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日本語教育文法書リビュー: 「初級を教える人のための日本語文法ハンドブック」シリーズ

  • Iori, Isao, Takanashi, Shino, Nakanishi, Kimiko, & Yamada, Toshihiro (2000). 初級を教える人のための日本語文法ハンドブック. Tokyo, Japan: 3A Network. https://amzn.to/3twZcdW

  • Iori, Isao, Takanashi, Shino, Nakanishi, Kimiko, & Yamada, Toshihiro (2001). 中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック. Tokyo, Japan: 3A Network. https://amzn.to/3RTLATa

庵功雄氏をはじめとした錚々たる著者の方々による、日本語文法の解説書です。「まえがき」によると、著者の皆さんは寺村秀夫氏の影響を受けているということで、日本語文法が日本語研究の理論的視野と日本語教育の実践的視野から考察されています。

本の全体の構成については、「あとがき」に以下のように上手くまとめられていました。

  • 一冊で、初級[中上級]を教えるために必要な文法知識をすべて得られる本。

  • 文法現象の根底にある原理を日本語文法研究の専門家でない人にも分かりやすく提示。

実際に使ってみた感覚としては、まさに上記のような感じで、実際に教えないといけないと思われる日本語文法に関する記述もあるのですが、それよりも、どちらかというと、日本語の先生が文法を教える上で知っていないといけない事が網羅されているという感じです。ある程度、日本語教育文法の知識はあるけれども、もっと深く知っておきたいという先生にはおすすめです。特に、「初級を教える人のための日本語文法ハンドブック」の第II部 (35.品詞から42.接辞まで)では、日本語教育文法がどのように発展していったのか、国文法や学校文法とどのように違うのかなどが詳しく説明されています。各項には、「もう一歩進んでみると」というセクションがあり、詳しく研究したい人のためには参考研究や文献も紹介されています。まさに、この一冊があれば、日本語教育文法のことは大体わかり、さらに研究できる場所も書いてあるという文法参考文献になっています。

他方、日本語教育文法の全体像が見えないとか、日本語文法をどうやって教えたら話からないとかいうような教えはじめて間もない先生ですと、どちらかというと市川(2005)の「初級[中級]日本語文法と教え方のポイント」などのほうが使いやすいかもしれません。市川(2005)では、日本語文法を教えることを重視しており、クラスで文法項目をどのように紹介するのか、どのような活動が使えるのかなどが詳しく書いてあります。

「初級を教える人のための日本語文法ハンドブック」の最後には、それぞれの文法項目が教科書のどこで紹介されているかがわかる「主要初級教科書との対応表」があるのですが、「みん日」など日本国内で使われている教科書のみが書かれてあり、「げんき」など海外で使われている教科書は載っていませんでした。

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