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キミは最強フォーマット“アンリミテッド”を知っているか【遊戯王マスターデュエル】
遊戯王マスターデュエルは当初多種多様なレギュレーションで遊べるという触書きで始まったと記憶している。実際にはほとんどがスタンダードじゃないかと思わなくもないが、その言葉通り各種イベントやトライアルで独特のレギュが用意され、デッキ作成時にもフォーマットを選択することが可能だ。
その中に最強フォーマット・アンリミテッドも存在する。
あまり知られてないアンリミテッドの実態
アンリミテッドとは要するに「禁止カードも含め、実装されているカードすべてが使えるフォーマット」である。MD初期に禁止になった真竜皇V.F.Dや水晶機巧ハリファイバーといったカードはもちろん、外神アザトートやソウルチャージのようなMDでは一度も使用することができなかったカードも投入することができる。なんて自由で楽しいフォーマットなんだ。
と、ここまでは額面通りの説明に過ぎない。実際にアンリミテッドをやってみないとわからない世界があるので、それについて語りたい。
第1回アンリミテッドフェスティバル
— 天使が好きすぎる人/MDレート鯖 (@S_W_Rhapsody) April 1, 2024
優勝
絡繰(@XXDDZ222)
使用デッキ【クシャトリラ】
準優勝
ZEP(@ZEPMD1)
使用デッキ【クシャトリラ】
3位
とうふ
使用デッキ【ティアラメンツ】
4位
天国駅
使用デッキ【ティアラメンツ】 https://t.co/cNWOfkTQv5 pic.twitter.com/kU31P2vCVT
アンリミCSで準優勝。果たしてこれは実績なのか…?
アンリミテッドとノーリミットは近いようで遠い
やらないと中々に理解できないだろう部分。マスターデュエルのアンリミテッドフォーマットは、OCGでの禁止解除ルール・いわゆるノーリミットデュエルとは似ているようでまったく違う。
まず一番大きな理由はOCGはマッチ戦(三本勝負)であるが、MDはシングル戦(一本勝負)であること。OCGとMDの違いでたびたび上がる項目だと思うが、ここでもその差異が出てくる。なんといってもOCGにおけるノーリミットデュエルにおいては、ルールどころかモラルを破壊する禁止カード・ヴィクトリードラゴンの存在を意識せざるを得ない。
OCGのノーリミットデュエルの事情については割愛するがVドラの有無でデッキ構築(というかゲーム性)が根本から変わってくる。言ってしまえばVドラがないだけでアンリミテッドは健全である。
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次にカードプールの問題。アンリミテッドはすべてのカードが使えるフォーマットであるが、MDに実装されてないカードは使用することができない。これが非常に大きな意味を持っている。
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※エクシーズ系が抜けていたので更新
もっとも大きな影響のある部分として、ハンデスが使用できないということ。押収、強引な番兵、いたずら好きの双子悪魔が存在しないため、Gアトラクター以外のフリーチェーンでない手札誘発やハリケーンのような捲り札にも存在意義が生まれている。ドラゴンリンクの着地点として名を馳せたトポロジック・ガンブラー・ドラゴンも2024年9月現在未実装のためハンデスについてはスタン同様かなり厳しいといえる。まぁそもそもティアラ相手にガンブラー投げるのはダイナミックな自殺だろうが。
ほかにも禁止カードの中でも屈指のパワーを持つ魔導サイエンティストがいない、バーン系カードも使用できないものが多いため先攻ワンキルにも限りがある、などノーリミットデュエルとは違う独自の環境となっている。
また当然エラッタ前のカードも使用できないので、ファイアウォールドラゴンやブリューナクを使ったループデッキやマキュラエクゾも成立しない。ちなみに規制がいくら増えても怖くないアンリミだが、エラッタ緩和は実質禁止なので恐ろしい。エラッタだけはやめてくれ。さよならサモン・ソーサレス。
強欲な壺は積み得カードではない
遊戯王でも屈指の知名度を持つ禁止カード・強欲な壺。ある程度遊戯王に触れたことのある方ならノーコスト2ドローの通常魔法が許されない存在だということはわかると思うが、アンリミにおいて採用率は100%ではない。
理由はいくつかあるが、ティアラメンツの存在が大きい。
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OCG最強デッキとして名高いティアラメンツはアンリミにおいても単純なデッキパワーは最強であり、分布数も多い。そしてアギドケルベク朱光ティアクシャすべてが3枚使えるプールにおいて、墓地に落とすカードでもなければ落ちて意味のあるカードでもない強欲な壺はノイズである。近い立場にある天使の施しについても、墓地送り性能は好相性だが、墓地送りカード自体はそもそも足りているため、単純に積み得でもない。
一方でクシャトリラや神碑などの対抗馬となるデッキは壺施しと非常に相性が良く、ティアラメンツとその他の差を埋めるカードとなっている。むしろ壺施しのおかげでティアラメンツに抗えていると言えなくもない。何ならOCGの時よりティアラの理不尽感が少ない。
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意外と拮抗したメタゲーム
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アンリミテッドのメタゲームにおいて中心となっているのは、ティアラメンツ、神碑、クシャトリラの3デッキだ。
