2019ベルリン観劇記録(19)『Zeiten des Aufruhrs』
10月30日
Zeiten des Aufruhrs 激動の時代
劇場 Deutsches Theater
原作 Richard Yates リチャード・イェイツ
原題 Revolutionary Road
翻訳 Hans Wolf
上演テキスト Jette Steckel, Anika Steinhoff
舞台美術 Florian Lösche
音楽, 作曲 Olaf Casimir, Christian von der Goltz, Bill Petry
振付 Yan Revazov
照明 Matthias Vogel
ドラマトゥルギー Anika Steinhoff
リチャード・イェイツの小説『レボリューショナリー・ロード』が原作。1950年代アメリカの傍目には普通の、それなりに恵まれた夫婦の綻びと崩壊。思い出したのは少し前の時代の作品だがアーサー・ミラー作『セールスマンの死』だ。70年も前のアメリカの作品が現代の日本でも充分通じると思えるのだから面白い。「満たされない専業主婦の妻と仕事人間の夫の対立と葛藤」いう構造が、今でもリアルだということだろう。
Jette Steckel の演出を観るは Das Siel ist aus から二本目だ。今作も盆の回転と舞台装置の転換をミザンセーヌに絡ませ、男女のやり取りを丁寧に描いている。特に夫婦の口論シーンは見応えがある。大きなアルファベットが「SET」「HOME SWEET」「SHOW」等と並び替えられ、場面のテーマや室内のしつらえを表現する。舞台上にはピアノ、サックス、コントラバスから成るバンドが居る。例えばサックスプレイヤーは妻エイプリルの隣に座り、気持ちに寄り添うような音色を奏でることもある。
前回Das Spiel ist aus の記事にも書いたが、<ドイツ演劇>にしては珍しく、ロマンチックなものをそのままロマンチックに演出している。ドラマツルギーがハリウッド的で、戦後アメリカ文学なのだから当たり前と言えばそうなのだが、久しぶりにウェルメイドプレイを観たな!という感想だ。3時間を飽きさせずに見せる力は素直に凄いと思う。何しろBaalのようなことも有り得るのだから......