【漫画】『嘘喰い』9巻感想~タダより高いものはない~
『嘘喰い』9巻を読みました。
今回は個人的にスカッと回でした。
早速次の展開が気になって気になって仕方ないですが、今回の話をまとめておきたいと思います。
感想を書きます。
※ネタバレ注意
○『嘘喰い』9巻 読んだ感想
8巻の終わりでは、梶くんと雪井出のゲームが始まり、最終的に梶くんの負けで終了します。
梶くんが賭けた2004年11月5日の梶くんの経験や時間は奪われてしまいました。
梶くんは、別の日程を挙げて再選を申し込みます。
しかし、ここで雪井出の態度が急変します。
「無い、次は無いよ梶君。」
「きっ きっ きききっ 君はっ 今までの奴らと一緒っ 最初からそう思ってた」
「そ そ そうやって 嘘の思い出を言って だ だ 騙そうとしている 金っ 金っ欲しさに」
「僕が終わりって言ったら終わりでしょ!?」
そう言って、雪井出は梶くんの意見も聞かずに家に帰してしまいました。
それまでの雪井出の大人っぽい言動が一変して、我儘な子供みたいな発言を繰り出してきたのです。
雪井出に言われるがまま、大人しく帰る梶くん。マンションのエレベーターに乗っていると天井が開き、誰かに誘拐されてしまいました。
こういう姿を見てるとなんと弱いんだと力が抜けてしまいます。
幸いにも、誘拐したのは伽羅でした。
たどり着いた先には、精神的ショックを受けて頭がおかしくなった武器商人のカールと、怒り心頭の伽羅でした。
「殺すぞ 負け犬野郎!!」と言われてしまいます。かわいそう。
ちなみに、カールは、テロのためのミサイル発射を失敗させてしまったことから、クレイグに殺されることを恐れています。
眠れていないのか、目が完全にいってしまってます。
色々話していると、テレビにとあるニュースがうつります。
3年前に起こった○○区一家殺人事件の容疑者として摩周秀則(30)無職が逮捕されたというものです。
この摩周という男が、梶くんたちに0円ギャンブルの話を持ちかけたマッシュだったのです。
そして、一家殺人がおこなわれた家がテレビに映るのですが、これがなんと、雪井出が油絵に描いて壁に飾っていた絵と一致したのです。
つまり、マッシュは本物の殺人犯ではなく、雪井出に仕組まれて逮捕された偽の犯人だということがわかりました。
そして、それが可能になったのは、雪井出がマッシュから、その事件が起きた日のアリバイを奪っていたからです。
梶くんが奪われたのは、2004年11月5日の経験だけではなく、その日の「アリバイ」だったのです。
梶くんはその日に起きた何らかの事件の容疑者にさせられるということなんです。
何これ、恐ろしすぎるでしょ…。
しかも、この日に起きた事件を調べてみると、「奥多摩 廃屋猟奇殺人事件」の記事が出てきました。
非常に残酷な事件で、犯人はまだ捕まっていないようです。
こんなので逮捕されたら確実に死刑ですね…。
梶くんは、これで自分を捕まえたら冤罪なんだから警察が何とかしてくれると主張しますが、どうやらそういうわけにもいかないようです。
なぜなら、梶くんが雪井出の元に向かったリムジンを伽羅が追っていると、それは警視庁の中に入っていったということを確認済みだからです。
つまり、雪井出は警察と何らかの関係があり、犯人の捏造についても、警察の協力の下で行われている可能性が高いのです。
さらに、マッシュが擦り付けられた事件の被害者の爪にはマッシュの皮膚のDNAが、現場にはマッシュの頭髪が落ちていたようです。
梶くんも、雪井出に出会う直前に、見知らぬ女性に腕を引っかかれ、謎の警察官に頭をつかまれて髪の毛を奪われています。
これを証拠として、これから梶くんは一家殺人事件の犯人にされてしまうのです。
梶くん号泣してます。かわいそうに。
さて、梶くんが帰った雪井出の元に、次の来訪者がやってきていました。
斑目貘です。ちゃんと腕に傷があるので、梶くんと同じように痴漢の犯人にされそうになったこともわかります。
継続して立会人は門倉です。
斑目貘は「貘です」と名乗り、正体を明かしていますが、雪井出は特にそれに反応を示しません。
しかも、斑目貘は立会人の仕組みをしらないような素振りを見せ、自分が賭郎の会員であることを隠しています。
具体的に上手く説明できませんが、駆け引きしてる感じがとてもすごいです。
雪井出は梶くんにしたのと同じように、斑目貘にホワイトボードを見せてどの日付を賭けるかを聞きます。
