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「行動のきっかけ」をデザインして、習慣をアップデートする
私たちの日常には、ちょっとした“きっかけ”があふれています。たとえば、ふと目に入ったものによって「これをやろう」と思い出したりすることはありませんか? それこそが、行動のトリガーです。実は、このトリガーの存在が習慣づくりや日々の効率に大きく関わっているのではないか──今回はそんな話をしてみたいと思います。
普段の行動は“自動運転”?
日々の行動は、ある意味「自動運転」のように進んでいると感じることがあります。
PCを起動すると、記録ファイルが自動で開く→その日にやったことを記入する
夜寝る前にPCが目に入る→枕元に置く→ノートを更新する
これらの“習慣”は、常に同じきっかけが存在するからこそ続いているのです。もしPCの置き場所を変えてしまったら、きっかけが失われ、習慣そのものが消滅してしまう可能性もあります。
イレギュラー対応を忘れやすい理由
一方で、普段と違うことをしようとするとき(たとえば、朝にいつもと違うものを持っていくなど)、うっかり忘れてしまうことが多いと感じる方も多いでしょう。これは既存の習慣のルート上に、イレギュラー行動のトリガーがないから。
忘れてはいけないものを玄関の靴の手前に置いておく
鞄の中にチェックリストを入れておく
こうして、すでに確立している行動の“途中”にトリガーを仕込んでおくと、イレギュラー対応もスムーズにいくようになります。
数珠つなぎで習慣が安定する
習慣を強化するには、一連の行動を“数珠つなぎ”にしていくのがポイントです。
たとえば、朝起きたらまずコーヒーを入れる→コーヒーを飲みながら日記を1行書く→書き終わったら洗濯機を回す……といった形で、次の行動の“きっかけ”を先の行動に結びつける。
そうすると、ある行動を始めるときに前後の流れを自然と思い出すようになり、習慣が安定しやすくなります。
ただし、家の動線に合わせてトリガーを配置している場合、引っ越しなどで環境が大きく変わると習慣が崩壊する危険があるので注意が必要です。
記憶の宮殿と同じ仕組み?
“数珠つなぎ”で思い出す行動の方法は、記憶術の記憶の宮殿にも似ています。
記憶の宮殿とは、頭の中に馴染みのある建物をイメージし、そこに覚えたいものを配置していく手法。
スーパーで買い物をするとき、頭の中の“リビング”に食材を並べておき、宮殿を散歩するように思い出す、など。
この手法も、自分の動き(仮想の移動)をトリガーにして、必要な情報を想起しやすくしているのです。
周囲の環境が与える“トリガー”
毎日、特定の場所(会社など)に出社しているのも、“仕事モード”への切り替えというトリガーとしては大きいかもしれません。周りが努力家や仕事熱心な人ばかりだと、自然と「自分も頑張らなきゃ」と思えるのは、その雰囲気が“行動のきっかけ”になっているからでしょう。
まとめ
行動のきっかけ(トリガー)が習慣を支配している。
普段の行動ルートにイレギュラーのトリガーを組み込むことで、忘れを防止できる。
一連の行動を“数珠つなぎ”にすることで、習慣が安定しやすくなる。
記憶術の“記憶の宮殿”と同様に、動きの中に情報を配置する発想が効果的。
周囲の環境や人間関係も、行動を後押しするトリガーとなり得る。
日々の行動トリガーの連鎖を意識し、自分でデザインしてみると、思いのほか習慣づくりがうまくいくかもしれません。自動運転の中にある、小さな“気づき”と“きっかけ”。それをうまく活用して、快適な日常を築いていきましょう。