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最近手に入れたフォルダブル端末の話

こんにちは。DeployGateの藤﨑です。

最近、折りたたみ可能なフォルダブル端末が流行っていますね!(観測範囲に偏りがあるのは認めます)

今回は、最近自分が手に入れたフォルダブル端末の話と、何故それを選んだかの話をしてみたいと思います。最新のデジタル端末と、みんな知っているアナログ端末のお話です。

二つのフォルダブルデバイス

私は最近、フォルダブルな端末を二つ手に入れました。

一つはGoogleの最新端末、Google Pixel Foldです。今年のGoogle I/Oで発表されてしばらく待ちましたが、私の手元にも7/27に届きました。

開封の儀

しばらく触ってみて、新しい体験…というには地味だけど、これまでハンドヘルドデバイスというサイズに制約されていた体験との向き合い方が変わっていきそうな感覚があります。

もう一つの端末は、ローソンで買った無印良品のノート 5mm方眼 A5・ダークグレー・30枚・糸綴じです。

A5の折りたたみで、いつも持っているどのバッグにも入るサイズ。広げるとA4で何かと使い勝手がよい大きさ。100円。ただの紙のノートです。

こちらは正直、無印良品にこだわってたわけでもなく、持ち歩けるサイズのノートを買いに出て、ローソンに行ったら無印良品の棚を目にして、これでええやん、という若干受動的な選択の末に購入しました。

紙のノートを端末(情報の入出力装置的な意味で)というのは少しこじつけもありつつ、実際のところ、ノートも人類が生み出し長年様々な需要と制約によって叩き上げられてきた立派な工業製品であります。現在の筆記用中性紙を使ったノートが日本に登場したのは1984年で、1983年に発売されたファミコンよりも歴史は浅く、意外と近代的な存在です。

日本ノート(当時はアピカ)は王子製紙と共同で『筆記用中性紙』を開発、昭和59年(1984年)に日本で初めて中性紙を使ったノートを発売しました。

ノートの豆知識 | 日本ノート株式会社

日常で発生するメモ需要を何で担うか

さて、普段の生活でも、仕事の最中でも、「ふと思いついたこと」「その時判断に迷ったこと」「後で思い出す必要があること」などを残しておきたい、という機会があります。ずっと頭の中に残しておければいいのですが、大抵忘れてしまうので、どこかにメモしておきたい。そんな時に何を使うか、これまで色々と試行錯誤をしてきました。

前回の記事で、私が手書きで何か考えるときはreMarkable 2という電子ペーパーを使っていると書いていました。一時期、この端末を咄嗟のメモ用途にも使っていた時期もあったのですが、この端末はA4サイズという大きさもあり、持ち歩く機会も減り、気がつくと机の近くに置きっぱなしの存在になってしまいました。

新しいデバイスの持ち歩きが難しければ、やはりいつも持ち歩いているデバイスを活用するしかない、ということで、スマートフォンでのメモも試みました。とにかくすぐに開けるよう、iPhoneのコントロールセンターにメモを置いて、ロック解除なしで書き出せるように設定して使うなどの工夫も行いました。しかし、タッチ画面での文字入力は誤タップや変換の修正にもたついて時間が掛かってしまい思考が散りがちで、また普段のフルサイズのキーボードでの文字入力の速さと比べてどうしてももたつく感じが耐えられず、メモを残すのが億劫になっていきました。

結局、なにも書かずに記憶力に頼ることをしてみましたが、まあ漏れる漏れる。全然あかん、ということで、観念して紙に戻ってきました。もう何回目の出戻りか分かりません。

歴代の紙たちの束

「効率的に思い出せる外部記憶装置」としての紙とペン

さて、ここでいうメモの目的を考えてみます。私がメモを取りたい目的は、誰かに共有するための情報を書き出すことではなく、揮発してしまう記憶を永続化させること、後から記憶を辿るのに必要なインデックスとなる情報をできるだけ素早く残すことです。

ここで大事なのが、メモを取ることで残している情報というのは書いた内容に留まらないということです。記憶を辿るという観点では、書いた内容の視覚的な位置関係も重要な情報になります。1枚の紙の中での上下左右であったり、ページの前後関係といった情報も無意識に使われています。書いてある位置からその時なぜこの位置に書こうと思ったか、を思い出すこともあれば、書いた内容を忘れたけどどの辺りに書いたはず、といった位置関係をなんとなく覚えていることもあります。

一方、汎用デバイスとソフトウェアで実現する環境において「メモを書いた位置が固定されている」という状況を作るのは意外と難しく、この無意識的な記憶能力を使う機会を失っています。PCのデスクトップやスマホのホーム画面でどれだけアイコンが散らかっていても、目的のアイコンの位置が変わらない状態であれば、無意識に得た記憶でほぼ反射的に目的のアイコンをポイントできます(みんな画面見なくてもTwitter…じゃなかったXを起動できるよね)が、自動的に整理されたり入れ替えが発生してしまう状況だと途端にこの能力を失います。

また、思いついたときに、できるだけ無意識で書き終わるところまでのアクションを素早く完了できることも必要です。素早く書き始めるという点で、いつでも持ち歩ける、モードを気にせず常に書き始められるといったことが求められます。紙は常にこれを満たしていますが、デジタルデバイスでは難しく、多くの場合、汎用的な端末では要件を満たすことができません。(Galaxyの画面オフメモ機能などの例外はあります)