斑目貘は1998年11月23日を挙げます。
なんとこの日に斑目貘は「人を殺した」というのです。
ここで、雪井出との勝負に賭けることができる日と、賭けることができない日を3人で確認していきます。
まず、先ほど斑目貘が言ったように、人を殺したなどの犯罪を犯した日は、賭けることができないみたいです。
普通に通報するぞと言われてしまいます。そりゃそうです。
しかしこの「人を殺した」というのは、直接的に殺したのではなく、自分の発言か何かの結果、その人自身が自分で命を絶ったという話らしいです。
こういう事情なら、その日は賭けに出すことができるとのこと。
あと、挑む側が賭けに出した日付が借金を抱えた日だとすると、その日付に起きた出来事を空白にすることはするが、借金などの捏造可能なことに関しては賭郎は関与しないとのこと。なるほど。
また、例えばその日付に斑目貘が「オリンピックで金メダルを取った」など、世界的な記録に残っていたり、大勢の人間の記憶を塗り替えなければいけないとなると、取り立ては不可能だそうです。これも理解できました。
なので、賭郎といえども、今回の場合は「できる範囲」での取り立てを行うみたいです。
さて、早速斑目貘と雪井出の勝負が始まりました。
ゲームは引き続き「迷宮(ラビリンス)」です。
一通りのルール説明が終わった後、雪井出は自分を先攻にするように要求し、斑目貘はそれを承諾しました。
梶くんとの勝負では、雪井出は何らかの方法を使って、1ターンでストレートに出口まで進んでいるので、本来ここで先攻を雪井出に渡すのは危険です。
しかし、斑目貘なら大丈夫なのではないかという謎の安心感があります。
梶くんのときにもあったのですが、ルール説明によると、2人が作成した迷路は、門倉がその場にあるコピー機を使ってコピーし、片方を自分、片方を作成者に返してゲームをジャッジしていきます。
そのため、斑目貘はこのコピー機が怪しいと仕掛けを暴こうとします。
コピー機でコピーしたデータを雪井出の手元に何かしらの方法で送っているのではないか!現代の科学であれば紙で受信していることもあり得るぞ!と、あり得ないことを言ってめちゃくちゃ疑ってきます。
雪井出は一瞬不正を疑われたことに苛立ちをみせますが、すぐに気を取り直して斑目貘を席に戻しました。
さらに斑目貘は、マジックで壁をかくとやり直しがきかないからシャーペンで書かせてくれと要求し、シャーペンを使って20枚の壁を書きました。
斑目貘のこれらの行動には目的があるはずなのですが、今の私では全く予想することができません。
こういう、何が起きるかわからないときのドキドキが楽しいですよね。
さぁ、ゲーム開始です。
門倉は斑目貘から受け取ったメモ帳を見てめっちゃニチャります。
一体斑目貘がどんな迷路をつくったのかすごく気になりますが、それは明かされることはありませんでした。
先攻の雪井出からマスを進めていきます。
しかし、雪井出は熟考します。顔を右手で覆い、指の隙間から斑目貘を観察しているのです。
その視線が捉えているのは、斑目貘の作成したメモ用紙です。
斑目貘は自分のメモ用紙を見ることなく、折りたたんで胸ポケットにしまっていました。
しばらく考えた後、雪井出は動き出します。
梶くんとの勝負と同じように、どんどんマスを進めていき、すぐに出口の目の前までやってきました。
最後の一手、雪井出は自信満々に出口マスに向かってマスを進めました。
しかし、門倉からの返答は、「失敗です」
なんと、雪井出は出口にたどり着くことができませんでした。
もうここで私の頭の中は?でいっぱいなのですが、さらに驚くことに、次のターンで斑目貘はストレートで雪井出の作った迷路の出口にたどり着いてしまいました。
この勝負、斑目貘の勝利です。
…なんで?なんでなんで?全然わかりません。
雪井出は、動揺しながらも斑目貘の使用したシャーペンに仕掛けがあると考え、次のゲームに斑目貘を誘導します。
しかし、斑目貘はこの誘導に乗らず、1億円をもらって帰ると言い出しました。
雪井出が梶くんにやった手法と同じですね。
しかし雪井出は今度は、何とかして次のゲームに漕ぎつけようとします。
そのために、脅しの言葉も斑目貘に投げかけます。
「もういい。終わりたいと言うのなら仕方ない。無理強いはしないよ…帰るがいいさ。ただ、後悔しない事だ」
雪井出が時たま見せる子供っぽさは何なんでしょうか?10年間の記憶がないことに関係あるのかな?
