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7.17 今年も夏

バンクーバーにきて3か月と1日が過ぎた。意識していなかったけど、偶然noteを開いた今日はちょっとした節目の日だったらしい。

最初は次々に飛び込んでくる目新しいものに心躍らせて、常にふわふわと地に足つかぬような毎日だった。だけどだんだんとそれも落ち着いて、留学生活が1か月すぎたあたりから、日本にいるときとなんら変わらぬ心持ちで生活していた気がする。

毎日学校に行き、同じクラスメートと顔を合わせて、同じ道を帰る。少しつまらなく感じてしまうときもあれば、その変わらない安心感に包まれる日もあった。


語学学校は人によって、就学期間が違う。入学時期も卒業時期も違う。昨日仲良くなったあの子が今週末には卒業だった、なんて経験は両手じゃ収まりきらないくらいになった。初めて仲の良かった子の卒業を経験したのは5月。そこから毎週のように空港に誰かしらのお見送りに行っている気がする。


明日から新しいクラスメイトが4人来るらしい。今までもクラスに新しい子が入ってきたことはあったけど、いつもきまって1人だった。明日は4人も。新しい子が。15人ほどしかいないクラスにそれだけ新入生がくれば、クラスの雰囲気もまた少し変わっていくのだろうなと想像する。なぜか鼻の奥がツンとして、涙がでてきそう。

恐れているんだ、わたしは。変化を恐れている、必要以上に。自分を落ち着かせようとする深呼吸で、やっと気づいた。


クラスで仲の良かった韓国人の子は、私に相談することなくクラスを変えた。その意思を固める前に私に絶対言わなきゃいけないなんて義務はなくとも、二人で過ごした時間を考えたら、言ってくれてもよかったじゃないか、と少しやけになる。これからは隣に座って授業を受けることはなくなる、ちいさな変化は受け入れがたくて、誰かに全部全部話してすっきりしたかった。この話聞いてほしいなあ、と顔が浮かんだその子は、ほかの国に転校してしまったな。電話でもすればいいんだろうけど。目の前にいてほしかっったんだ。大丈夫だよって背中をさすってほしかった。1か月前はここにいたのに、今は、ちがう。SNSをみれば日本にいる私の友達が最近の様子を投稿している。ああ私がいない間に、あの子とあの子は仲良くなったのか。帰ったとき、すべては前の通りではない。渡航前と同じではない。それがいいとか、悪いとかではなくて、ただただ、変化している。


とても、怖い。

変わっていくものたちが。

私をそこに残したまま、回り続けて、形を変え続けて、変わり続けているような気がしてしまう。

何を支えにその渦のなかで立っていればいいかわからないとき、通学路にある木は夏の葉っぱをつけていた。今日の朝みた雲は私の知っている初夏の雲だった。

変わらない夏は、ここにもあるらしい。私を知っていて、私も知っている。

変わるものたちを少しずつ知っていきたい。怯えながらも優しく手をつないでいきたい。




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