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ベトナム人は信心深い?暦や風水、土着信仰を信ずる人々

 ベトナム、とくに北部の会社やお店の片隅に必ずあるのがThổ Công - Thần Tài(土公・財神)の祭壇である。旧正月の節句や旧暦の決められた日にはそれぞれお供えをして、会社の社長や店のオーナーがお参りをする。お供物は季節の果物やお菓子、タバコなどだ。商売繁盛のためにはこの「土公・財神」に祈りを捧げなければならない。供物を絶やせばお怒りになり、商売ができなくなると信じられている。会社やお店に祭壇がないのはもってのほかだ。だからどんなオシャレな店であっても祭壇が鎮座している。

 土公はどことなく日本で言う布袋様に似ている。ふくよかな体格で上半身裸の神様である。会社や店が立地している場所を司る神であるとされる。土公は弥勒仏と同一視するむきもあり、弥勒仏の生まれ変わりであるとされる布袋様に似ているのは道理だろう。

 財神は髭を蓄えた初老の男性の姿で描かれる。白く長い髭を蓄えている姿が多いようだが、黒い髭の場合もある。東南アジアを広く旅したことのある友人などは、このベトナムの財神はおそらく関羽、関帝信仰から来ているのではないかと指摘する。確かに中国において関帝は商売繁盛の神様である。

 ベトナムの国勢調査では8割の国民が無宗教である、と答えている。しかし、多くの店で「土公・財神」の祭壇が祀られ、風水や方角、暦などを日本人以上に気にするベトナム人と暮らしているとベトナム人を果たして「無宗教」だと認めていいのかわからなくなる。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2021年6月号掲載


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