ラオス暴走日記2010 Vol.9 〜奇跡の再会〜
※過去日記の転載です
2010年10月1日
13:30、バイクの整備も完了し、道のりもちゃんと確認したところで、いざVang Viengに。
距離的には150kmくらいしかないので、楽勝で着くだろうと余裕を持ってスタート。
最初は南へ向かう道とあんまり変わらなかったが、進むに連れ田舎になってゆく。
ラオスは観光地としては南より北がメジャーだし、Luang Phabangは昔の首都(たぶん京都みたいなイメージ?)なので、北の方が発展していると思いきや、どうも南の方が文明化されているようだ。
だってラオスで一番でかい国道なのに、こんな穴が開いてるんだぜ...。
南への道はこんなことはなかったのに。
更に進むに連れ、アップダウンが激しくなってくる。
というか、完全に山道。
箱根の峠にさっきみたいな穴がボコボコ空いているというイメージ。
スピードもほどほどにしないとまたコケちまうな。
しかし足が痛くてギア操作が相当きついので、
クラッチワークと最小限のギアチェンジでなんとか乗り切るしかない。
ま、そんな感じで、ぐねぐねと入り組んだ山道を走る。
道幅が狭いので、下手に追い越すと対向車と正面衝突しちまいかねない。
ま、追い越すんだけどね。
いやー、しかし昨日はこのままVang Viengまで行ってしまってもいいか、と思っていたが、やめといて正解だった。
景色も山っぽくなっていく。
こういう方が日本人には好かれそう。
かくいう私も山の景色が好きなので、無理して戻って北上した甲斐があったなーとちょっとテンション上がる。
走ること1時間半ほど、きつい登りも終わり、すごーく小さな山間の村でガスを補給。
隣には機織りをしているおばちゃんが。
ラオスの特産品のシルクかと思いきや、聞いたら綿だそうだ。
だんだんラオス語もわかるようになってきた、ような気がする。
南のラオスの人たちも素朴だったが、北はもっと素朴かもしれない。
恐らく、南側はタイとメコンを経て国境が接しているため、タイから物が流入していて、ヨソモノとも接しているからじゃなかろーか。
ま、そういう事情も、こっちまで来ないとわかんなかったもんな。
気さくな家族だったが、犬にはめっちゃ吠えられた。
それと、気づいたのは、日本ならだいたい谷川っつーのは水がきれいなものだが、ラオスでは上流まで行っても濁ってるようだ。
そんな濁った川で元気に遊ぶ子どもたちを発見。
カメラを向けると、手を振って大声で答えてくれたのがうれしかった。
なんで日本だと子どもに興味ないんだろう。仕事だからか。
峠を越えると景色が一変。
目的地は近いぞ。きっと。
そして、Vang Viengの手前の小さな村で、子どもたちが僕をヒーローのように迎えてくれた。
調子に乗ってサムアップとかしてみる。
しかし、この直後、バイクのエンジンが急にパワーダウン。
そして、まさかのエンスト。
なんてかっこわりーんだ、オレ。
さっきの子どもたちよ、追いかけてこないでくれ。
ガス切れなわけがない。
タンクを開けてもまだ十分にガスは入っている。
が、キックしてもエンジンはかからず。
おいおい、目的地はもうすぐだっつーのに、そりゃねーぜXRさんよ。
何度かキックすると、一旦はエンジンがかかるものの、すぐにエンストする。
うーむ、確か日本でもW650で似たような症状があったような。
これは...恐らくバッテリーがイッちまったな。
よく見ると、ライトがつけっぱになっている。
ライトなんかつけた覚えはないが、なんかの拍子でスイッチに触ってしまったか、でなきゃ、バイクの整備したやつがなぜかライトをつけたか(ラオスでは昼間ライトを点灯するのは違反である)。
というか、ライトつけっぱだけでダメになるバッテリーって、そもそもダメだろ。
まあいまさらグダグダ言ってもしゃーない。
とりあえずがんばってエンジンをかけ、だましだましガソリンスタンドへ。
Vang Viengまではおよそ8kmくらいらしい。
バッテリーが上がったからリチャージしてくれ、と伝えるが、いまいちわかってくれない。
ダメ元で何度かキックしたらエンジンがかかったので、しばらくアクセルを吹かし、バッテリーの蘇りに賭ける。
どうにか大丈夫のようだ。
16:00、一抹の不安を拭い去れないまま、ようやくVang Viengに到着。
足痛めたまま押すハメにならなくてよかった。
町は思ったより小さいが、その分ぎゅっと詰まっている感じ。
白人旅行者も多い。
とりあえず宿を探そうと思い、町をぐるぐるしていると、
「TOMO!!」
と私を呼ぶ声が。
空耳かと思ったが、目の前の車から手を振っている白人が。
誰かと思えば、一昨日Thakhekでいっしょに飲んだやつらじゃねーか!
