株式会社デプロイゲートのミッションステートメントをリファクタしました
株式会社デプロイゲート代表の藤﨑です。
先日のDeployGateサービスリリース8周年の記事で、私たちは今後のサービスのアップデートに向けて、コードだけでなく組織についてもリファクタリング行っていることに触れました。
私たちは何をするために、何故ここにいるのか。新型コロナウイルスの騒ぎの最中、デプロイゲート社の経営陣(とはいっても2人ですが)は、今後の組織のあり方を明確にするために会社のミッションやビジョンの見直しを行っていました。
今回は、新しくなった私たちのミッションステートメントについてご紹介したいと思います。
ミッション 「開発チームに必要な声を届ける」
デプロイゲート社のミッションは、「開発チームに必要な声を届ける」です。これを見て、「あれ?結構変わったな?」と思った方は相当なデプロイゲート通です。
私たちはこれまで「期待を裏切らないプロダクトを作り続けるために、『みんなで作る』を当たり前にする」というミッションを掲げていました。文面は大きく異なりますが、根本とするものは同じで、やっていくことが少し具体的になりました。
声を届ける、とはどういうことなのか。その背景にあるDeployGate自体の由来について少し説明します。
DeployGateで解決したもの、解決できていないもの
現在のDeployGateは、主に開発中のアプリをテスターに配信するための仕組みを提供しています。
アプリ開発業務で感じる「フィードバックの集めにくさ」「イテレーションの重さ」「チームで起きるミスコミュニケーション」などの課題解決に「配信」の改善が効果的であったという自身の経験が、今のサービスに繋がっています。
おかげさまでDeployGateは、2012年のリリースから現在に至るまで、個人開発者から大企業の皆様まで多くの方々にご利用いただいています。まだ改善できる点はたくさんありますが、これまでの実績から、サービスとして価値を認めていただけているのではないかと感じています。
ところで、この「感じています」は利用実績に基づく感覚的なもので、あまり具体的なフィードバックに基づくものではありません。
私自身、直接お会いする方から「お世話になってます」とお声がけいただくなど嬉しいことが時々あります。しかし、実際にどのぐらい何を改善できているのか、本当に何も問題が起きていないのか、具体的に知ることは困難です。普段使っている皆さんからの「フィードバックの集めにくさ」を今も抱えています。
▲ 2012年のリリース当初のプロモーション映像より
私は、最初のアプリ開発の時から「プロダクトを効率良く高速に改善するためには、日常的に実際の利用者から直接話を聞ける状態を持つことが必要」だと考えてきました。公開Slackチャンネルや、ユーザーヒアリングなどは、その実践例の一つです。しかし、そこにはもっとオープンに素早くいろんな声が集まり、改善に繋げていけるような何らかの「仕組み」が必要だと考えています。
声を届ける、ということ
皆様が開発されているプロダクトでは、「ここ、もう少しこうならないの?」「修正してみたよ、どう?」「いいね、最高!」というやりとりを月に何回できているでしょうか。
このやりとりを、プロダクトの顧客と日常的に行えていれば最高です。しかし、現実に実現できているケースは多くはありません。たとえ顧客よりも身近な、自身の組織の中、あるいは最も繰り返すであろう開発者とQAテスターの間であったとしても、日々どれほどの速さでこのサイクルが回せているでしょうか。
例えば不具合があったとき。テスターは発見した問題の再現手順や環境情報、その時のスクリーンショットや、可能であれば端末のログも集め、開発者が見ているチケット管理システムに登録します。開発者にとって改善に必要な情報は多岐に渡るため、これでもまだ不足している場合は、何往復かやりとりを繰り返します。これを、社内のテスター以外の方、ひいては実際の顧客に依頼するのは難しい話です。
実践を試みたとしても、あらゆるチャンネルからやってくる有形無形のフィードバックを取りまとめて開発者にとって意味のあるものに翻訳する必要が出てきます。多くの場合は、その担当者となるプロダクトマネージャーに負担が集中しボトルネックとなりがちです。
「日常的に実際の利用者から直接話を聞ける状態」とは、「課題を持つ利用者自身が日常的に開発者に声を届けることができる状態」を指します。人が発するもの、自動的に集められるもの、あらゆる形のフィードバック——すなわち「声」を集めやすい状態を作る。それが、私たちの新しいミッションに込められた想いです。
新しいミッションに基づき、DeployGateはまず、日常的にテストを仕事にされているQAテスターから開発者へのフィードバックを改善していきます。そこから徐々に範囲を広げ、最終的には一般ユーザーの声が、直接開発チームに届く状態を目指していきます。
ここでは、ただ単に道具を整えるだけでは不十分。「開発チームとユーザーが協力しつつ、プロダクトを作り上げていくことが当たり前に受け入れられる文化」も創っていく必要があります。時間はかかるかもしれませんが、着実に前へ進めていきます。
ビジョン 「ユーザーと共につくり、ユーザーの期待を超える」
そんなミッションを遂行しながら私たち自身が目指していくビジョンは、「ユーザーと共につくり、ユーザーの期待を超える」世界です。
