普通に暮らしながら性的被害にあった事
バス通学だったので痴漢にあったこともなかった。むしろ、平均身長よりも遥かに身長が高く、見た目だけなら強そうに見えたと思うので自分にとってそういった事は無縁だと思っていた。
だけど、それでも2度ほど性的被害を受けた。どちらもすごく怖くて気持ち悪くて泣いた。小さな事かと思われるだろうけど本人にとっては悍しくて忘れたくても忘れられない。また、私は普通に生活しているだけなのにいきなりそういった出来事が飛び込んできたのだ。
1度目は中学生の時、学校帰りのバスを待つためバス停に向かった。私の利用していたバス停は母校から少し離れ、別の小学校も含めた私立小学校の前にあった。いつもならそこの生徒でいっぱいのはずのバス停に人がおらずおかしいなと思っていた。子供がいない代わりにおじさんがベンチに座っていた。おじさんは自分の下半身を露出していた。ニヤニヤと笑いながら。頭が真っ白になった。周りに人もあまりいない。とにかく次のバス停まで歩こうと決め、おじさんを視界に入れずポケットから携帯電話を出して母に電話をかけながら早歩きで向かった。幸い母はすぐに電話に出てくれて安心した私はことを話しながら泣いてしまった。怖かった。本当に怖かった。
2度目は大学生の時で、靴屋でアルバイトをしていた。その日は女性の社員さんと2人で入っていた。店に入ってきた男性が高価で売れたら店の売り上げがそれだけで上がる靴を試着したいと私に言った。私はその靴を売った事がまだなかったのではりきって靴を用意した。靴屋で試着をしてもらうにはお客さんにベンチに座って頂き、店員は床に片膝をつきながら準備をする。その靴は紐履だったので準備するのに少し時間を要した。一足試着すると、別の種類も試したいと言うのでバックヤードに靴を取りに行った。すると、店に戻る前に社員さんに、「今日、中にインナー着てる?」と聞かれた。何のことだろうと思ったが私はその日カットソーの下にブラジャーのみだった。普通にしていれば見えることはないが、屈むとチラチラと見えていたのだろう。「あのお客さん、胸元を見ながらポケットに手を入れて自分の下半身いじってるよ。あなたが下向いてる時にニヤニヤしながら。もし怖かったら私が変わる」と。ゾッとした。自分の脇の甘さを痛感したが、今まで接客をしていてそんな事はなかった。結局社員さんが気づいたことに勘付いたのか男性は私が戻ると、何も買わずにそそくさと店を出て行った。もっと怖かったのは後日社員さんから「あの男性、また来てて別の店の女性店員さんに声をかけてたけど、私に気づいたら早足でどこかに行ったよ」と言われたことだ。恐らく常習的にやっていたのだろう。
普通に暮らしていて普通に性被害に遭う国だ。そんな小さい事と思うかもしれない。そういう事をした男性2人が法的に裁かれたのかも分からない。私も訴えた事は一度もなかった。むしろそのためにその後被害にあった人を生んでしまったかもしれないと思うと後悔する。ただ、その考えもおかしいのではないだろうか。性犯罪がそのくらいいいだろう、皆そんなことあったことある、で野放しにされず、ダメな事はダメだと裁かれるようにならなければ。
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