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【ミセス・ハリス、パリへ行く】 

舞台は1950年代のロンドンから始まります。ミセス・ハリスは戦争が終わったのに戻ってこない夫の写真を眺めながら、もう生きてはいないのだろうと思いつつ、希望は捨てずに家政婦としてせっせと働いています。

ある日、仕事先の家で、夫に内緒で500ポンドで購入したというクリスチャン・ディオールの美しいドレスを見つけてしまったハリス。手の込んだモチーフがたくさん付いた、淡いピンク色のあまりに綺麗なドレスについ手が伸び、自分も一度はこんなドレスが着てみたいと心を踊らせるのです。そしてミセス ハリスはどうしてもそのドレスが欲しくなり、節約暮らしで500ポンドを貯めることを決意します。

すると、いつも世のため、人のために尽くす彼女のもとに次から次へと不思議なことが起こりだすのです。そして無謀ともいえる挑戦だったのに、ついにパリ行きの飛行機に飛び乗ってクリスチャン・ディオールの本店に辿り着くのでした。

見るからに似つかわしくない家政婦が現金を握りしめ、店に入ろうとするとマネージャーが飛んできて門前払いになりそうになるけれど、そこからまた愉快な奇跡が彼女を助けます。

映画の中ではクリスチャン・ディオールの仕事場や裏方が出てきて、どんな風にドレスが仕上がっていくのかを興味深く見れました。1950年代のパリを舞台に、女性の服に革命を起こしたといわれるクリスチャン・ディオール。その華奢なラインに繊細なデザインのドレスがいくつも登場するファッションショーのシーンはなかなか見応えありでした。

ちょっとローマの休日のおばちゃん編みたいな要素が混じるのは、主人公のミセス・ハリスが困った人を放っておけず、それでいてキュートでユーモアがあり、いくつになっても恋心も忘れない可愛らしいところが小気味いいからかもしれないなぁ。

そしてキャスティングがまたいい。
主人公のミセス ハリスはレスリー・マンヴィル。あのゲイリー・オールドマンの最初の奥さんだ。見事なはまり役だと思う。
ディオールのちょっと癖のある意地悪なマネージャー役を、8人の女たちのイザベル・ユペールが演じています。
また「エミリー、パリへ行く」のイケメン、ガブリエル役、リュカ・ブラヴォーやランベール・ウィルソン、ジェイソン・アイザックなど良い役者が揃っているのも要チェック。

この季節には明るいアップテンポの映画は楽しく観れていいですね。幸せな気持ちになれた一本です。

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