旧正月に響き渡るカラオケ騒音に想うこと
旧正月を今年も妻の実家があるタイニン省で過ごした。朝晩は20度程度と肌寒いが、日中は30度を超える。ハンモックに横たわって昼寝をするのにも心地よい気候だ。
旧正月ともなると連日、朝から晩まで隣近所のカラオケの騒音がひどい。歌がうまいならまだしも、音痴が歌っているといたたまれない。当初は騒音妨害だと怒鳴りこもうかと思うほどだが、次第に慣れてしまい、旧正月も終われば静けさも戻るだろうとあきらめる。
最近はキャンプ場やビーチにカラオケマシンを持ち込んで盛り上がる人たちもいて、騒々しく人々のひんしゅくを買っている。
テレビに接続して歌詞と動画が表示されるベトナム語のカラオケマシンを最初に輸出したのは旧日商岩井(現双日)だ。今から30年以上前のこと。同社のハノイ所長だったM氏から伺った。
競合商品が現れて市場から退却したそうだが、ベトナムのカラオケはその後「不健全」な方向に発展する。女性をはべらせ、歌をうたい、酒を傾ける場所で使われるようになったのだ。
カラオケで親しくなった女性と不倫関係になって離婚した、などという夫婦の話を聞くにつけ、自分が先鞭をつけて導入したカラオケマシンが、このような事態を招来したことにMさんは責任の一端を感じるという。
音が外に漏れ出して多少ご近所に迷惑をかける程度のことは自宅で友人や家族と一緒にカラオケを楽しむ分には目をつぶらないといけないのかもしれない。
日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2023年2月号掲載
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