彼らはBlue Lagoonとやらに泳ぎに行くとのこと。
きっと泳げる池みたいのがあるんだろう。
ゲストハウスの名前を聞いて、後で会おうぜ、と一旦別れる。
うーむ、いくら町が小さいとは言え、まさかここで再会できるとは。
今夜の宿を探そうかと思ったが、せっかくだから追いかけてみるか、と思い、車が走っていった方向へ単車で向かう。
Blue Lagoonはどっちだ、と町のやつに聞くと、吊り橋を越えた先とのこと。
こんな感じの吊り橋を渡り、方向もよくわからずしばらく走っていると、またもやエンジンの調子が悪い。
これはまずい。そしてガスも心許ない。
あきらめて戻ろうとすると、橋の手前でエンスト。
観光客の好奇心に満ちた視線を感じながら、頑張ってキック。キック。キック。
20回くらい頑張ってどうにかエンジンがかかる。
アクセル吹かし気味でどうにか町中に戻るも、あえなく3回目のエンスト。
すると、「大丈夫ですか?」という日本語が聞こえた気が。
いや、幻聴ではないようで、日本人らしき男性が近寄ってくる。
なんという偶然か、バイクが止まったのが、日本人が経営しているハンバーガーショップの真ん前だった。
事情を話し、恐らくバッテリーが完全放電してしまっているので、バッテリーを交換するか、応急処置として充電が必要だ、というと、いつも使っているというバイク屋を紹介してもらった。
新品はかなり高かったが、充電なら100円くらいなので、とりあえず充電して様子を見ることに。
一時間以上かかるということなので、先にチェックインすることに。
教えてもらったゲストハウスに向かっていると、途中のレストランで、TonyとRaffe、Danの3人を発見。
とりあえず合流してみる。
話を聞くと、概ね私と同じような行程だったようだ。
正直ちょっと驚いた。
特にThakhekからVientianまでは、かなりストイックにひたすら走ったつもりだった。
なんとなく外人ってもっとゆっくり起きて、ちゃんと休憩取りながら走りそうなイメージがあったのだが、彼らも私と同じくらいストイックに走っていたっつーことだ。
しかもVang Viengに私より早く着いているとは...。
ま、病院行ったり道に迷ったりチェーン交換したり、色々トラブルあったもんな...。
それにしても、ナムソン川沿いに切り立った岩山がそびえ立つ景色はすばらしかった。
そして、バイクをピックアップし、ゲストハウスへ。
XRがたくさん止まっていたのですぐに分かった。
そして、メンバーの一人、Benjaminは途中でコケて、足首を痛めたそうだ。
これでまた、ケガ人旅の同士が増えたな。
ま、私が一番深刻っぽいけど。
そして、この宿にもかわいいネコちゃんが。
甘えんぼで困るぜ。にへへ。
みんなでメシを食べに夜の町へ繰り出す。
が、最終的にはさっきのレストランへ。
この日は、仲間と酒が飲める、というのがなんだかとても楽しくて、ジンをたくさん飲んでしまい、さっぱり記憶がない。
でもなぜか酔った方が英語がスムーズに出てくるのは何か覚えてる。
写真を見る限り楽しそうだからいいか。
みんなめちゃめちゃいいやつ。ほんとに。
骨折していて元からまともに歩けないくせに、酔ってぐだぐだになった私は、最後は両脇を抱えられてゲストハウスまで連れていってもらうという、ついに国境を越えた、迷惑な酔っ払いになってしまった。
というわけで、幾多のトラブルを乗り越え、たどり着いたVang Viengで友人とまさかの再会を果たす、という、なかなかドラマチックな展開でした。
全て実話です。念のため。
To be continued...
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