10年後には人口ボーナス期を終えるベトナム?
三井住友信託銀行『国連「世界人口推計」からみえる未来』という論文を読んだ。21世紀末世界人口はピークに達し、以後世界は人口減少へと向かう、という推計を国連が発表し、その統計に論評を加えたものだ。
日本の「失われた30年」とは、バブルがはじけ、高度経済成長から低成長の時代となった長い低迷期のことを指す。バブルがはじけた1990年当時の日本の年齢中央値は36.9歳。『「37歳」という年齢中央値を長期成長局面から長期停滞局面に転換する「閾値」と仮に置くならば、韓国は2011年、タイは2016年、中国は2019年にこの「閾値」に踏み込んだ』と論文は指摘する。確かにその三カ国はそれ以前の高度成長の時代を取り戻せず、低成長の時代に入りこんでいるかにみえる。
2022年ベトナムの年齢中央値は32.4歳と、他のアジア諸国に比べてもまだ低い。しかし2034年、これから10年後に「37歳」という年齢中央値を超えてくる。それまでがベトナムの人口ボーナス期であり、その後は経済が日本と同じように低迷の時期を迎えるだろうと論文は予測する。
最近、身寄りのないお年寄りの介護がベトナムでも問題となっている。公的な介護施設は存在せず、寺院や教会がその役割をになう。少子化で親の面倒をみるのは経済的にも人的にも負担が大きい。現在、義父が寝たきりとなり、直近で介護問題をかかえている我が家にとっても人ごとではない。
日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2023年8月号掲載
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