マイナンバーカード・マイナ保険証7つの誤解:なぜここまで誤解が広がるのか?




マイナンバーカード、マイナ保険証に関しては様々な誤解が蔓延しているようです。
簡単に結論だけまとめておきます。それぞれにエビデンスもあります。これに関する記事も公開してまいりました。
年の暮れにせめて誤解を晴らしていただき、新しい年を迎えていただきたいのです。

1.健康保険証は成り済まし受診の温床。マイナ保険証でこれを防げる。
(事実)
 成り済まし受診が横行しているという数字の根拠は薄弱、あくまで憶測にすぎません。
 また、健康保険証を貸し借りして、本人になりすまして受診するような人なら、マイナ保険証と4桁暗証番号を貸し借りすれば、容易になりすまし受診ができます。マイナ保険証はなりすまし受診の防止対策にはならないのです。

2.マイナ保険証を使えば、健康保険証に比べ医療機関等受診時の自己負担額を減らせる。
(事実)
 2024年12月以降、自己負担額等は、マイナ保険証も健康保険証も同額になりました。
それどころか、マイナ保険証の利用率の高い医療機関等を受診すると自己負担額が増えるという保険点数体系になっています。
(マイナ保険証、健康保険証いずれを使っても扱いは同じです。)

3.マイナ保険証を使えば、データに基づくより良い医療が受けられる。
(事実)
マイナポータルへの医療情報の反映は原則毎月11日で、その前月分までの情報に限られています。直近の調剤の情報がマイナポータルに反映されない可能性があります。
薬の重複処方、飲み合わせ事故が生じかねません。
お薬手帳を適切に用いて併用することを強くお勧めします。
この点については将来的に電子カルテ電子処方せん等が普及すれば、改善されていくでしょう。しかし現在はなお限界があることをはっきりと認識しておくべきです。

4.マイナ保険証を使えば、手続きなしで高額療養費の限度額超の支払いが免除される。
(事実)
オンライン資格確認を導入している医療機関であれば、現行の健康保険証でも対応してもらえます。健康保険証を提示して「オンライン資格確認システムで限度額情報を利用してほしい」と申し出てください。

5.一度マイナンバーカードに健康保険証の利用登録したら、その後解除はできない。
(事実)
保険者に申請すれば、マイナンバーカードの健康保険証の利用登録の解除が可能です。
有効な保険証がない場合には資格確認書の交付を受けることができます。
この取り扱いは2020年の10月末近くになってようやくシステムがリリースされ、保険者等からの案内がまだ行き渡っていない可能性もあります。

6.マイナンバーカードの情報セキュリティーは万全、情報漏洩のリスクはほとんどない。
(事実)マイナンバーカードと4桁暗証番号さえあれば、マイナポータルで健康・医療、税・所得・口座情報といった情報が取得できます。まさに情報の宝庫です。犯罪の標的になりやすいのです。
なお、「マイナンバーカードの情報セキュリティーは万全」という場合に、「ICチップを変造しようとしたらすぐ壊れる」などと説明されることがあります。
情報をだまし取ろうとする人物は、IC チップスを触るような面倒なことはしません。マイナンバーカードと4桁暗証番号さえだまし取れば足りるのです。
また、「各種の情報は分散管理されているので安全」等というのも詭弁に等しいものです。
たとえ情報が分散管理されていても、マイナンバーカードと4桁暗証番号という、いわば共通の合鍵で簡単に情報にアクセスできるのです。

7.マイナンバーカードと暗証番号の詐取・漏洩のリスクについて、銀行等のキャッシュカードやクレジットカードの詐取・漏洩のリスクと変わりない。
(事実)
マイナンバーカードは法的には正式の本人確認の手段です。マイナンバーカードと4桁暗証番号、それに顔面画像が詐取されれば、銀行口座開設や携帯電話契約も可能です。
リスクの大きさキャッシュカードやクレジットカードの比ではありません。

なぜこのような誤解が蔓延しているのか。
厚生労働省、デジタル庁、あるいは健康保険の保険者(健康保険組合、協会けんぽ等)が、適切な情報発信をタイムリーに行っていないからです。
むしろ、誤解を誘発するような書きぶりの情報すら見受けられます。
なぜ、そのような行動に陥っているのかは、また改めてご案内したいと思います。

私の仮説です。
このような公的機関が国民の生命と健康そして安全について真摯に向き合っていない、
ということではないでしょうか?

(参考)銅鑼猫のマイナンバーカード記事まとめはこちら

銅鑼猫(社会保険労務士 健康経営エキスパートアドバイザー 玉上信明)


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