なぜ夫婦喧嘩は絶えないのか
取り扱う問題が超難しいからだ。
夫婦喧嘩のランキング1位はGeminiさんによると「自己中心的な行動」だそうだ。
みたいな感じか。こういう喧嘩は頻発する。一見「LINE一本する」が解決策に見えるが、ことはそう簡単じゃない。
難易度の高い問題は、得てして「取り扱うパラメータが多い」ことが起因している。簡単に言うと、複数の問題が重なっている状態だ。
例えば、ゴルフボールの軌道を計算する際、真空中であればボールの初速と角度さえわかれば計算できる。だが、普通のゴルフ場で軌道計算をする場合、初速と角度の他に、空気抵抗、風力、風向き、ボールの回転など、計算に入れなくてはいけないパラメータが増える。
こうなってくるともう計算は不可能に近い。パラメータは増えれば増えるほど指数関数的に難しくなっていく。(初期値鋭敏性といって、ちょっとでもパラメータが違うと全然違う結果になるような感じだ。詳しくは割愛。)
これと似たようなことが夫婦喧嘩でも起きている。今回の夫婦喧嘩は実は以下の問題が隠れている。
「"いらんわ"という不遜な態度」
「夕飯いらないって言わない」
「LINEの1本もできない」
「飲み過ぎ」
「帰ってこなすぎ」
実はこのほかに、心の中で、
「(飲み代による)金使いが荒い」
「(関係ないけど)靴下を脱ぎっぱなしにする」
「(もう全然関係ないけど)昔浮気した」
などがあったりして、隙あらばこの論争にぶっこんでやろうと思っていたりする。
見えてる問題だけでも5つ、見えてない問題はとりあえず3つ。併せて8つくらいあるのだ。(絶対もっとあるだろうが手心を加えておく)
ゴルフボールの軌道計算よろしく、8つのパラメータを一気に解決しようとするのが夫婦喧嘩だ。1つの解決だけでも相当難しいのに、7つも一気に取り扱ったらそれはもうむちゃくちゃ難しくなっちゃってるのだ。解決できる可能性は0%だ。
ではどうするか、幸いゴルフボールの軌道計算と違って、夫婦喧嘩の問題
は切り分けることができる。切り分ければ切り分けるほど一つ一つの問題の難易度が下がって解決できる。
例えば、
「"いらんわ"という不遜な態度」を解決しよう。「恐縮ですが不要です」という表現に変更するという対策で十分だろう。これなら簡単にできそうだ。
これで1個解決した。8個中1個解決したので、全体の12.5%解決できた!今までは0%しか解決できなかったのにいっきに12.5%解決した!
これはつまり、今までは「∞回夫婦喧嘩すれば解決」だったのが「あと7回夫婦喧嘩すれば解決」に大躍進したことになる。
とても魅力的な対策だが、いかんせん喧嘩をしているときは合理的判断がつかないことが多い。なので、部屋に「切り分ける」という標語を飾っておこう。感情に任せてがなり立て合う前にこの標語を確認し、切り分けて喧嘩しよう。