斑目貘はその後、雪井出の話にのり、もう1日、とある日付を賭けることにしました。
それは2001年4月9日。これは雪井出から提示された表には記載されていない日付でした。
雪井出は4月3日がホワイトボードに書かれていたので、これと間違えたのではないかと確認しますが、斑目貘は4月9日で間違いないと言いました。
調べてみると、この日にもちゃんと値段がついていて、それが100万円だというのです。
先ほど勝ち取った1億円と比べると大した額ではありませんが、斑目貘はこの日を賭けて勝負をすることにしました。
まずは、2001年4月9日に斑目貘が何をしていたかの確認が始まりました。
賭けに出せる内容なのかを確認します。
すると斑目貘は、「その日は精神集中するためにヨガをしていた」と言います。
絶対嘘でしょ…!斑目貘はヨガしないでしょ!
斑目貘はそのあと具体的にその日あったことを話そうとしますが、雪井出は聞いていられないというように、その話を遮ってゲームの開始を促しました。
2回戦目の始まりです。
今度は雪井出もシャーペンで壁を書くようにすると言い出しますが、斑目貘は、要領は掴んだから今度はマジックで書くよと言い出します。
先ほどの勝利はシャーペンが原因ではなかったのでしょうか…?
門倉は、今回の日付が100万円ということで、斑目貘はこれを軽い勝負となめているのだと考えています。
しかし、そういうことではありませんでした。
今度は斑目貘が先攻です。
先ほどの流れで行けば、ストレートで勝利を勝ち取れるかと思いきや、なんと3手目で失敗してしまいました。
今回の勝負は互いの作った迷路が読者に明かされました。
よーく眺めてみたのですが、どういうトリックがあって相手の迷路を把握しているかは全くわかりませんでした。
ゲームは進んでいき、優勢なのは雪井出です。
雪井出は斑目貘の迷路の出口の真ん前までやってきました。
最後の一手を打つ直前、斑目貘は言います。
「そこは、やめた方がいい…」
雪井出はその言葉を無視してマスを進めました。そしてそれが成功します。
これで雪井出は出口に到達し、勝負は雪井出の勝利となりました。
勝って得意げにしている雪井出に対して、斑目貘は言います。
「あ~あっ 俺ちゃんと言ったのに そこはやめた方がいいって」
とかり梅を取り出してそれを食べました。
これは相手が斑目貘の術中にはまっていることのサインです。
勝負に負けたのにどうしてこんな発言なのでしょうか。
この真相が驚きでした。
なんと斑目貘が雪井出に奪われた2001年4月9日は、かつて斑目貘が屋形越えをして敗北した日だったのです。
震えました。
雪井出もこれには驚きの表情を隠せません。
屋形越えをして惨敗した斑目貘の経験が、そっくりそのまま雪井出に譲渡されてしまったのですから…。
雪井出は門倉に問いかけます。
まず、勝負をして負けているのに、命が取り立てられていないこの状況自体がおかしい。
それに、勝負が始まる前にこの日付が屋形越えが行われていた日付であったことを門倉が自分に伝えなかったことは不備があったのではないか。
これは賭郎の怠慢だろ、と。
それを聞き、門倉の態度が変わります。
「ゴチャゴチャやかましいのぉ~」
「おどれにそれをほざく資格があると思うとるんかい!!おぉ!?」
「賭郎(ワシ)に…売っとるんか…喧嘩を」
と、怒りをあらわにします。なんとか門倉の後ろについている黒服の人がその場を収めてくれましたが、すごい剣幕でした。
門倉のテーマはやっぱり暴走族なのかな?
風貌とか怒った時の口調がそんな感じします。
しかし、門倉自身も今回の賭けに対してどのように扱うか迷ったようで、場所をかえてある人に電話しています。
それが、賭郎参號立会人の棟耶将輝(とうや まさてる)です。
門倉が彼を「判事」と呼んでいたり、棟耶がこれまでの夜行妃古壱の判断を「判例」と呼んだりしているので、裁判官をイメージしているのでしょう。
ルールとかに詳しい人なのかな?と思いました。
門倉が棟耶に確認して話し合った結果、門倉は今回の斑目貘と雪井出の勝負を有効と判断しました。
つまり、2001年4月9日に行われた屋形越えで敗北し、命の取り立てを控えているのは雪井出ということになってしまいました。
最後に雪井出の絶望の表情で9巻は締めくくられています。
今回もすごく面白かったです。
特に、斑目貘が勝負に負けたのに、かり梅を食べながら余裕の表情を見せた時がハイライトでした。
毎度言っていますが、イケメンが過ぎます。
私いろんな漫画で、主人公を好きになることってそんなにないんですが、嘘喰いに関しては主人公斑目貘大好きです。
門倉のコンセプトも良いなーとも思いました。
不良が好きとかそういうことではないのですが、本質が不良なのに、それを隠して立会人として紳士のように振舞ってるのが良いです。
あとイケメンですね。それも大きいかもしれません。私は顔の良い人に弱いです。
さて、10巻では斑目貘と雪井出の3戦目が始まるみたいです。
お互い何を賭けるのか、そして、今回のイカサマはどんな仕組みだったのかが気になるところですね。
次回も楽しみです。