見出し画像

80年代アイドル歌手の歌が聴けるハノイのパブ!

ハノイの学生街チュアラン通りの路地の奥にそのパブはある。

店の名前は「まちぶせパブ」。若干33歳の店長のお気に入り、80年代日本のアイドル歌手、石川ひとみのヒット曲「まちぶせ」からとった店名だ。

店長のミンは幼い頃、ある日本語の歌を聴いた。近所の誰かがラジカセででも流していたのだろう、すてきなメロディだと思った。

長じてパリの大学に留学、歴史学を専攻し、日本の戦国時代をテーマに選び、研究をした。友人のひとりに日本人の学生があったので、ある時その歌のメロディを口ずさんでみた。当然友人も知らない歌だったが、ネットでその歌を探しあててくれた。

歌は天地真理の「想い出のセレナーデ」だった。この歌は1974年発売のヒット曲で山上路夫作詞、森田公一作曲の名曲だ。1980年代には浜田朱里や石川ひとみがカバーバージョンを歌っている。

ミンはそれから日本語がわからないながらもネットで検索し80年代の日本のアイドル歌手の歌を聴きまくった。中でもミンの心の琴線に触れたのは石川ひとみ。ユーミンが作詞作曲した「まちぶせ」に心打たれた。

その後彼の骨董収集癖にも火がつき、当時のLPレコードの収集にはじまり、公衆電話機、カメラなどの収集もはじめ、オーディオ機器なども買い揃えた。

80年代の日本のアイドル歌手をテーマにしたパブの開設を思いつき、コロナ禍にオープン。当初は80年代の日本のアイドルに興味を持ってくれる若者などいるのか心配だったが、自分と同じような日本の歌謡曲ファン、それも若い学生がいることに驚いた。

店のバーカウンターには「石川ひとみ」の文字をタイルで浮かび上がらせる。石川ひとみのシルエットが描かれたステンドグラスもミンの手作りだという。

レコードや当時の広告ポスターが壁いっぱいにはりめぐらされ、ハノイにこんなオタクな空間があるとは驚きだ。興味があればぜひ「まちぶせパブ」にお立ち寄りを。

日本ベトナム友好協会機関紙「日本とベトナム」2023年2月号掲載

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?