年の瀬です
この前Amazon Prime Videoでシン・ゴジラを見た。(もうTVでもやってるらしいけど。)映画館で見たことがあったけど、なんとなくもう一度見てみたい気分になったので一通り見返してみた。やっぱり面白い。日本人ならグッと来る内容だし、ちゃんとエンターテインメント性があるので押し付けられている感じがない。これは名作だよなぁ。
ところで見ていてふと気になったのは、そもそもゴジラってなんで東京に向かってるんだっけ?ということだった。海から上陸して一心不乱に都心を目指すというのは、なんだか不思議な感じがした。そもそも上陸する意味もわからない。海にいた方が平穏無事に暮らしていけそうなのに。映画の中でもそこら辺の細かい設定は基本スルーという感じだったので、ちょっと気になって昔の作品を軽く調べてみた。
とりあえず初代ゴジラは人類の核実験で住処を奪われた古代生物の生き残りということらしい。ゴジラの設定については作品によって微妙に異なるし(核実験の放射能の影響で突然変異したとか生物とか)、そもそも作品としてそれがなんなのか厳密に定義しているわけではないのだが、色々な意見を総括するとだいたい以下のような感じになると思う。
・放射能を生み出し続ける人類に恨みを持つ何か
・戦争で死んでいった人達の怨念、のようなもの
・天災や他国(もしくはテロ組織)からの攻撃に対するメタファー
・怪獣映画だし気にすんな
初代ゴジラの東京湾からの侵入ルートは、東京大空襲の時にB-29が攻撃したルートと同じらしい※。さらに水爆実験により目覚めさせられ人間を攻撃してくるという、原爆被害の経験を刺激する設定になっており、初代ゴジラは太平洋戦争を強く意識している。戦争の記憶がまだ強く残っている世の中で、出来るだけリアリティのある恐怖を描こうとした結果なんだろう。
最近の日本の脅威について考えると、地震や津波、台風などの天災(さらにそれに付随して引き起こされる人為的災害)や北朝鮮のミサイルや中国との領土問題などがあると思う。ゴジラを天災に重ね合わせるのだとすれば、そもそもが理不尽なものなので上陸してあちこちぶっ壊しながら東京に向かうというのはぴったりだ。北朝鮮や中国の主張は日本にとっては理解しがたいところがあるので、理不尽さと言う点ではこれもある意味当てはまる。シン・ゴジラの中で現代の人々が心の底で抱いている恐怖をリアリティに描こうとすれば、"襲われる理由がない"というのが一番しっくりくる設定になるのかもしれない。
それにしても、国の中枢が有事に対してうまく機能できず、取り返しのつかないものを次々に失っていくという様は非常にリアリティがあって心に迫る。
初代ゴジラからうん十年、戦後とはなんだったのか考えさせられる今日この頃です。
※この説については明確な裏付けはないらしく、真偽の程はわからない。
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