Evernote V.S. OneNote (雑感)
クラウドメモ系サービス究極の戦い
僕個人としてはOneNoteを使っています。以前はEvernoteの無料会員に登録していましたが、登録しただけであまり使っておらず、最近OneNoteにデータをすべて移行しました。Evernoteのアカウントはまだ残っていますがそのうち退会しようと思っています。
EvernoteとOneNoteの利点欠点は、ググれば色々な記事があると思うのでここではあまり書きませんが、思ったことを書きたいと思います。
まずEvernoteは有料会員にならなければ制限が多すぎる気がします。無料会員では月々のアップロード量の制限やファイル単体のサイズ制限が厳しいので、写真など大容量のファイルをアップロードしたい場合はまず有料会員になる必要があるでしょう。Evernoteの有料会員は年間4000円です。これを高いと見るか必要経費と見るか。後者ならEvernoteでもいいかもしれません。しかし前者なら、もう少し考える必要がありそうです。
メモをアップロードするだけならそんなに容量を食わないので、Evernoteをテキストデータ専用にして、写真やその他のファイルは別のサービスを使うという方法もあるかと思います。しかしそれでは個人のデータが分散してしまいます。私は自分に関するあらゆる情報・データ・文書などを1つのところで管理したいと常々思っています。いわゆる情報の一元化です。複数のサービスを使い分けるのも1つの手法ではあると思いますが、その場合はサービスによって分散された異なるメディア間の関係性を結びつけることができず、一括検索も簡単ではありません。
私が複数のサービスを華麗に使い分けることができないのもあるかもしれませんが、何をどこに置こうか/置いたか、分からなくなってしまいます。以前に、文書はGoogleドキュメント、写真はフォト蔵、というようにメディアごとに分けて保存していた時期がありました。しかし頻繁に使わないサービスにはログインの頻度も下がり、何がどこに保存してあるのかさえ忘れてしまっていたこともありました。そのような複雑な管理が得意な方は、うまく使い分けることなど容易いのかもしれませんが、私はやはり1つのところにすべてを置く単純なやりかたで行きたいと結論づけざるを得ませんでした。
OneNoteならば、OneDriveと連携させれば無料アカウントでは初期容量15GBのクラウドストレージにあらゆるものを保存できます。その点はデータの一元管理に非常に適していると思います。Evernoteは総容量の制限がないため、この点ではOneNoteより優れているかもしれません。しかし無料会員ではアップロード量が月60MBまでの制限があります。仮に毎月60MBずつアップロードしたとして、総量が15GBに達するまでには
15GB / 60MB = 250
およそ250ヶ月かかります。これは
250 / 12 = 20.83…
約20年です。20年というのは、情報技術のサイクルではかなり長いものと思われます。現に今から20年前はWindows 98さえありませんでした。インターネットに繋げることができた人も今よりずっと少なかったでしょう。
話を元に戻して、私がOneNoteを気に入った点は、この一元管理の可能性にあります。ただし、一応忠告しておきますが、OneDriveは検閲があるようなので変なモノは置かないほうがいいと思います。
EvernoteとOneNoteに共通する機能としてWebクリップがあります。これはWebページの魚拓を保存して管理・検索などができるようにするものです。この機能はEvernoteのほうが優れていると思います。OneNoteも一応ありますが、保存したページのプレビューがうまくできないという理由でWebページのスクリーンショットが画像として保存されます。検索も日本語については使い物になりません。一方でEvernoteはWebページを構造そのままに取り込むことができて、中の文章も自由に検索できます。
したがって、Webクリップをたくさん取り込みたいと思う人はOneNoteでは満足できないでしょう。
私はWebクリップはあまりしません。その理由は2点あって、常にオンラインが可能な環境にいることと、Webの情報はそんなにすぐには消滅しないことです。
1点目については、常に有線のインターネットか、あるいはスマートフォンでインターネットにアクセスできるため、敢えて自分のところに保存しなくてもオリジナルのページをすぐに見れるから、という理由です。この点においては、私はPocketというブックマーク同期サービスを利用しています。複数の端末間で簡単に見たいページを探すことができます。(尤もメインPCがFirefoxなのでFirefox Syncも入れていますが、スマートフォン側では重いのでFirefoxを使っていません)。今の日本にいる多くの人はだいたい常時ネットに繋げられるのではないでしょうか?
