東南アジアのドキュメンタリーを観るVDF2021
京都大学東南アジア地域研究研究所(CSEAS)の主催するVisual Documentary Projectの上映会とトークイベントにオンラインで参加した。
この取組みは「映像を通して東南アジア地域の現状を捉え、多角的な議論を深める場を提供する」目的で2012年から開始され、今年で10回目を数える。毎年異なるテーマの短編ドキュメンタリー作品を募集、広く一般に上映して作家、市民、研究者との交流を行っている。今年のテーマは「死と生と」。受賞作品はミャンマー2、ベトナム2、マレーシア1だった。私はそのうちミャンマー1作品とベトナム2作品を観た。
ミャンマーの作品は「ドラム・レボリューション」、 サイ・チョー・カイン監督の作品。2021年2月1日に発生した軍部によるクーデターとそれに反対してドラムを叩き非暴力抵抗する若者たちのドキュメンタリー。当初、平和的に行われていた非暴力主義のデモ。しかしそれに発砲する政府軍。死者が増え、非暴力主義を謳っていた若者たちも地下へ潜り、政府軍と戦う少数民族の反政府軍に加わって抵抗を続けることを決意する。その姿が描かれている。
ベトナムの二作品はいずれも若い女性監督の作品。「8月の手紙」はホーチミン市とダナンに生まれた二人のベトナム人女性(監督)の一族の生と死が描かれる。娘が母の白髪を抜きながら話を聞く姿がとてもベトナムらしい。監督はマイ・フエン・チーとチー・マイ。
「リエンさんの造船所」ではメコンデルタのある街の木造船の造船所の女主人へのインタビューで映像が綴られる。サイゴン解放で造船所を国に差し出せと命ずる政府の役人に抵抗し、造船所を守った女主人。一族のほとんどは海外に脱出したが自身はベトナムに残って造船所を経営する。その女主人の語りを若い監督が淡々と映像に記録する。監督はグエン・トー・フオン。
若い女性監督の活躍は眩しい。
日本ベトナム友好協会機関紙「日本とベトナム」2022年2月号掲載
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