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歩行観察3

今回は前方から歩行を観察して思ったことをお話しします。 足を前方に振り出すときに、膝が真っすぐ出る人、内側に出る人(内股)、外側に出る人(がに股)がいます。 その中でも、今回は外側に出るのはなぜだろうか?という点に着目しました。 これについて2つの理由を考えてみました。 1つ目の理由は、「お尻の筋肉が硬い」ということです。 お尻の筋肉は膝を外に開く外旋作用があるため、硬くなってしまうと歩行の際に、膝が外を向きやすくなります。 2つ目の理由は、「左右のバランスをとる

    • 歩行観察 2

      今回は、歩行時の振り出し後半の場面についてです。 歩行の振り出しは、遊脚期といい、遊脚前期、遊脚中期、遊脚後期といいます。 振り出し後半のことを遊脚後期といい、この時期では、足が前に振り出され、足を接地する準備に入ります。 遊脚後期では、足を前方に接地するために、膝が伸展していきますが、この伸展にも個人差があります。 何が違うかというと、、、いろいろとありますが、 今回は「膝の伸展速度」に着目しました。 足を振り出すときに、膝がサッと素早く伸びる人と、スーッとゆっ

      • 歩行観察 1

        こんにちは。本日から歩行観察についての記事を定期的に書いていきたいと思います。よろしくお願いします。 今日は、歩行時の「蹴り出し」についてです。 歩行の蹴り出しとは、立脚後期から前遊脚期のことを指します。 地面を蹴って、足を振り出していく場面です。 立脚後期は、足を後方に残して、上半身は前方に位置する姿勢となるため、ここで必要なのは、 股関節が伸展する。 骨盤が後方に回旋する。 膝関節が軽度屈曲する。 足関節が背屈する。 足趾が伸展する。 これらによって足を

        • なぜ姿勢を良くするのか

          今回は、「なぜ姿勢を良くするのか」というテーマで私が考える姿勢を良くする理由についてお話ししたいと思います。 まず、「姿勢」という言葉の確認をします。 Wikipediaで調べると、「姿勢とは、重力に対して、バランスを取っている時の体の姿である」と書かれています。さらに、「見た目の格好、立ち姿等の目に見える姿形をさすだけではなく、その人の心構え、気持ち、気構えや決意をこの言葉で代用する事がある」とも書いてあります。 つまり、姿勢とは、その人が環境や人、物事に対して、どのよ

          脳卒中の運動麻痺について

          ここでは、脳卒中患者の主要な問題の一つである、運動麻痺について話していきます。 運動麻痺(motor paralysis)とは、「上位・下位運動ニューロンの異常による随意運動の障害の総称(筋自体および神経筋接合部の異常、また心因性の運動障害を除く)。大脳皮質運動野から末梢神経線維に至る経路のいかなる部分が侵されても生ずる」と解説されています。そして、脳卒中においては、上位運動ニューロン障害によります。 上位運動ニューロン障害は、一次運動野→放線冠→内包後脚→中脳大脳脚→橋

          脳卒中の運動麻痺について

          意識障害とは、

          ここでは、意識障害について、特に概要と理学療法評価についてお話ししたいと思います。 まず、「意識」とは、何でしょうか。意識がある状態は、起きている状態。意識がない状態は、呼びかけても反応がない状態。のようなイメージを持っている方がほとんどではないでしょうか。 ですが、調べてみると、以下のような意味合いがあります。 1.覚醒(起きている)状態 2.自己の状態や周囲の状態を認識している状態 2.の意味合いもあるんですね。意識が正常というのは、ただ起きているだけではなく、注意

          意識障害とは、

          障害とは何か?

          ここでは、理学療法士の立場から、障害について考えてみたいと思います。 Wikipediaより、 障害とは、ものごとの達成や進行のさまたげとなること。また、さまたげとなるもののことである。もともとは、「さわり、妨げ」のことである。ただ現在は「身体の器官や能力に不十分な点があること」という特定の意味合いもあり、理学療法士には、こっちの方がピンとくるかもしれません。 理学療法の教科書には、このようにも書いています。「障害とは、疾患などにより身体的・精神的にもたらされた不自由が長

          障害とは何か?

          高齢者の転倒リスクに対するアプローチ(評価編)

          ここでは、高齢者の転倒に関連する要因とその評価方法について話をしていきたいと思います。 高齢者は、若年者に比べて転倒のリスクが高く、転倒による骨折が原因で、寝たきりのような状態になる場合もあります。予防という観点からも、高齢者に対しては転倒リスクに対するアプローチが必要になります。 転倒は、何らかの原因によって身体の正常位置が企図に反して大きくずれ、姿勢反射で応答しえなくなった結果発生すると言われています。 つまり、高齢者の転倒リスクは、身体機能と環境に適応する能力(巧

          高齢者の転倒リスクに対するアプローチ(評価編)