個人的に現状でこの要求を一番満たしているのは、「それしかできない」ということも含めてreMarkableかなと思います。ノートのページを開いた状態でスリープしておけば、電源ボタンを押すだけで即座に書き始められる機動性があり、さらにとてつもない数のページを、クラウドと同期することで損失することもなく、検索もでき、共有・活用も可能という面は紙よりも強力です。しかし、結局サイズの自由度(もっと持ち歩けるサイズが欲しい)と、解像度、レスポンスの面でまだ不足しています。

ということで、即座に思い出しやすくメモを取るという目的で、紙とペンの体験を総合的に超えられるデジタルデバイスは今のところなさそうだという一旦の結論に至りました。

時代に合わせて、適材適所を移り住みつつ、できることを増やしていく

人間の記憶を拡張するデバイスを求めて、デジタルガジェットを様々物色しながら、結局紙とペンに戻ってきてしまったという話でした。というか、まだデジタルデバイスの体験が追いついていないというのがより正確な表現かもしれません。

現代ではクラシックなものに感じられる紙もペンも、実際には人間の生み出した技術で、様々な需要に当てられ、工業製品として進化を続けてきたテクノロジーの塊です。保存する、共有するといった「情報の伝達」に関する役割はだいぶデジタルに置き換えられてきましたが、人間がとにかく書き出すためのスクラッチバッファとしての役割が置き換わるには、まだ時間が掛かりそうです。

その一方で、前回の「ビデオ撮ってAIで文字起こし」のような、認知のハック+民主化された新しい技術によって、新たにできるようになることもあります。「他人に対して行う身振り手振りも含めた言語化」は、自分では思いもよらなかった気付きを得る手段としてやはり優秀で、今も引き続き考え事が出てくるとカメラを引っ張り出しては話しています。最近さらにワイヤレスマイクを導入して話しながら歩き回れるようになりました。

また、機材を設置する時間がないときは、Pixelのレコーダーアプリを開いてやっています。こちらも文字起こしはかなり優秀で、音声の再生と起こした文字の同期表示もできて大変便利です。「これ、もしや歩きながら電話してるフリしつつ独り言ができるのでは!?」と試してみたんですが、人間の脳は外部の情報を入れながら記憶を辿るのに向いていないという制約を実感するだけで終わる結果となりました。外部の割り込みのない環境は必要です。

ということで、適材適所、分け隔てなく使い分けていきたいと思いました。引き続き、新しいガジェットが出たら飛びついては可能性を追求しつづけていきたいなと思います。PIxel Foldがどれだけコスパが悪いと分かっていても飛びついてしまうのは、人生を豊かにする新しい可能性を求めているからなんです、って言い訳を残して今月は終わりたいと思います。

それでは、また!

おまけ: Pixel Foldの今のところの雑感

触り始めて3日ほどの雑感です。フォルダブルというデバイスカテゴリの話と、Pixel Fold単体の話に分けられます。

フォルダブル端末全般の話

  • いまのところキラーコンテンツは漫画や読書

    • マンガが難なく見開きで読めるのはとてもよい体験、しかしタブレットを持ち歩くのは大変だった

    • しかし、ここを超えてくる感動はまだない…かな…

  • スマートフォンでは、長い文章を小さい画面で頑張って読んで目を疲れさせていたなという気づき

    • 読んでる最中に頑張っているとは感じていないんだけど、ふと気がついて端末を広げたときに目が楽だと感じるので、負担にはなってる

    • 老眼が進んだ人にとってもいいソリューションだと思う

  • アプリ作る側としては考えないといけないこと増えて大変

    • 基本的には、既存のガイドラインにちゃんと乗っかってれば概ね困ったことにはならないはず、なのだけど

      • AndroidのActivityのライフサイクルの扱いを蔑ろにしていると体験が壊れる機会がめちゃくちゃ増える

      • 特にログイン時のメールを参照しようと、端末を折ったり開いたりアプリを左右に並べるという操作で発生するconfigChangesを超えられずに詰むケースが多い

    • 画面内の絶対位置に操作系を置くアプリ(ゲームやIMEなど)は、折った状態と開いた状態のそれぞれでの設定を個別に持つ必要がある

      • 今のところATOKが「スマートフォン」「タブレット」どちらの配置にしかにしか設定できないので、使い物にならない状態

    • AndroidプラットフォームやJetPack WindowManagerといったファーストパーティでのサポートが進んだので、対応自体は徐々に熟れていきそう

    • そのアプリのユーザーとしてフォルダブル端末でどういう需要を持つのか、は実際に体験してみないと分からないので、アプリのユーザビリティに関わる人は、実際に端末を使って生活して見た方がいい

Google Pixel Fold固有の話

  • 最初の端末だけど体験はそこそこ考えられている感じ

    • 例えば「端末を折りたたむとスリープ」が基本動作でありつつ、動画をフルスクリーン再生しているときはスリープせず、内外のディスプレイを行き来できる(開いた状態で見ていた動画を、端末を折って外ディスプレイで視聴する、みたいなことがスムーズにできる)

    • fold→unfoldとunfold→foldのときに、画面が切り替わる角度は別々に設定されている。開いている端末を閉じるときはギリギリまで画面は切り替わらないが、閉じている端末を開く時は90°ぐらいまでは内側の画面には切り替わらない。これによりスタンド状態で端末を利用できる。

    • Google製の各種アプリがFoldable対応積極的になされている状態になっているのもよい。カレンダーとてもよい。

  • Pixel Foldをしばらく見ると、他のPixelやiPhoneといった普通の端末の画面がやたら縦長に見える違和感を感じられるようになる

  • 重さがずっしりあるので片手でスワイプ入力し続けてると多分腱鞘炎になる、ランニングでは持ち運びたくない

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