2点目については、ニュースサイトの記事などは期限が過ぎると消えてしまうものもありますが、例えばLifehackerなどのサイトや個人ブログなどで後で読みたいと思った記事は、そうすぐには消えることがないと思うからです。だからわざわざ魚拓を取るまでもない、ということになります。さらに言えば、Webクリップを取って保存するくらいなら、記事を読んで内容をまとめたものをメモしておくほうが、よっぽど自分のためになるのではないでしょうか。効率は下がりますが、個々の内容をより役立てることができると思います。
モバイルアプリについて。個人的に感じたのは、Evernoteはシンプルです。いい意味でシンプルということです。一方でMSのOneNoteは、Office製品群の一に位置づけられています。そういった面もあってか、幾分か複雑です。サービスの良し悪しはどこからアクセスできるか(クロスプラットフォームか)ではなく、それが使いやすいかに依ります。Evernoteのモバイルアプリは、Evernoteのサービスに十分に親和していると感じます。正直使っていた期間がそんなに長いわけではなく、iPadなどそれに適していると思われる端末で使ったこともないので、想像も含めての感想ですが、Evernoteは全体的にモバイルに特化したものだと思います。だからどこからでも使いやすい。
一方でMSのOfficeは、従来はWindows デスクトップだけへの提供でした。最近になってAndroid版~とかが出てきましたが、本来は正真正銘のデスクトップアプリケーションです。したがってOneNoteのAndroidアプリも、正直あまり使いやすいわけではなく、その全機能がモバイルから利用できるわけでもありません。ただちょっと閲覧ができる、編集がほんのちょっとできる、その程度だと感じます。Web版についても同様で、例えばデスクトップではWord 2007以降で使えるような数式を入力することができますが、Web版ではその数式が表示できません。"[数式]" のようになってしまいます。だから、三角関数の公式を覚えなければいけない学生にとっては由々しき事態です。
もしあなたがモバイルでの使用を前提にする、あるいはパソコンで使うよりもモバイルで使う比率のほうが大きい場合には、Evernoteをおすすめします。Evernoteならば、モバイルで使えるだけの(上限的な)機能が十分に使えますので。
プラットフォームの戦いか?
最近なんとなく感じているのは、Evernote対OneNoteの戦いは、Apple対Microsoftの、プラットフォーム同士の争いに還元されているのではないかということです。意味がわかりませんでしょう?
というのは、「Evernoteが素晴らしい」「Evernoteをこう使っている」とブログで発表している、いわゆるエバンジェリスト(伝道者という意味)の人のブログをいくつか見かけることがありますが、そのほとんどがApple製品、つまりiPhoneとMacBookなどを使っているように思えます。もちろんWindowsで使っている人もいるのかもしれませんが、どちらかというとEvernoteはApple社の製品に特化しているのではないか?そんな気がしてなりません。一方でOneNoteは…言わんとすることはもうわかりますよね。Microsoft社の製品です。Windowsに直結します。WindowsでOneNoteを使うと、これは素晴らしい、実に良い。云々…
そうすると、結局Evernoteを使うか、OneNoteを使うか。それは、あなたが主にApple製品を使っているか、Windowsを使っているか。そこに戻るのではないでしょうか。サービスを乗り換えるのは比較的簡単ですが、OSを変えるのはそれほど簡単ではない。そういうことで、もしどちらを選んだらいいか分からない場合は、自分が使っているOSに合わせることを考えてもらえればと思います。
私はApple製品を使わない主義であるため、パソコンはWindows、モバイルはAndroidを使っています。なのでApple志向のEvernoteは肌に合わない気がします。
長くなりましたが、最終的には自分の肌に合うほうをを使ってもらいたいと思います。どちらも無料で使えるので、とりあえず両方に登録してみて比較しながらどちらを使い続けるかを検討するのがいいでしょう。自分のユーススタイルに合わせて、合う方を見つけて下さい。もしかしたら、このどちらでも合うかもしれませんが、どちらも合わないかもしれません。その場合はまた別のものを探さなければなりませんが。
私は「これを使え」と強く薦めてはいません。駄目だった場合に責任が取れないからです。色々と書いてしまいましたが、何らかの参考になればと思います。