私たちは、これからのプロダクトを、ご利用いただいている皆様と一緒に作っていきたいと考えています。
よく言われることですが、「一緒につくる」ということは、単に「依頼されたものを作る」ことではありません。私たちの仕事は、ユーザーと同じ目線に立った上で、課題を根底から覆すような新しい価値を提供していくこと。「これは思いつかなかった」と言ってもらえるサービスを作ることを、日々目指していきます。
そして私たちのサービスを利用する誰もが、各々の提供するサービスを通じて、「ユーザーと共につくり、ユーザーの期待を超える」ことができる世界を実現していきたいと考えています。
5つのコアバリュー
ミッションでは私たちの存在意義、ビジョンでは私たちの未来のあるべき姿を描きました。
そこに向かうためには、現在のメンバーがいま目の前にある課題に対して、日々多くのことを判断していく必要があります。チームにいる全員が同じ方向を向いて判断ができるよう、私たちは全社共通の方針を5つのコアバリューとして定めました。
WE ARE GEEKS
= 技術を使いこなす
私たちは技術の力で課題を解決する。技術を最高の効率で動かすためには、その背景までを知り尽くす必要がある。サービスのスループットを高めるためにも、ユーザーが頼るに値するチームであるためにも、私たちはその技術自体に真摯に向き合うことができる技術オタクでいよう。技術の対象は開発に限らない。経理も、営業も、カスタマーサポートも、人事制度の設計や個々人の体力づくりであっても、そこには尊重されるべき技術がある。
WE MAKE SURE TO BE ON THE SAME PAGE WITH USERS
= ユーザーと共生する
私たちは、想像上ではなく現実にいるユーザーの課題を解決するプロダクトを作っている。そのユーザーと同じ目線に立てないと、抱えている課題は何か、本当に解決しなければならないことは何かを見極めることはできない。チームとユーザーは上下の関係ではなく、互いに同じ情報・同じゴールが握れている状態を作る必要がある。また、コアなユーザーは同時にファンであり、彼・彼女らからの積極的な声はチームに活気を届けてくれる。
WE GO FURTHER WITH THE TEAM
= みんなの個性を掛け合わせる
私たちは、一人ではできないことを成し遂げるためにチームで動いている。ユーザーの期待を超える大きなアウトプットを出し続けるためには、ただの集団として1+1を積み上げるのではなく、それぞれが得意なことを掛け合わせることでx10、x100の成果を得ていく必要がある。それぞれの個性や特性を最大限に発揮できる組織であり続けよう。
WE WORK WELL, WE LIVE WELL
= 楽しく働く、楽しく生きる
人生は短い。その多くを占める働く時間を「何かを我慢する時間」にしてはいけない。我慢しているチームからいいサービスは生まれないし、ユーザーもそんな人達に背中を任せたいとは思わない。クリエイティブなものには必ず余白がある。プロダクトにも生活にも働き方にも、適切な余白が必要。自分の想像を超える新しいものは、普段の仕事の外にある刺激から生まれてくる。仕事で得られた学びも、仕事以外の生活や活動に還元しながら人生を豊かにしていこう。
WE CHOOSE UNEXPECTED
= 迷ったら、おもしろい方へ
何か迷うことがあったら、ここまでのコアバリューに従って判断しよう。それでも選択に迷ったら、結果が予想できることより、予想外のおもしろいことを選ぼう。
自分がおもしろいと感じることだからこそ、集中し続けて圧倒的な成果を出すことができる。そうやって、誰も思いつかなかったおもしろいものを作っていくことが、私たちのやること。
これらは、今の私たちがやっていることであり、続けていきたい、もっと良くしていきたいと思っていることです。変化を今後の採用方針としても、これに共感できる・体現できる方に仲間になっていただきたいと思っています。
もちろん、これを読まれている方には、この内容にあまりピンとこない方もいると思います。たとえば「楽しく働く、楽しく生きる」が生ぬるいと感じる場合、私たち(の組織)とは合わないということになります。こう書くとどこか排他的に見えてしまいますが、考え方そのものを否定する意図はまったくありません。ただ、価値観の違いの解消には時間が掛かります。そこに時間を割くよりは、本来やるべきことに集中したほうがお互いいいよね、と考えています。
おわりに
デプロイゲート社では、組織のリファクタリングの一環として、私たちの今後のあり方を明確にするためにミッションステートメントを改めました。新しいミッション「開発チームに必要な声を届ける」は、これまでと根本にあるものは変わらず、最初の思いをより明確に表したものです。私たちはこれからも、メンバーもプロダクトも同じ方向を向いて、開発チームに必要な声を届けていきます。
今回は私たちの新しいミッション、ビジョン、バリューについて、内容とその背景をご紹介しました。次の記事では、このミッションステートメントを作ったプロセスについてご紹介したいと思います。
noteでは引き続き、デプロイゲート社の組織面について紹介していきます。興味のある方は是非 Inside DeployGate マガジンをフォローしていただければと思います。
それでは!