センター試験 第5問「ナラティブ」の英文を読む #2

「物語文」などと称される近年のセンター試験「第5問」は、適切な対価を払って、優秀なライターにコンペさせるべし。1本100万円を原稿料として払ってもいいんじゃない?

という話しを高校教師をしている頃、よく授業で生徒に話していました。

「第5問の書き下ろしで百万円って、それじゃ、同じ読解なのに、第4問担当の私の作成料とあまりにも違いすぎる!」

などと反発を招くこと必至でしょうが、「ナラティブ」って、時事文や解説文とは異なり、母語であれ英語であれ、読み手(解き手)が内容スキーマを既に持つことで有利になる,という要因が少なくなり、結果として「読み進めないと分からない。読み終わってもわからないこともある」という素材ですから。どこかからカッコ良さげなピースを拾ってきて加工する、などという第4問みたいなつくり方はできないわけです。

現行のセンター試験受験料は3教科で1万8千円。3で割れば6千円。英語は最大の受験者がいるので55万人×6千円の受験料収入の配分の問題かと。

2017年の追試験で出題された第5問の素材文(とそれに付随する設問)はもう読まれたでしょうか?本試験に比べて,追試験ってメディアでの取り上げられ方が少ないのは分かる気がしますが、「受験界隈」の人たちでも、「本当に、その英文読んでいるのかしら?」というような解説や考察(?)を目にしたりするので、授業では「読解素材」として一文ずつ読み、つながりとまとまり、さらには英文としての適否なども解説しています。とはいっても、一番時間をかけるのは「語義の理解」です。

• というのはどういうことか?

英文を読んで日本語に訳す(ここでは便宜上「和訳」と呼んでおきます)、という行為を十把一絡げにして否定したり、却下したり、忌避したり、恨んだり、呪ったりした揚げ句、「客観式」とは聞こえがいいですが、内容理解を確かめる手法が、和訳に劣るのでは?という指摘をここ十数年ずっとしてきていますが、この年の追試験の出題でも同様の感想を持ちました。

公教育での英語教育でも、とりわけ高校現場、しかもここ十数年の高校現場は、「テクスト(そこで用いられていることば)」こそを,教材・学習材としてきちんと扱う、扱い直す時期にいるのだと繰り返し指摘しておきます。(かくいう私も、今は公教育から少し距離を置いているわけですけど、そのことそのものも今は脇へ置いておいて、言っておきます。)

ということで、2017年・追試験・第5問の「英文」に対してのコメントを残しておきます。


個々の表現、文脈、構成などは手書きノートの写しを併せてお読み下さい。

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