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1.1. 人魚:人魚とは


1. 人魚とは

 人魚は世界中に広く分布し、種類が多く、その亜種・変種を含めると正確な種は確認が不可能であるとさえ言われている。人魚を含む幻想生物が初めて分類法に組み込まれたのは2006年のことだが、幻想動物は階層的分類に新しく(つまり既存の概念とは全く異なる)「幻想動物(界)」として追加された。古代からの一般的な疑問である、「魚類なのか、人類なのか」には、「人魚(門)」という抜け穴的ともいえる回答が今日での公式である(1) 。


 人魚はその形状も様々で、「人間+魚」の要素が少しでもあるものは、人魚と呼ぶことができる。幻想動物を現実の世界に「再発見した」メルガルは、その著書である「実在する動物たち:幻想とはなにか」(1982)の中で、「人間という種の特徴のひとつが二足歩行であることを考えれば、足のある魚類的な特徴を持つ動物は『魚人』として分類すべき」であり、「それに似た頭や顔があるなら人間というわけではない」とし、人魚を「人間的な上半身を持ち、魚類的な下半身をもつもの」と定義している。


 一般的な人魚はその地の伝統に基づくイメージが強い。人魚は大まかにマーメイド型と海人型に分けることができ(2.生態参照)、外見だけを判断基準にすれば、どちらに属するのか簡単に判別できる。しかし、一般的にはただ「人魚」という名称に、その地名や伝説をもじって名付けられることが多い(2) 。


1)幻想動物界の動植物に対し、未だに確固とした分類法は確立されていない(絶滅保護のため、まず実在動物として登録することを急いだ背景がある)。そのため改定が多く、初年には実に5回もの修正が行われている。この分類名は2018年5月現在のもの。


2)西洋で広く知られるドイツのローレライ、ギリシアのセイレーン、ノルウェーのハルフゥなどはマーメイド型の、生存地を異とする同じ種として扱われる(アイルランドのメロウは種が異なる)。アジアでは韓国の浪奸、中国の海人魚、日本の八百比丘尼伝説の人魚や竜宮城伝説の乙姫などがこれに含まれる。小型の海人型は、どちらかというと妖怪や悪魔伝説に現れることが多く、そのため不必要に凶悪なイメージを持たれやすい。


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