          人工股関節全置換術後の動作障害に対するアプローチ①

          人工股関節全置換術により、股関節自体が改善しても、動作も必ず改善するというわけではありません。それは、手術による侵襲による痛みの影響もありますし、もともとの筋力低下や可動性の低下、術前からの疼痛回避性跛行が影響している場合もあります。 ここでは、前方進入系の手術後、歩行の術側の立脚中期から後期にかけて骨盤が術側に回旋してしまうケース。つまり、術側の臀部が引けてしまう状態について、お話ししていきたいと思います。このようなケースは実際の臨床でも目にすることが多いと思います。

          人工股関節全置換術後の動作障害に対するアプローチ①

          人工股関節全置換術後の痛みに対するアプローチ①

          ①人工股関節全置換術後の股関節外側部の痛みに対するアプローチ 人工股関節全置換術は、主に変形性股関節症に対して行われます。寛骨臼と大腿骨頭の両方が置換され、術式は前方系と後方系があります。人工関節置換術の基本知識については、以下の文献を参考にして頂ければと思います。 人工関節置換術の基本的知識ー有効なリハビリテーションのためにーhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/54/9/54_698/_pdf 人工股関節置換術後の理学

          人工股関節全置換術後の痛みに対するアプローチ①

          人工股関節全置換術後の脱臼について

          THAの手術後のリハビリでは、脱臼のリスクを知り、理解しておく必要があります。 脱臼の要因としては、以下のものが挙げられます。 ・寛骨臼コンポーネントと人工骨頭間の求心力不足 ・インピンジメント ・脱臼肢位 ・コンポーネント設置位置の不良 寛骨臼コンポーネントと人工骨頭間の求心力不足については、股関節周囲の筋萎縮や神経筋疾患などによって起こる軟部組織の緊張不十分、筋力低下などが挙げられるため、上記のような場合には、脱臼のリスクを特に気をつけなければいけません。強引

          人工股関節全置換術後の脱臼について

          人工膝関節全置換術後の動作障害に対するアプローチ②

          ②遊脚期に膝関節屈曲が不十分なケース ここでは、人工膝関節全置換術後で、膝関節屈曲の可動性は歩行に十分であるにも、遊脚期に屈曲が不十分なケースについてお話しします。 キーワードは、ダブルニーアクション、荷重と抜重、立脚後期の活動として進めたいと思います。 (用語の確認) ・double knee action(二重膝作用):歩行動作における、膝関節の伸展ー屈曲ー伸展ー屈曲の運動をいいます。これは、踵接地時の衝撃の軽減および重心の上下移動の振幅の減少に役立っています。

          人工膝関節全置換術後の動作障害に対するアプローチ②

          人工膝関節全置換術後の動作障害に対するアプローチ①

          ①術側立脚期に、術側に体幹側方傾斜するケース 人工膝関節全置換術後に下肢のアライメントが改善し、痛みや可動性が改善している症例でも、異常歩行を呈することがあります。 なぜでしょうか? ”術前の荷重時痛 ⇒ 荷重時の異常姿勢”  のような術前からの影響が多いのではないかと思います。 ですので、ここでは、異常歩行の原因を術前の状態からと仮定して、主に荷重時の荷重側への体幹側方傾斜に対するアプローチ方法について考えていきたいと思います。 術前の体幹側方傾斜は、痛みや体幹下

          人工膝関節全置換術後の動作障害に対するアプローチ①

          基本動作の実用性について

          理学療法の目標設定では、基本動作の自立を目標とすることも多いのではないでしょうか。 では、どうなれば自立と判断できるのでしょうか?病院で自立度を判定する際は、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師、介護士など他職種で意見を出し合って決定することが多いと思います。 ここでの理学療法士の役割は、動作をみる専門家として意見を言えることであると思います。 今回は、自立度を決定する際に必要な、動作の実用性について説明していきます。 (用語の確認) ・実用性とは、検索すると

          基本動作の実用性について

          運動学習(KR)

          ここでは、KRを中心に、運動学習について説明します。 (用語の確認) ・結果の知識(KR:Knowledge of performance):付加的フィードバックであり、運動自体というより、運動(反応)の結果に関する情報であり、通常は運動終了後に与えられます。KRの与え方は、運動学習に影響を及ぼすので、適切な頻度、タイミングで与える必要があります。 運動技能学習の段階には、Fittsが区別した段階があり、これは初期相(認知相)ー中間相(連合相)ー最終相(自動化相)という

          運動学習(KR)

          理学療法の進め方について

          一言に理学療法といっても、その中には、物理療法、徒手療法、運動療法、装具療法、日常生活指導、住環境整備など、様々な介入方法が存在します。 どの時期に何をするかは、対象者によって変わるため、一概には言えないが、理学療法をデザインするにあたって考えておかなければならないことを記載していきます。 理学療法士が対象とする者の多くは、患部を中心とした局所的な生体組織に、何かしらの異常が生じています。骨折や靱帯損傷のような組織の損傷では、受傷部に炎症反応が生じ、発赤、熱感、腫脹、疼痛

          理学療法の進め方について