織り交ぜることで、読者に鮮明な情景を想起させる短歌に仕上げました。

田中:ありがとうございます。とても素晴らしい短歌だと思います。一つ質問があり、「夜」という単語を入れたのはどういう意図ですか

ChatGPT:「夜」という単語を入れた理由は以下の通りです:

  1. 緊張感の強調: 夜は一般的に静かで落ち着いた時間帯です。そんな時間にウォシュレットが暴走することで、緊張感や驚きを強調しています。

  2. 対比効果: 静かな夜と騒がしい暴走の対比を作ることで、ウォシュレットの暴走がよりドラマチックに感じられるようにしています。

  3. 物語性の追加: 夜という時間帯を設定することで、その出来事が一日の終わりに突然起こる予想外の出来事として、より印象深く描かれます。

もちろん、この「夜」という言葉は必須ではなく、別の時間帯や状況を設定することもできます。
以下は、夜の代わりに別の要素を入れたバージョンです

高音の長く響いて水飛ばす 暴走ウォシュレットの朝

ChatGPT作

このように、時間帯を変えるだけでも短歌の雰囲気や感じ方が変わります。

田中:とても勉強になりました。僕も負けないように頑張ります

ChatGPT:そう言っていただけて嬉しいです!短歌の創作は奥深くて楽しいですよね。何か他にお手伝いできることがあれば、いつでも教えてください。頑張ってくださいね!


ChatGPTめっちゃいい奴でした。。

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