単純なデッキパワーではティアラメンツがぶち抜けているが、壺施しによる圧倒的なデッキ回転力と無制限の永続罠をふんだんに搭載した神碑も悪夢のような強さを誇る。そのうえでティアラ・神碑とメタが被らずギミックで他2デッキをある程度見れるクシャトリラも立ち位置は悪くない。ほか2デッキに一切刺さらないニビルはまず採用されないので、ディアブロシスを絡めた全力展開に向かえるのも追い風だ。
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これらデッキの間で採用札や構築、どのデッキを重く見るかで有利不利が変わってきたりする。例えば神碑はハリケーンを防ぐ手段をギミックで持っていないため、神碑が多くなるとハリケーンが採用され、神碑側もそれを見越して封魔の呪印などの対抗札を採用する……などアンリミのメタゲームは存外に繊細である。あと人数が少ないから顔でメタを読むのも重要。
また朱光・ハゥフ・ティアクシャを擁するティアラメンツの存在により、先攻全振りの展開系や先攻ワンキル系列が抑え込まれているのも大きい。言ってしまえばティアラメンツがアンリミの秩序を守っている。
アンリミのここがダメ
金がかかる。
ティアラメンツならばケルベク、ティアラメンツ以外ならば壺施しあたりはとりあえず持っておきたい。これらはすべてURなのでアンリミでしか使えないカードにURCPを大量投入しなくてはならない。しかもアンリミユーザーはたとえ禁止になってもボーナス目当てに砕きにくい。
だがこれは逆に考えてほしい。一度作ってしまえば一生使うことができるのだと。禁止になって使えなくなるということがない。どれだけ強力なデッキでもレギュレーション改訂に怯えなくてもいい。それはアンリミの魅力なのだ。なのでこれは大きな問題ではない。
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人がいない。
わざわざ禁止カードを生成するような変な奴しかやっていない。
真の問題はこの人口問題である。アンリミは常に新しい風を待ち望んでいるので、興味を持ったらいつでも参加してほしい。酔狂な誰かが今日もどこかでアンリミルームを開いていることだろう。
ぶっちゃけ毎週やるもんじゃないけど、環境の節目とかで思い出したようにやるとめちゃくちゃ盛り上がるのでぜひやってみてほしい。
最近では単純なアンリミ大会以外にも60枚限定や禁止カード各種1枚まで採用可能など、少し捻ったレギュレーションの大会も開かれているので意外と遊べる場は多い。気軽に参加しよう!
おまけ:アンリミデッキ集
アンリミ系の大会だとティアラ神碑クシャあたりを詰めることになるが、アンリミの構築は文字通り無限なのでそれだけではもったいない。アンリミだからこそ組めるデッキを幾つか紹介しておく。
すべて個人的に組んでるものなので流行とかはでない。これは言うならばカジュアルアンリミの世界である。
餅キャリアースプライト
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MDでは体験することのできなかった餅&キャリアーを採用したスプライト。OCGの時は両採用は稀だったが、スプリンド獲得後の展開力を踏まえると餅+キャリアーバスブレの布陣も夢ではない。
非常に強力なデッキだが、神碑対面がかなり厳しく、ティアラ対面にメタ枠を全振りできたOCGよりも立ち位置は悪い。ただ壺施しとの相性は良く回している際の楽しさは随一。施しでアンコウを切ると頭がおかしくなるほどのアドが得られる。
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ソルチャ十二獣
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ブルホーンが未実装ゆえフルパワーではないものの、アンリミのモルモは分裂する。壺施しでデッキを回転させつつソルチャでランク4爆発という動きも現実的に可能で、ショックルーラーやプトレアザトートといった禁止ランク4ギミックも使用できる。
テーマ外のドロソにパワーを依存しがちな部分は弱点だが、墓地メタ札を採用しやすく、何よりモルモラット増殖効果の連打は禁断のパワーを感じることができる。比較的安価に組めるので初心者向けかもしれない。
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イシズエクゾディア
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マキュラこそ使えないもののエクゾディアは構築可能。イシズギミックの採用により墓地のドロソをデッキに戻すことで壺施しの再利用が可能で、1ターンに5回強欲な壺を打つゲームもあった。
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ただ神碑やディアブロシスによるデッキ破壊が本当に致命的で、手足が飛んだ瞬間に勝ち筋がなくなる。ディアブロシスケアでEX0枚構築も試行したが、結局ライズハートのランダム飛ばしはどうしようもない。またティアラ相手もエクストリオが致命傷。とはいえカードを引くという原始的な楽しみ方をもっとも味わえるのも事実であり、たまに回したくなるデッキ筆頭。
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アンリミテッドは楽しい!!
そんな楽しく自由で、意外と繊細なフォーマットであるアンリミテッド。
今回はその魅力に触れました。気が向いた方はぜひともアンリミルムマにお越しください。