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温泉へ、船で行く
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九州へ旅をした。
フェリーに乗って、大海原を眺めながらの旅だ。この記事も、窓辺からキラキラ輝く波頭を眺めながら、ホットコーヒーの香りを楽しみつつ、ペンを走らせている。
ただ、ひとつ言えることは船に乗りながら原稿なんて書くもんじゃないということ。パソコンの画面を凝視しているときに、船が風で煽られれば、胃の中にも波が襲う。10秒も画面を見ていられず、一瞬で全身から冷や汗が噴き出る。
なのでこの先はもう船の上では書いていません。
そもそも「ペンを走らせて」もいなかった。格好つけたかっただけです。すみません。
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フェリーに乗ったのは大学生のときが最後だったので、約20年ぶり。子どもたちが「フェリーに乗ったことない」と言うので、夏休みを利用して計画したのだった。
しかし、行きも帰りも嵐の真っただ中。台風6号と7号は、かろうじて船の航路をかすめ、欠航にはならなかったものの彼らが残した高波と風は容赦なく船を叩きつけた(前日までの便は行きも帰りも欠航だった)。おかげさまで、優雅なクルーズなんてものはほど遠く、ほとんどの時間は船室で横になっていないとならない状況で散々。
それでも僕はフェリーの旅は楽しいと思う。もっと航行が遅くても良いと思うくらい。
フェリーの旅は、待合からして独特だ。飛行機のようにせかせかした雰囲気も無い、新幹線の待合とも違う、「これから海に出るんだ」というちょっと気怠い感じが蔓延した待合の雰囲気が良いのだ。
船の中はみんな船酔いで、子どもも大人もそこかしこで横になっている。一部の猛者がビールを飲みながらパソコンに向かっていたりするけど、彼らの三半規管はどうなっているのか。取り出して調べてみたい衝動に襲われる。
そんな状況の中でも明るく響く「これから船内シアターでプラネタリウムを上映しまあす」のアナウンスが、船内をピリつかせるのもまた楽しい。
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旅の主な目的地はほぼ温泉。別府温泉で数日を過ごしたのち、湯布院や黒川温泉まで足をのばしての観光。
どこが一番楽しかったか?と言われたら、個人的には黒川温泉だろうか。
先日、書籍『社会的処方』の新刊のための取材で、高円寺にある「小杉湯」さんに訪れた際、「この銭湯には『私』が見えている」という利用者目線からの表現が出てきた。これは、小杉湯で提供されているサービスやしつらえを通じて、客である「自分」に訴えかけてきてくれるものがきちんと感じられる、ということ。つまり、そこには店と客の直接的なコミュニケーションは存在しなくても、「場」を通じたコミュニケーションによって「きちんと自分という存在を歓迎してくれている」と感じられるということなのだ。
その点、黒川温泉はまち全体として、「お客さんに気持ちよくなってもらおう」という工夫が細かい点まで行き届いていたといえる。例えば、店頭に置かれた看板ひとつをとっても、温泉街のほとんどの店舗で統一されたデザインが用いられていて、「まちをあげてお客さんをもてなします」という姿勢が感じられたし、町なかに目につく標識や案内なども「ここは○○坂」「こっちは駐在さんがいます」など客が歩きやすいだけではなく、ずっと暮らしているかのような愛着を覚えやすいようになっていると感じた。
その土地の坂とか川とかひとつひとつの名前を知っていると、一気に「地元民」って感じになれるのは僕だけじゃないですよね?
それに比べ、今回宿泊したいくつかの大型ホテルの中は確かに豪勢に飾られてはいたけれども、そのせいかどうか、細かいところまで気が回っているようには感じられなかった。全てが大味で、どんな客に対しても70点を提供します、という感じ。
それは、大型ホテルとしてはひとつの正解なのかもしれないけど、その場からは「私」が見えている感じがしない。心地よさ、という観点からいえば小杉湯や黒川温泉で得られる体験とは雲泥の差がある。
「この場には『私』が見えている」という表現。小杉湯の取材で初めて聞いた時にも、それは面白い考え方だな、とは感じたが、今回の旅行でその意味が鮮明になったように思う。
その意味でも、今回の旅行では黒川温泉での体験に一番をつけたい。
ちなみに、それは決して黒川温泉の道ばたで出会ったネコが可愛かったから、ではないことを申し添えたい。
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「コトバとコミュニティの実験場」 僕はこのマガジンで、「コトバ」と「コミュニティ」の2つをテーマにいろいろな記事を提供していく。その2つを…
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