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東京マンガレビュアーズ厳選おすすめ漫画レビュー

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東京マンガレビュアーズの三桁を超えるレビューの中でも、面白い!これは売れた!など、特徴的なレビューを編集部で厳選してまとめていきます。ぜひご覧ください。
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#マンガ感想文

悪役令嬢に転生したものの意地悪になりきれないおじさんが生まれた意外な理由『悪役令嬢転生おじさん』

【レビュアー/澤村晋作】 今回は、コミックスが発売されるやいなや売り切れと重版を繰り返している『悪役令嬢転生おじさん』をご紹介します。 悪役令嬢とは、意地悪い主人公のライバルのイメージの集合体である そもそも悪役令嬢とは何でしょうか? 一言でいえば、主に乙女ゲームの悪役である高飛車なお嬢様のことです。(乙女ゲームとは、主として女性向け恋愛シミュレーションゲームを指します) 意中のキャラクター(例えば王子など)を射止めるのをゴールとする作品群において、主人公のライバルと

【Netflixで話題】「クイーンズ・ギャンビット」でチェスに興味を持った人におすすめ!国内外のチェス漫画8選

【レビュアー/兎来栄寿】 Netflixで2020年10月23日に公開されるやいなや、超絶な人気を博している「クイーンズ・ギャンビット」。 公開から1ヶ月で6200万世帯が視聴し、Netflixの歴代新記録を樹立したそうです。 冷戦時代のアメリカで養護院に引き取られた少女・ベスが酒や薬に溺れながらもチェスの道で大成していく物語で、全7話とそこまで長くもないこともあり気軽に見始めて高い満足感を得られる作品です。 当時は、完全な男性社会であったチェス界で天才少女が男たちを

平凡な脇役・鈴木と佐藤に学ぶ、天才と肩を並べる「凡人の生存戦略」 『DAYS外伝』

すごい誰かとすごくない自分Twitterを眺めていると、到底たどり着けない深みのある言葉に出会います。いったい何を食べたらこういう表現を生み出せるのかと、自分にがっかります。 同じ現象を見ているはずなのに、思いもよらない角度から鋭い考察を突き刺すひとを目の当たりにします。その発想の源泉はどこで育まれるのかと、自己嫌悪に陥ります。 43歳にもなると、「これだけ年上だったら仕方がないよね」という言い訳もできず、才能ある10代、20代の行動が目から脳に流れ、いままで何をして

いまさら聞けないアメリカ大統領選挙〜小難しいことは全部かわぐちかいじ先生が教えてくれた〜『イーグル』

いや〜、大変な盛り上がりですね、アメリカ大統領選挙! そんなアメリカ大統領選挙ですけども、皆さん「実はよく分からない」なんてこと、ありませんか? 「スーパー・チューズデー」とか「リトル・スーパー・チューズデー」とか、「指名獲得」とか、何のことなのか実はよく分からないっ!けど、こんなに盛り上がっちゃってるし、今さら聞くに聞けないよ…というアナタに朗報です!! かわぐちかいじ先生の『イーグル』を読めば、面白いほど頭に入ってくるのです!! 毎朝新聞の記者、城鷹志(じょう・たか

憧れのマドンナか眼前のサバエか。全男子大学生に警告したい人生でもっとも無駄な悩み『サバエとヤったら終わる』

【レビュアー/澤村 晋作】 もう今回は表題の通りなんですが、『サバエとヤったら終わる』です。 サバエに行きなよ主人公は20歳の大学生・宇治。 ということで、もうお酒も飲めます。 彼の飲み友達は、同じサークルの女の子サバエです。 飲みの席で彼がいつもサバエに相談しているのは、これまた同じサークルに所属するマドンナ的存在の桜井さんのこと。 桜井さんの親友であるサバエに、恋の相談をしているわけです。 下ネタ大好きなサバエにからかわれながら、しょっちゅうサシ飲みしていま

