2024ベルリン観劇記録(9)Mutti, was machst du da?
2月17日ベルリン9本目。
ベルリナー・アンサンブルの小劇場Neues Hausにて、シュテファニー・ラインスペルガー、コンスタンツェ・ベッカー、ティロ・ネストが親子3代を演じる新作。歌あり演奏ありの家族ものコメディ。
作 Axel Ranisch, Paul Zacher
出演 Stefanie Reinsperger, Constanze Becker, Tilo Nest, Max Gindorff, Kathleen Morgeneyer, Jonathan Kempf, Martin Rentzcsch
演出/映像 Axel Ranisch
舞台美術 Saskia Wunsch
音楽 Martina Eisenreich
照明 Hans Fründt
ドラマトゥルギー Johannes Nölting
休憩なし、110分。わたしにとってシュテファニー・ラインスペルガーとコンスタンツェ・ベッカーは、ラース・アイディンガーと共に、ベルリンにおいて「この人が出ているならば何はともあれ観に行こう」と思わせてくれる俳優だ。ベッカーはミヒャエル・タールハイマー演出の『メディア』や『ペンテジレーア』の圧倒的な存在感が、ラインスペルガーはハントケ『Selbstbezichtigung』やブレヒト『baal』の暴れん坊ぶりが忘れられない俳優となっている。小劇場とはいえセリフ術が巧みゆえ、ネスト、ベッカー、ラインスペルガーの言葉は、最後列に座るわたしの耳にもすんなり入ってくる。古典での重厚な声と吸引力が魅力のベッカーだが、現代劇での少々やさぐれた母親ぶりも大変よかった。ファルク・リヒター作品にもまた出演してほしい。ライスペルガーの母親役となればベッカーが適任だろう。二人とも存在が強すぎる。
筋や演出に関しては新鮮さや発見がなく、特に気持ちが揺さぶられることなく楽しく観るにはちょうどいい、という感想。キャスティングがジェンダーフリーの為、見え方も多様だ。歌と演奏は楽しかった。ブレヒト的なアプローチを意識したのだろうか。プロジェクションは特に効果的と思えなかった。