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米スタンフォード大の栄養士にバルクアップについて色々教えて貰いました!

今通っている栄養士の専門学校関連で、米スタンフォード大のアメリカンフットボール部専属栄養士の方に、「タンパク質と筋肉づくり」というテーマでプレゼンしていただく機会がありました。凄まじい体格を持つアメフトマンたちの体作りを専門的にサポートしている方が、バルクアップについてどんな考えを持っているのか、学んだ内容を書いてみたいと思います。
当日の内容全てではないですが、スポーツなどで体を大きくしたい方などの参考になればいいなと思います。

タンパク質、どれぐらいとればいい?

これはご存知の方も多いとは思います。一日全体のタンパク質摂取として、体重の2倍程度といったところがスタンダードでしょうか。今回のセミナーでも、1.5~2.2g/kgと説明されていました。ただ、それだけではなく、なぜ体重の2倍程度なのか?という点にまで踏み込みました。これについては、次のように説明できます。
体内ではアミノ酸(タンパク質の構成成分)が常に一定量プールされていて(アミノ酸プールと呼んだりします)、その調整のために体内のタンパク質(筋肉)は絶えず分解されています。さらに、分解と同じ量のタンパク質が合成されています。
したがって、この通常保たれている筋タンパク質の合成と分解のバランスを、プラス(合成>分解)にしていけばバルクアップできるということになります。プラスにするためには、トレーニングによって筋繊維を破壊することで、回復時により大きくなるという筋肉の性質をつかって筋タンパク質の合成を高めます。このとき、より多くのタンパク質が必要となるので、その必要量を確保できるだけの量が、体重kgあたり2g程度のタンパク質というわけです。
さらに、筋肉を合成する際にはエネルギーも必要になります。活動量に必要なだけのエネルギー量に加え、筋肉の合成に充てるためにより多くのエネルギーを確保しなければなりません。
したがって、取り組んでいるスポーツなどによりますが、まずは自分の体重を維持するだけのエネルギー(=メンテナンスカロリー)を把握する必要があります。以下のサイトが自動計算してくれて楽です。

そして、バルクアップのためにはメンテナンスカロリー+300~500kcalのエネルギー摂取が推奨されます。

筋タンパク質合成(MPS)を理解する

「筋肉がつくられる」という現象それ自体をじっくり考えたことはあったでしょうか?少なくとも僕はありませんでした。トレーニングで筋繊維にダメージを与えて、筋肉は同じように回復していく、というイメージを持っていました。しかし、そうシンプルではないようです。筋肉=筋タンパク質は合成率に振れ幅があるようです。つまり、トレーニング前の筋量を100とすると、その後の回復時の合成の結果105の場合もあれば、101にとどまる場合もあるということです。
筋タンパク質の合成は、MPS(Muscle Protein Synthesis)と呼ばれます。その時の体のコンディションによって、合成率が左右します。コンディションというのは、睡眠時間や体内の栄養素の量、筋肉にどれだけダメージを受けているか/いないか、などです。また、MPSはトレーニング後と睡眠時に活性化します。(Sebastian Zornさん/Stanford UniV.の資料から抜粋,トレーニング後に通常時の30%MPSが増加)

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そして今回最大の目玉が、BCAAがMPSを最大化するトリガーになる、ということです。

【補足】BCAAについてかんたんに

ここで、BCAAについて基本的なことを記載しておきます。BCAA(Branched Chain Amino Acids;分岐鎖アミノ酸)は、筋肉の構成成分であるアミノ酸の一種をさします。
アミノ酸は、人体を構成するもので20種類あり、9種類の必須アミノ酸と、11種類の非必須アミノ酸に分類することができます。必須アミノ酸は体内で構成することができないため、食事によって摂取する必要があります。よくEAAってサプリメント見ませんか?これはEssential Amino Acids=必須アミノ酸9種類がまとめて入ってるやつです。
そして、BCAAは、必須アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシンという3種類のアミノ酸です。筋肉を構成するアミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンで約40%を占めます。BCAAのサプリメントを摂取することで、筋肉の合成促進、分解抑制、集中力の向上というメリットがある、というのがトレーニング界の今や共通認識になっているのではないでしょうか。トレーニング中に飲んでる人も多いと思います。さらに、BCAAのうち主役はロイシンです。ロイシンは、特に筋肉の合成を促進し、また分解を抑制する作用があるとされています。

