モラトリアムを卒業しなくちゃ
「二十歳になるなんてなんだか馬鹿みたいだわ」と直子が言った。「私、二十歳になる準備なんて全然できてないのよ。変な気分。なんだかうしろから無理に押し出されちゃったみたいね」
(村上春樹『ノルウェイの森』より)
この一年のわたしの気持ちを表すのに最もしっくりくる言葉だった。
こんなことを書いたら引かれるかもしれないけれど、ハタチになる前に死にたいとずっと思っていた。漠然とした恐怖だ。あるひとに、「あなたは、寂しい とかいろんな感情が、死にたい にぶっ飛ぶよね」と言われたことがある。寂しいとか怖いとか、負の感情を抱くことから解放されたいと思う気持ちが、そうさせるのだと思う。
そんなわたしに、「時間」は、ハタチになることについてじっくり考えさせてくれた。でももうだめだよ、大人になってね、と、21時間前に押し出した。
でも、それもいい、と今なら思える。ハタチになったって考えることをやめなきゃいけないわけじゃないし、なんならやめてはいけないと思うのだ。
大好きなひとたちが祝ってくれた。歳を重ねることへの喜びはまだないけれど、祝ってもらえることを素直に嬉しいと思えるようになった。こんな小さなことでも成長だと思うのです。