コロナ禍の今こそ語られるべき、寄生生物侵略下における主人公・シンイチの決断『寄生獣』

こんにちは。株式会社コルクの佐渡島です。 今回は、今まさにウイルスが世界を蔓延しているこの時代に、全世界の人に読んでほしいおすすめの漫画を紹介します。 僕の生涯ベストワンの作品でもある、岩明均さんの『寄生獣』です。 この『寄生獣』をもう何回読んだことでしょうか。僕は漫画を読み返すとしたら勢いよく全巻いっき読みしたいので、長い漫画はちょっと苦手なんです。100巻ぐらいの漫画は、さすがに1日で読み返すことができないじゃないですか。でも10巻くらいだと、「よし読むぞ」って決め

【月商1億円超え】ゲームファンタジー漫画の最高到達点を、「.hack」開発者が読み解いてみた『俺だけレベルアップな件』

【レビュアー/新里 裕人】 皆さんこんにちは!ゲーム制作会社「サイバーコネクトツー」の新里です。 私は2002年に発売されたPS2用のRPG、「.hack」の企画・開発を担当していました。「.hack」はオンラインゲーム世界を舞台にしたRPGです。 当時はまだオンラインゲームそのものが世間に認知されておらず、ちょうど同年に発売された「ファイナルファンタジーXI」をきっかけに、日本のゲーム業界でもようやく注目され始めた、というタイミングでした。 なので、このゲームの企画

ゲームが楽しくて現実がつらい理由をオシッコで解説『マンガで分かる心療内科(19)ゲーミフィケーション編』

【レビュアー/ミヤザキユウ】 ゲームだけやって生きていたいゲームだけやって生きていきたい…仕事したくない…そんなことを誰もが思ったことがあるんじゃないでしょうか。 そうした願望は一昔前なら、何をふざけたことを…と一蹴されたかもしれませんが、現代ならあながち不可能ではありません。e-sportsが盛り上がりの兆しを見せており、職業としてプロゲーマーになって活躍している人も出てきています。 しかしながらそれはそれでゲームだけやっていればいいだけではなく、激しい練習、PR戦略

20年間一切ブレずにボケ続ける増田こうすけ、じつはAI説『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和』

2000年から連載が始まり、タイトル変更後を含め19巻のコミックスが出版されている『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和(以下:ギャグマンガ日和)』。11/4に待望の新刊が発売されました。私は中学生の頃から大好きな漫画なのですが、周りからはこんな声を耳にします。 「え?ギャグマンガ日和ってまだやってるの?」 「名前は知ってるけど読んだことない」 「絵が個性的でちょっと無理・・」 「ギャグマンガ日和の"GB"って何?何が変わったの?」 そんなあなたに捧げる、今更聞けない『ギャ

井上雄彦との日常会話で感じた登場人物たちと作者の関係性『SLAM DUNK(スラムダンク)』

こんにちは。株式会社コルクの佐渡島です。 今日は、漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』について話そうと思います。 『SLAM DUNK』は漫画史に残る名作中の名作ですが、「作品は知っているけれど、読んだことがない」という10代や20代の人と出会うことがあります。 『SLAM DUNK』を読んでいないなんて、とてももったいないことですが、同時に「これから一気読みできる最高の幸せが待っている」とも思います。 『SLAM DUNK』は僕が小学校5・6年の頃に週刊少年ジ

【堀江貴文の月イチ漫画レビュー】 ドキュメント漫画家・吉本浩二が描く現代夫のリアル『定額制夫のこづかい万歳』

【堀江貴文の月イチ漫画レビュー】は、漫画を愛する堀江貴文氏が超多忙を極める合間に読んでおもしろかった作品を毎月レビューするコーナーです。長文レビューもあれば超短文レビューもありますが、そこはご愛嬌。本当におもしろいと思ったものしかレビューしませんので、どうぞお付き合いください。(編集部) 作者の吉本浩二さんは私とガチ同世代。彼の漫画は割と売れてる方だと思う。 だが、子供二人いるとこんな感じになるのだろうか。 お小遣い制という謎の制度にかねてから疑問を持っている私からする