基本動作の実用性について

理学療法の目標設定では、基本動作の自立を目標とすることも多いのではないでしょうか。

では、どうなれば自立と判断できるのでしょうか?病院で自立度を判定する際は、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師、介護士など他職種で意見を出し合って決定することが多いと思います。

ここでの理学療法士の役割は、動作をみる専門家として意見を言えることであると思います。

今回は、自立度を決定する際に必要な、動作の実用性について説明していきます。



(用語の確認)

・実用性とは、検索すると、「実際に利用する場合に価値があること。 または、実際の現場などで利用して有効であること。」と出てきます。つまり、理学療法では、生活上のある場面で、実際に動作を遂行できることであると思います。


実用性の要素として、①安定性、②協調性、③速度性、④持久性、⑤応用性の5つを挙げたいと思います。

①安定性

安定性は、バランス能力があり、転倒することなく動作を行なえることを指します。リハビリ中においても、安定性の評価に基づいて、介助量を調節していると思います。

②協調性

動作における協調性は、局所的な関節運動ではなく、動作を滑らかに、かつ効率よく動けることを指します。これにより、努力的でなく(エネルギー消費が少ない)、身体への負担も少ない動作が行えます。

③速度性

速度性について、よく例えに出されるのが、横断歩道を渡ることではないでしょうか。ただ、歩けるだけではなく、時間内に行うことも動作の実用性には必要な要素です。

④持久性

動作は、単発ではなく連続的に行うことがほとんどです。立ち上がりや歩行など、繰り返し行う能力が必要となります。

⑤応用性

応用性は、さまざまな環境における動作の適応能力です。例えば、歩行は、平地だけ歩ければいいわけではありません。屋外歩行を目標にする人であれば、砂利など不整地も歩ける必要があります。患者さんに合わせた応用動作能力が必要になります。


理学療法士は、以上のような、要素を評価した上で、実用性の判定ができるようになることが必要です。




(参考文献)

障害別運動療法学の基礎と臨床実践.金原出版株式会社

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