生きていく覚悟ができたので帰国します
ニュージーランドに来て半年が経った。
ビザはあと半年有効なのだが、帰国することにした。
ホームシックになった訳でも、この国に飽きてしまった訳でもない。今の生活はとても豊かで、居心地がいい。これまで生きてきて初めて、幸せだと心から感じられている日々を送っている。
ではなぜこんなにも未練なく帰ろうと思ったのだろうか。帰国を決めてからずっと考えていた。
今日たどり着いた結論は、「生きていく覚悟ができたから」だった。
私はニュージーランドに来る前に、働いていた会社を退職している。もちろん会社の人にも周りの友人にも、海外に行くために仕事を辞めると話をしてきたが、仕事を辞めるために海外に来たというのが本音だった。
会社で働いていた頃の私は、現状への不満と未来への不安を常に抱えていた。そして、その状態から一刻もはやく抜け出したかった。
一方で、海外で生活したいという気持ちも5年ほど前から持っていた。大学在学中にチャレンジしようと試みたこともあったが、結局諦めた経験もある。
だから、退職後の海外生活は、「挑戦」であり「逃避」だった。
そんな状態で来たものの、ニュージーランドで仕事を見つけ暮らしていくうちに、少しずつ目を向けられるようになったことがある。
生きるためにお金を稼ぐこと。
淡々と日々を積み重ねること。
私が目を背けてきたのは、「生活」だった。
今の生活に向き合えないから、漠然とした未来に思いを馳せてみたり、理想を膨らませて落ち込んでみたりしていたのだと気づいた。
そこに向き合う覚悟ができた。これからも生きていけそうだと思えるようになった。
だから帰国することにした。
日常を一歩ずつ踏みしめて、歩いていくために。