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ヒトの特徴『腰椎前弯』の意味 その1

 ヒトの大きな特徴は【直立二足歩行】です。今回は機能解剖学の視点から大腰筋について共有して行きたいと思います。

 まず結論から言います。
 大腰筋を賦活するためには抗重力進展活動【エロンゲーション】は必須です!

 言いかえると大腰筋を賦活させたければ寝かしていてはダメ。
 寝てばっかいないで起こしてください(笑)マットピラティス をされている方は、それだけでは圧倒的に足りません。臨床的にもあり得ません。寝てエクササイズして促通しても起こして働いていなければ【直立二足歩行】としての大腰筋の意味は達成できていません。

 ヒトの身体の中に存在する抗重力筋は基本的には重力に抗する活動をしていなければ当然のことながら弱化していきます。FRPでは抗重力伸展活動をエロンゲーションとほぼ同意語で説明しています。細かい身体感覚含め、少しマニアックに責めていくので独特に感じる部分もあるかと思いますが、エロンゲーションは連鎖のスイッチ!と言うことをどうか忘れないで下さい!FFとかゼルタとかでもあるでしょ。カチってくるスイッチ。あの感じポンって入ります。
  さあ!そんな抗重力筋の中のひとつ。大腰筋の理解を深めてみませんか?ようこそ大腰筋ワールドへ!

抗重力伸展筋って?

 鍵となる部分ってたくさんあるんだけど。まずは重力に抗して伸びること。これ鉄則です。ピックアップしたもので言うと、脊柱起立筋、多裂筋、腸腰筋(腸骨筋、大腰筋)、前鋸筋下部、下後鋸筋、下腿三頭筋です。本当はもうちょっと入れたいけどこんなところで(本当は舌骨下筋群なんかも相当なダークホースなので必須だよ)。ちょっとクセがありますが、、、。前鋸筋下部(特に下部はめちゃくちゃ大事)と下後鋸筋は胸郭の観点からは外せないから入れてます。

 さて少し話がそれましたが、脊柱をアップライトに起こしてくれる筋は?この問いについて少し解説していきましょう。まぁトップは多裂筋と脊柱起立筋でしょうね。脊柱を起こしてくれる筋ですね。身体をアップライトに保つためにはこれが超重要です。次に大事なのが大腰筋。そんな大腰筋。ほんとラブです。

大腰筋の機能解剖学

 ここからは機能解剖学を解説していきます。そもそもどこに付着しているのか??起始停止を覗き込んでみましょう。

大腰筋
Vertebral Region(前部繊維)
Transverse Process Region(後部繊維)
起始:
前部繊維:第12胸椎と第5腰椎の椎間板及び隣接する椎体に付着
後部繊維:腰椎横突起の前内側部に付着
停止:腸骨筋と合流して腸腰筋となり腸骨筋膜に包まれ、
   腸恥隆起を越えて走り筋裂孔を通って小転子で終わる
                (Sportsmedicine 2015 N0.169より抜粋)

 とまぁー脊柱に付いているだけあって、前弯保持に必須と言うことは安易に想像できますよね。ただ、このように実は大腰筋と言っても起始部が異なります。前部繊維と後部繊維に分かれていたんですね。と言うことは!

 そう。作用も異なります。

 前部繊維の作用は股関節の屈曲、脚が固定された状態では脊柱の伸展が主な作用となります。ちなみに姿勢保持として重要なのは多裂筋と共に働いてほしい後部繊維となります。

 ピラティスのエクササイズではこのようなイメージになりますね。

 さてここまではあくまでも、理想的な大腰筋のお話です。世の中そんなに甘くありません。ほとんどが変化をもたらします。鵜呑みにしないで下さい。

(前提)腰椎はアライメントもベクトルも常に動く
臨床的にはL5は屈筋、L4はどちらとも言えない。L3は伸筋となる傾向が強い印象にあります。ここのモーターコントロール(運動制御)は必須ですね。

 エクササイズをガンガンしていけば、イケイケドンドン!で代償しまくります。私たち運動指導者は何を見るべきなのかを重要視する必要があります。ニュートラルポジションの保持という観点でエクササイズをしている場合は腰椎は過前弯していないか。または腰椎が過屈曲していないか。これを確認していく作業は必須ですね。感覚迷子を救ってあげましょう!

前部繊維と後部繊維は別物??

 作用が逆だからと言ってそんな犬猿の仲みたいな扱いはする必要はありません。基本的には求心性も遠心性も大事なので喧嘩しているわけではありません。ただ前述したように、作用が変わることもあるし、上手に扱わないとトラブルを招くのも事実です。いつだってベースを大切にし、そこから繋げる作業を大切にしていきましょう。

 基本的には筋の走行からどんな動きが重要なのかを考察し、実際に動いて確認していく作業が重要です。解剖学の本を見たら、股関節屈曲(回旋に関しては文献に違いあり)が基本でしょ。でも臨床的には頭位との連鎖が超重要ですね。ピラティスなんかでも座ればまずこいつにスイッチを入れて骨盤を起こす作業も大事。大事なこと祭り。中でも歩行時においては大腰筋の遠心性収縮(歩行の立脚後期)は必須ですね。推進力もリズムも整いますね。ほんと大好き。このように、収縮の違いを含め大腰筋と上手にお付き合いすることが大事です。


 さてこのシリーズ中々の長編化しそうな雰囲気が出てきましたが、本日はここまで!他にリクエストがあればお答えしていきます。遠慮なくリクエストを下さい。
お読みいただきありがとうございました。

ライタープロフィール

保坂知宏(ホサカトモヒロ)
理学療法士、FRPMT &mentor、FRPKidsIR &mentor、RYT200Yoga IR
遊びを楽しむカラダの専門家。                                  Twitter:ホサカトモヒロ【カラダの専門家】 @tmhr720
Instagram:エクササズの共有と子育て情報を!@tmhr720
個人HP:FRP指導者養成講座やWSなどのご確認ができます! physio minerva





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