ロイシンがMPSを最大化するトリガーになる

話をMPSに戻すと、見出しにもある通りBCAAを摂取すれば、主役であるロイシンの働きによってMPSが最大化されるようです。これを表した図が以下のものです。(Sebastian Zornさん/Stanford UniV.の資料から抜粋)

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資料をみると、Isolated protein powder=プロテインパウダーは、吸収率がよく、MPSの最大値は大きいですが、持続性がないという短所があります。
また、Whole food=サプリメントではない「食品」は、吸収率はプロテインパウダーに比べて低く、MPSの最大は小さいですが、持続性が高いという長所があります。
そして、Leucine triggerとありますが、ロイシンの働きによってWhole foodの吸収率がぐんと高まり、MPSの最大値が増加しています。すなわち、ロイシンを取ることで、MPSが最大化されるということです。
ここで注意したいのは、ロイシンはあくまでMPSのスイッチを入れる役割だけを持っている、ということです。筋肉の材料と燃料は絶対に欠かせません。BCAAだけを摂取している場合、筋肉量が減少した、という研究もあるようです。
加えて、資料から分かることですが、プロテインパウダーによるMPSが最小化するタイミングで、食品によるMPSが最大化するように調整すれば、MPS量を最大化することができます。つまり、サプリメントと食事を摂るタイミングもMPSに大きく影響しているということです。プロテインパウダーは摂取後約30分、食品は同約40分でそれぞれMPSが最大となっています。これを受けて、このときから僕はトレーニング後にまずプロテインを飲み、その30分後くらいを目安に食事をするように心がけています。

バルクアップにおいては、BCAAはトレーニング後に飲むのがベストな選択

僕はこれまでの話を聞いて、BCAAはトレーニング中に飲むのが主流だけど、ロイシンの作用を考えたら、MPSが活性化するトレーニング後や就寝前に飲んだほうがいいのでは?と思い、そのあたりはどうですか?と質問しました。すると、やはり「BCAAはトレーニング後に飲むのがベストだ。」とのことでした。続けて、「トレーニング中は筋肉にダメージを与えることに集中して、そのあとに最大限のリカバリーをすることが大事だ。トレーニング中にBCAAを飲むのは、ぶっ壊れた車を走らせながら修理しているのと同じだ。」というアンサーが返ってきました。非常に分かりやすい例えでした。ただ注意したいのは、これはバルクアップにフォーカスした場合の話です。例えば減量中で体脂肪を落とすために起床後に有酸素運動をする際に、BCAAを摂取することで筋肉を分解から守る、という使い方も正しいと思います。

その他、全体的な心がけなど

ここまで、僕が特に勉強になった部分を抜粋して記載しました。結構踏み込んだ内容なので、わかりやすく説明できているか不安ですが。。。
BCAAだのサプリメントと食事のタイミングだの言っておりますが、バルクアップで最も重要なのは、冒頭にある摂取カロリー>消費カロリーの状態をつくること、食事のPFCバランスを適正に保つことだと思います。
下の図のピラミッドは下に行くほど重要度が高いです。
(Sebastian Zornさん/Stanford UniV.の資料から抜粋)

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タンパク質は体重の2倍程度、脂質はカロリーベースで全体の20%ほどにして、残りのカロリーは糖質で調整するイメージです。

最後に大事な注釈

ロイシンの話は研究ではしっかりエビデンスが出ているようですが、まだ、世界的にバッチリ認められたスタンダードではないようです。ですので、場合によっては正しくない可能性もあります。色々と自分で試しながら、自分にあったライフスタイルを見つけて行くことが大事だと思います。長くなりましたが、読んで頂きありがとうございました!!




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