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North Star Metricはシンプルな指標にしないとやばいぞ!

グルメサービスRettyでPMと、プロダクトオーナーの役割を担っています、田中大登(@tnkdaito)です。

Rettyでは2022年前半まで会員積極ロイヤル数というNorth Star Metric(以下NSM)を設定し、プロダクトの改善をしていました。

NSMを設定したものの上手くいかなかったこと、失敗を経て何を学び、今何に挑戦しているかをこのnoteでまとめようと思います。

2022年前半までのRettyのNSM

NSM設定までのプロセスや、NSMを増やすために何をしたのかはこちらのnoteを見ていただければと思います。

こんな人に読んで欲しい

・NSMを定めたが日々の活用/運用に落とせていない方
・自身のプロダクトマネジメントが上手くいっていないと感じる方
・大きなサービスを運営しており全社一貫の戦略を描きたい方

失敗しているときの空気感あるある

  • KPIやNSMが変動せず何とも言えない状態

    • Whatが顧客にリーチ,浸透するまでの期間が見えていない

    • 結果変動がない状態に対して、時間軸要因しか検討できていない

  • その結果状況が良いのか悪いの判定できず、空中戦が発生している

    • 例:xxがyyになればこうなるので、こうしたい

    • 例:xxをするためには先にzzした方がいいが、そのためにはyyがいる

    • 例:だからyyをつくるにxxがほしい(無限ループ)

  • 解決に向けた小さい一手すら取れず、成功体験を詰めていない

8ヶ月ほど前のRettyはまさにこんな状態になっていました。

何が失敗の原因だったか

失敗原因のサマリー

①指標の複雑さ

NSMを概念から逆算し、会員登録済み+複数回利用+予約まで完結という3指標をまぜた1指標にしてしまったことが1原因だと考えています。

これだと複数回利用のなさがNSM増に寄与してないのか、複数回利用はあるが予約まで完結していないことがNSM増に寄与していないのかが見えないです。

NSMに含まれる変数(KPI)が多すぎて施策に対しての測定を正常に行えなかったことや、3つのKPI変動の検知は、1KPIの変動より検知しにくく、NSM増までに時間がかかるという思考停止傾向を生んでしまったなと反省しています。

加えて全社戦略としても指標が複雑なため「それって何?」というコミュニケーションコストも増え、一丸となった推進が難しかったです。

NSMをドライブするKPIは配下にあってもよいが、KPIをまぜた1指標がNSMになることはないんだと痛感しました。

②山登りの順番を間違えた

NSMの思想はファンの増加(=入口の人が増える)で、売上が増加(出口の予約が増え集客貢献につながる)するというものでした。

ファンを増やすという入口改善に注力した成果を、出口(売上や手前の予約が増えているか)で測ろうとした結果、入口→出口までの水漏れが多いこともあり、出口への成果Hitが遅くなりました。このHitの遅さが失敗時の空気感を醸成したと思い、反省をしています。

出口に近いところからの改善がセオリーだなと痛感しました。

③ターゲット選定のミス

NSMを入口ではなく出口に置くのであれば、ターゲットにすべきユーザーさんは変わります。

  • ファンを増やしたい場合

    • Rettyですでにファンになっている人がリサーチの対象

    • Rettyを通してファンになる要素を抽出

    • まだファンではない人にその要素をどう感じてもらえるか

  • 例えばネット予約を増やしたい場合

    • ネット予約をする人がリサーチの対象

    • ネット予約するための行動やサービスの使い分けを把握

    • どんな価値があればネット予約してもらえるかを立案

そもそも出口を増やしたいのであれば、出口の行動を取る人たちが対象になります。山登りの順番・指標を間違えた結果、インサイトを抽出するターゲット選定自体がずれてしまっていたなと大きな反省をしています。

インサイトがずれると提供すべきWhatもずれるので、求める結果とWhatがずれたのは言わずもがなです。

失敗しないための対策

指標をシンプルにする

シンプルな指標とは「要素数×変動幅×シナジー度」だと思っています。

現在は「会員+複数利用+予約」ではなく、シンプルに「予約」(Rettyを通してお店が探せるだけではなく、ちゃんと見つけられているか)を指標にしています。

行動変容がすぐ掴めることも良かったですし、職種チーム部門問わず一丸となって指標を追えていることも大きな改善だと感じています。

出口から登る

出口をあげるために入口から改善するのではなく、出口をあげたいならその付近から改善するように方針を転換しました。

出口に近いので、赤枠の改善がどう(どれくらい)出口の改善に繋がっているのかをすごく感じやすくなりました。

小さな数値改善でも成功体験に繋がりやすくなることで、失敗の空気感が払拭され、チームや部門を超えて良い雰囲気になったと思います。

ターゲットに対して価値を尖らせる

・全社方針として目指す状態が明確か。
・状態を計測できるシンプルな指標があるか。

この2つが両方Yesだとターゲット選定がすごくやりやすかったです。

とはいえグルメというマーケットは「予約する人」とターゲットを括ったところで三者三様のニーズがあり、すべてに答えようとすると抽象度が高い普遍的なサービスになってしまいます。

UXリサーチを通して
・誰が
・どんなときに
・どんなシチュエーションだと
・どんな課題やペインがあり
・それに対してRettyならどう解決できるか
を明確にすること

ターゲットの理解を深めプロダクトのWhatを尖らせば尖らせるほど「自社サービスならでは」が見えてくると改めて実感しています。

最後にまとめというか反省

すごく抽象的に反省を残しておきます。

  • 「プロダクトマネジメントを学びWhy,Who定義をして進めれば成功する」ということはない。その前の戦略や指標によって全てが変わり得る。

  • 登る山を決めるだけではなく、登る順番・登り方にも注意を払うべき

  • 結局ターゲット選定&理解がプロダクトの命であり、売上の命

プロダクトマネジメントの理論をいかに抑えていても、バイアスや良さげな概念に踊らされて大きな失敗をしてしまいました。今は上記反省を生かし、やり直すことで社内にいい空気感が流れてきたように思います!

ユーザーさんをHappyにするために、来年は良い意味でRettyを壊し作り替えていく挑戦をしていきます!試行錯誤を繰り返し様々な学びがある会社なので、ぜひ他メンバーのアドベントカレンダーも見てもらえたらと思います!

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daito.tanaka
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