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2024ベルリン観劇記録(11) Die Blechtrommel ブリキの太鼓
2月21日ベルリン観劇11本目、ベルリナー・アンサンブルで一人芝居のDie Blechtrommel。2022年に拙訳で上演された『ブリキの太鼓』のオリジナルキャストと演出。本来11本目になるはずだった20日の観劇は、電車の大幅な遅延と減便によって断念せざるをえず。悲しい思いをした。幸い来月の空いている日に同作品の上演があっため買い直し。レパートリーシステム、助かる。そして21日に観た『ブリキの太鼓』もその恩恵にあずかっている。前回購入時は出演者の急病により休演となり、代替作品を鑑賞した。今回の観劇記録では何度も言っているが、レパートリーシステムはありがたい。
原作 ギュンター・グラス
演出/上演台本 オリヴァー・レーゼ
舞台美術 Daniel Wollenzin
衣装 Laura Krack
音楽 Jörg Gollasch
照明 Steffen Heinke
ドラマトゥルギー Sibylle Baschung
出演 Nico Holonics
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110分、ベルリナー・アンサンブルのメイン劇場で、販売分は満席完売(三階席は販売なし)。映画版がよく知られているだろう、ギュンター・グラスの小説『ブリキの太鼓』を原作通りの一人称視点で一人芝居にしたもの。初演2015年、そろそろ十周年を迎えるプロダクション。よく知っている作品ということもあるが、110分があっという間だった。やはり元の上演台本から30分くらいはカットしている。
客席に話しかけるアドリブが豊富。馬の頭からウナギを抜き出すシーンでは、勢い余ってバルコニー席へ飛び出していた。学校の行事で観劇しているのだろう高校生くらいの男の子たちに大ウケ。ソーダ・パウダーのシーンは唾を吐きまくりで客席は「うええーー」と大盛り上がり。舞台上という公衆の面前で大量の唾を生み出し吐けるというのも、身体統制能力の成せる技だろう。自分にできるとは思えない。PCR検査を思い出してほしい。役者としてのニコ・ホロニクスに戻る瞬間と、オスカーを演じるオスカーになる瞬間の切り替えはさすがだ。過去を振り返る形式の作品であるから、一生のレパートリーとなるだろう。初演時は青年らしい風貌だが、今はすっかり中年だ。また数年後に観たい。
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