2024ベルリン観劇記録(26) Sterben Lieben Kämpfen
3月16日、ベルリナー・アンサンブルでノルウェーの作家Karl Ove Knausgård カール・オーヴェ・クナウスゴールの自伝的小説『我が闘争』シリーズの演劇化作品『Sterben Lieben Kämpfen』鑑賞。
演出 YANA ROSS
舞台美術 BETTINA MEYER
衣装 JUSTYNA ELMINOWSKA
音楽 MAGDA DROZD
振付 LESLIE UNGER
照明 RAINER CASPER
ドラマトゥルギー AMELY JOANA HAAG , SAMUEL PETIT
歌唱指導 KRISTIINA TUOMI
出演 GABRIEL SCHNEIDER, PAUL HERWIG, MAXIMILIAN DIEHLE, KATHLEEN MORGENEYER, AMELIE WILLBERG, CYNTHIA MICAS
Großes Hausで2時間25分。空席が目立った。父息子の確執を軸にすえ、作家が自らの半生を振り返る。原作小説の読後感を損なわないように配慮したためか、劇的なモーメントがあまりにも少なく、演出も抑制が効きすぎているため、鑑賞し続けるのに苦労した。タイトルから想像するような強烈な闘いはなく、喜怒哀楽の発露も憎しみも薄い。だからこそ似た文化圏の多くの人にとってはとてもリアルで、ベストセラーになったのだろう。作家への敬意を感じるが、せめて集中力を保たせるような演出上の工夫は必要だと思う。作品と演出スタイルの相性が悪かったのかもしれない。本であれば退屈したら休んだり飛ばしたりすることもできるが、演劇では途中で出て行くことしかできない。実際、複数人が1時間〜1時間半ほどで帰って行った。役者陣は熱くなる場面もあるのだが、注目させる力に欠け、徹頭徹尾散漫としていた。小劇場で1時間45分ならば保っただろうか。例えば原作のファンは「再現度の高さ」で満足したのかもしれない。2.5次元舞台と考えれば、原作を知らない者がつまらなく感じても仕方がないだろう。
舞台セットはリアリズム。上手奥のドラムセットは効果的でない。ほんの二箇所でのみ父親役の俳優によって演奏された。最初から最後まで父親の亡霊が舞台上にいるのだが、であればドラムの演奏を用いて死してなお主人公の人生をコントロールしようとする父親を表現するなど、使い道はもっとある。
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