《日記》隣人ネイバーフッド
生まれて初めてくらいに綺麗な鱗雲を見た日。
やば、
マンションのルームキー忘れた。
この部屋に越して初めてのことだった。
女子の日が最大にしんどくて
朝の準備もなかなか億劫で
ルームキーが入った財布ごと部屋に置いて、出てしまったみたい。
さっきまでの眠気と空腹が嘘みたいに
頭の中は焦りに支配された。
どうしよう、アルソック呼んじゃう?
でも、一回の鍵開けに数万すると聞いている。
こんなことでお金はかけたくないな。
特に今月は。
自分の住むマンションでピンポンするの、だいぶ恥ずかしいけど
部屋にいる人にあけてもらおう。
まず目についたのは、1階の角部屋
キッチンの灯が灯っていて、料理っぽいことをしておられる。
うーん、行けるかなぁ、どうかなぁ。
行けなかった時の、自分が留守番録画に映るのを想像してやっぱり恥ずかしいけど。いいや、度胸試しだ。
ピロリロリロリン、ピロリロリロリン、ピロリロリロリン、ピロリロリロリン、ピロリロリロリン、、、
チャイムを押したが、部屋の人は応答する気配がない。
そして、チャイムが時間切れとなった。
めちゃくちゃわかりやすく居留守を使われた。悲しい。
チャイム、すごく長く感じたな。
そして、彼or彼女の留守番録画にしっかり私が残ってしまったなぁ。
少し自信を失いつつ、またマンションの前でうろうろした。
どうしよ、諦めてアルソック呼ぼうかな、、。
ふと見上げると、
私の部屋の隣も、灯が灯っていた。
うっすらな記憶だけど、面識がある、気がする。
確か、大人っぽいお姉さんと金髪だけどかわいい系のお兄さんのカップルが同棲してた気がする…。
夏の花火大会の日に、駐車場で花火を見ながら飲んでいる二人とすれ違った、気がする。
雰囲気だけだけど、良い人そうだっった、気がする。
行けるか?
よし
ピロリロリロリン(お願い出て)
ピロリロリロリン(お願いだから出て)
ピロリろ、
ピッ
「はーい」
はぁっ!!!来た!!
「スミマセン隣の者なんですけど鍵忘れちゃっていただけないでしょうか!!(早口)」
「あ、はーい」
扉 開く パカリ。
ってことで、無事帰宅できました。
ふぅーっ一安心一安心。
たとえ一目でも
面識があるのと無いのだと、大違いだな。
向こうもおそらく、何となく私のこと認知してただろうし、
そのために開けてもらえたというのが、要因としては大きいと思う。
後日談
翌日の朝、会社に行こうと部屋を出る時に
音楽を聞こうと思ってAirPodsをパカっと開けたんですが
まさかの片方だけなくなってて。
無くした記憶ないのになぜ!?と思ったら、
玄関の、自転車の鍵置きに一緒に置いてました。
昨日、鍵無い一連の事件の時にも装着してたんですが
そのことで気が動転してて、安心した反動で気が抜けまくって
外した右手でそのまま意味わからないところに置いちゃってたみたい。
隣人さんにお礼渡そう。
会うのは恥ずかしいからポストにでも投函しておこう。