荒木飛呂彦の初連載『魔少年ビーティー』の60年後を描いた『魔老紳士ビーティー』に、西尾維新と出水ぽすかの原作への敬意と異常なまでの愛を感じざるを得ない
【レビュアー/松山洋】
「我々はこの老人を知っているッ!!」
そんな出だしの漫画が懐かしくもウルトラジャンプ最新号に掲載されました。
『魔老紳士ビーティー』です。
あの西尾維新先生が原作をつとめ漫画を出水ぽすか先生が手掛けるという、これまた夢のようなタッグで実現した特別読切でした。
早速私自身もウルトラジャンプ最新号を購入して『魔老紳士ビーティー』を堪能させていただきました。
始まりから終わりまで原作である『魔少年ビーティー』に対する敬意と荒木飛呂彦先生のこれまでの作品群に対する異常なまでの愛を見せつけられた作品でした。
散りばめられたネタの密度に驚かされますよ。
私は当然ながら(ゲームソフトを作らせていただくほどに)『ジョジョの奇妙な冒険』の大ファンですが、それ以上に荒木飛呂彦先生のファンであり、その原点はやはり『魔少年ビーティー』と『バオー来訪者』でした。
初めて『魔少年ビーティー』を読んだのは中学生の時でした。
読んだ時の衝撃は今でも忘れることが出来ません。
残念ながらわずか10週で連載終了となってしまった時は本当にショックで悲しかったです。(もっともっともっと読みたかった)
今でもハンバーグをフォークに刺して一口で頬張りたい欲求にかられるときがありますね。(※『そばかすの不気味少年事件』参照)
そして『魔少年ビーティー』完結後にほどなく始まったのが『バオー来訪者』です。
この世の中に数多くの漫画作品が存在していて、その中から「最高傑作をひとつだけ選べ」と言われたら私は間違いなく『バオー来訪者』を選びます。
それくらい完成された作品なのです。
連載自体は全17話と決して長くはないもののまるで初めからその話数で構成されていたんじゃあないのか?と疑ってしまうほどに、一切の無駄が無く完成された珠玉の全17話なのです。
それは当時の漫画ファンの間でも話題となって一部では連載終了後に評価されて雑誌で特集を組まれるほどでした。
今でこそ、荒木飛呂彦=『ジョジョの奇妙な冒険』という図式はコーラを飲むとゲップが出てしまうほど当たり前の認識かもしれません。
が、やはり、荒木飛呂彦先生の原点を語るのであれば『魔少年ビーティー』と『バオー来訪者』無くしては語れないと私は思います。
なんと申しましょうか……。
『魔少年ビーティー』の完結から38年も経過したこの現代で『魔老紳士ビーティー』が読めた幸せを噛みしめつつ、どうしてもこの2作品を紹介したくて今回の記事を書きました。
これがッ!これがッ!これが『魔少年ビーティー』&『バオー来訪者』だッ!そいつにふれることは死を意味するッ!